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【イベント報告】VOX エフェクター・ミーティング feat. EFFECTOR BOOK

レポート●蔵重友紀

VOX Tone Garage Series

先週のSUMMER NAMM 2013で発表されたVOXの新アナログ・コンパクト・エフェクター・シリーズ、Tone Garage。今回5機種がラインナップされており、発売を間近に控えているところですが、なんといち早く試奏出来る上、開発チームより直に話を聞ける貴重なイベント”VOX エフェクター・ミーティング feat.EFFECTOR BOOK”が開催! 早速参加レポートをお届けしましょう。

まず、発表されたモデルはこちら。
Flat 4 Boost – ブースター
Straight 6 Drive – オーヴァードライヴ
V8 Distortion – ディストーション
Trike Fuzz – オクターヴ・ファズ
Double Deca Delay – ディレイ

会場には、日頃よりエフェクターの制作や改造に関わる人達やプロ・ギタリストといった、無類のエフェクター好きが勢揃い。トークが始まるまでは試奏タイムで、会場に幾つか用意されたギターやアンプで自由にエフェクターを試せるようになっていました。人前で弾くのが苦手な私もおそるおそる音を鳴らしてみたところ、ディレイの素晴らしさに釘付けに。ショート・ディレイとロング・ディレイ、そして2つを同時に鳴らす事も出来て面白いんです。歪み系と合わせてもきれいなサウンドで、早くもハマりそうになりました。周りでも、ブースターやディストーションなど、歪み系をあれこれ切り替えたり、オクターヴ・ファズで強烈な音を出したり、ディレイを極限まで発振させたり…と、思い思いに弾き倒し(笑)。

VOX Tone Garage Series - 試奏中

小一時間経った頃、EFFECTOR BOOK編集長司会のもとにVOXの開発チームを迎えてクロストーク・セッションがスタート。

コンパクトなペダル型に真空管を搭載し、200Vの高電圧を掛けてしっかり歪ませることでその特性を最大限に引き出したHi-Voltという技術についての解説がありました。そしてまず目を惹いたのが、このTone Garageは電池駆動なのですが…従来の9Vではなく、なんと単3乾電池を6本も使用するという大胆な仕様。なんたって、裏蓋開けた時の見た目が凄い。

VOX Tone Garage Series - 電池駆動

ね。
こちらの方が、今回の回路では電池寿命を長くもたせられるんだそうです。

そして、200Vの電圧が掛かっている所を実際にテスターで表示してもらいました。

VOX Tone Garage Series - 200V

200.9Vの数値。使っているのは実際の製品に入っている中身の回路です

また、このようなコンパクトな基板だと真空管が発振しやすいとのこと。そこで、構造に工夫を凝らしたシャーシを用いることで、その問題を解決したとか。さらに、大量の電流が流れる回路のパーツへの負荷を軽減させるため、2段階に分けて電流を流していくという仕組みもテスターを使って実演していただきました。また、電気的性能を高める為に、アンプのようにスタンバイ・スイッチを搭載しているのも珍しい部分。こちらは「ケーブルを挿すことでエフェクトのオン/オフを行なっていると、ケーブルによって音質が変わったりするから」という理由もあるそうで、とことんこだわりまくりです。

VOX Tone Garage Series - スタンバイ・スイッチ

各機種の背面にスタンバイ・スイッチを搭載。なお、オフの状態でも音は出ます

ちょっと話が前後しますが…このシリーズ、そもそもの企画やコンセプトのデザインはイギリス発信ながら、回路設計といった技術は日本が担当、そしてヴィジュアル面などはアメリカのVOXが手がけるという3カ国で取り組まれたものだそうで、なるほど、表に描かれたグラフィックはアメリカン・テイストですね。ちなみに、全てのモデルに真空管が入っている…ように見えますが、ファズとディレイには真空管はありません。代わりに、中身の回路がちょっと顔をのぞかせているのがポイント。

VOX Tone Garage Series - パッケージ

筐体もパッケージもカラフルでポップ

VOX Tone Garage Series - V8 Distortion

V8 Distortionの中身。8はV型8気筒の意味。VOX印の真空管が見えます

VOX Tone Garage Series - Double Deca Delay

Double Deca Delayの中身。後述する重要パーツ、3205の文字が確認出来ました

Tone Garage Series - Trike Fuzz

Trike Fuzzの中身がチラリ

参加者からは「真空管はどこ製で、選定はどこで行なっているんですか?」「昇圧の仕組みは?」「真空管は交換してもいいんですか? 音は変わります?」など、製作側ならではの質問が相次ぎ、序盤から奥の深い会話が繰り広げられていました。

そして、個人的に気になっていたDouble Deca Delayは、歴史的に評価の高い3205というBBD素子を採用しているそうですが、ショートは明るめ、ロングは暗め…と、ディレイの音質自体に変化が付けられているのも特徴の1つ。両方のモードを同時に鳴らせるもあり、このあたりの仕組みはホワイトボードを用いてレクチャーです。回路図キタ!(笑)

Tone Garage Series - Double Deca Delay

ショートとロングのディレイの仕組みを図解

本当はステレオ仕様という構想もあったそうですが、ツマミが増え過ぎて断念したとか…ディレイってこだわると奥が深いもんね。もちろん今回のモデルでも思い切り遊べます。

また、試奏中にも大きな存在感を放っていたオクターヴ・ファズ、Trike Fuzzも注目の的。プラス1オクターヴ、マイナス2オクターヴで合計3オクターヴをカヴァーしている本機は、トーンやヴォリュームなどのツマミを回すと、どんどんサウンドが分厚くなっていきました。主に高フレットのポジションで使うと気持ち良い掛かりになるそうです。ダーティな音は、本国イギリス側にもウケが良かったんだとか。

Tone Garage Series ファズのテスト中

Trike Fuzzをデモ。3オクターヴにかけて、Trikeは三輪車の意味だそう。実は、各機種名には数字と車に関するシャレが効いてます

実は、ファズとディレイの2機種は9V電池でも動くんです。でも、他とスペックを揃えたので、単3×6本必要なんだそうです(笑)。

その後も「500mAも使うとペダルボードに組み込んだ時に電流が引っ張られませんか?」といったプレイヤーの現場ならではの質問なども飛び出し、チームの皆さんと本音でのやりとりが出来た濃厚な時間はあっという間に過ぎていきました。私にとって大半は何の事やらでしたが、仕組みを知るのって面白いですよね。凄く勉強になりました!

発売は7月20日(土)を予定しており、Double Decaは生産の都合上、秋頃の発売となるそうです。気になった方は楽器店でぜひとも試してみてくださいね!

<関連リンク>
Tone Garage Series – VOX