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THRASH DOMINATION 2016“最強決定戦”出演ラインナップ予習編!

※ご注意 このイベントは既に終了している可能性があります。ご了承下さいませ。

THRASH DOMINATION 2016 logo

年明け早々の1月9日(土)&10日(日)、スラッシュ・メタルの祭典“THRASH DOMINATION”の‘16年のヴァージョンが川崎のクラブチッタで開催される。誰もが認める強豪アクトばかりを揃え、長時間に渡って濃厚なライヴが繰り広げられるこのイベントは、今回で11回目を数える。’04年にスタートしてからは毎年9月の開催で、一時の休眠期間をおいて復活した’13年からは3月に変更、そして今回は初めての1月。この2日間で正月ボケもすっかり吹き飛ぶことだろう。

ここではYG公式サイトでも恒例となりつつある、出演バンドたちの歴史や、ライヴの見所を解説していこう。今回ステージに登場するのは、ドイツからクリエイターとデストラクション、アメリカからダーク・エンジェルの3組。欧州勢の数が米産バンドを上回ったのはこれが初めてだ。

KREATOR クリエイター

THRASH DOMINATION 2016 - KREATOR

‘82年にTORMENTORとして結成。’84年にクリエイターに改名し、’85年に『ENDLESS PAIN』でデビューを飾った。彼らは当初から圧倒的なスピードを武器としたメタルを展開しており、ヨーロッパからのスレイヤーに対する回答とでも言うべき暴力的なサウンドを売りとしていた。’86年の名作2ndに冠された『PLEASURE TO KILL』というタイトルがそれを象徴していたと言えるだろう。

‘89年の『EXTREME AGGRESSION』でメジャー・デビューを果たし、ヨーロッパのみならず世界にその勇名を轟かせていった時期の彼らは、徐々にメロディアスな要素も取り入れていく。ここに至るまでに頻繁なメンバー・チェンジを繰り返していたが、クリエイターそのものとも言えるミレ・ペトロッツァ(vo, g)は常に健在であり、彼さえいればクリエイターたり得るというイメージも定着した。

その音楽的スタイルも不変のままキャリアを積み重ねていく…そう思われたところ、スラッシュ・メタルが下火になってしまった‘92年にリリースした『RENEWAL』では文字通りのリニューアルがあり、スラッシュ・メタルからインダストリアル調のサウンドに変化し、ファンを困惑させた。その後『CAUSE FOR CONFLICT』(’95年)ではスピードを取り戻した曲もあったものの、その後’90年代後期に発表した数作ではゴシック・メタルに傾倒したサウンドに変化。ミレの趣味が変化したと同時に、ある意味時代を見据えての変身とも言えるものだったが、同時にアイデンティティを喪失してしまったことは否めなかった。

しかし元ワルタリのフィンランド人ギタリスト:サミ・ウリ・シルニヨを加入させた『VIOLENT REVOLUTION』(’01年)にて、クリエイターは本道へと回帰する。’90年の5th『COMA OF SOULS』に通じるジャケット・アートを用いた本作は、タイトル通りにヴァイオレントなスラッシュ・メタルを炸裂させた快作だったのだ。続く’05年の『ENEMY OF GOD』では、一時期傾倒していたゴシカルなメロディーを従来の暴虐サウンドに融合させており、これが彼らの人気を再燃させる決定打になった。“THRASH DOMINATION”に初参戦したのもこの時期だ。以降、アナログ・レコーディングで生々しさを狙った『HORDES OF CHAOS』(’09年)などのアルバムをヒットさせ、欧州メタル界の重鎮の座を守り続けている。

彼らのライヴで強烈に光るのは、何と言ってもミレのカリスマティックな存在感だ。アジテートするように観客を煽る、その姿から発せられるオーラは尋常ではなく、グラインダーのように激しいピッキングで刻まれるリフの説得力も凄まじい。一方でサミのテクニカルなギターもバンドの過激性を絶妙な形で高めており、ギター・キッズにとっても注目の存在だろう。スラッシュ・ファン以外からも「やはり凄い」と賞賛された“LOUD PARK 14”での激烈パフォーマンスも記憶に新しいところだが、3度目の参戦となる“THRASH DOMINATION”ではさらに間近で彼らの迫力を堪能できるはずだ。

DESTRUCTION デストラクション

THRASH DOMINATION 2016 - DESTRUCTION

クリエイターがデビューする前年には、昨年の“THRASH DOMINATION”に登場したソドム、そして今回で本フェスには4度目の登場となるデストラクションが同じくシーンに姿を現している。日本ではジャーマン・スラッシュ三羽烏と呼ばれる、欧州スラッシュ・シーンの立役者たちだ。

デストラクションが‘82年に結成された当初のバンド名はKNIGHT OF DEMONで、シュミーア(vo, b)、マイク(g)という現在もバンドの中核を成す2人はこの時すでに揃っていた。デストラクションとしてEP『SENTENCE OF DEATH』を先述のように’84年にリリース。この時期の彼らは演奏力もまだまだの青々しいバンドだったが、1stフル『INFERNAL OVERKILL』(’85年)でその若さにまかせたスラッシュ・サウンドは急成長。続く『ETERNAL DEVASTATION』(’86年)は恐ろしいまでにエキセントリックなヴォーカルとギターで畳み掛ける傑作となった。

’87年のEP『MAD BUTCHER』からはドラマーがトミーからハリーに交替し、さらにセカンド・ギタリストのオリーが加入して4人編成になると、彼らは徐々にプログレッシヴな要素を取り入れていき、『RELEASE FROM AGONY』(’87年)で独自性の強いサウンドを確立した。ファンの間では賛否両論ありつつもバンドは進化を続けていたのだが、音楽的に拡散していくことにシュミーアが異を唱え、彼はデストラクションを追い出されてしまう。シュミーアはヨルグ・マイケル(dr)らとともにヘッドハンターを結成。対してデストラクションもヘルプのヴォーカリストを迎えて『CRACKED BRAIN』(’90年)を発表するも、アルバムの評価は上がらずに活動は収束していく。この後、マイクを中心にEP2枚とフルレンス1枚を発表するが、ここで聴けたのは往年のデストラクションらしからぬ地味なヘヴィ・メタルだった(現在この3枚は“NEO DESTRUCTION”による作品と定義されており、正式なディスコグラフィからは外されている)。

‘99年、あり得ないと思われていたシュミーアとマイクの再合体が実現し、デストラクションは息を吹き返す。トリオ編成に戻った彼らは音楽的にも原点回帰し、『ALL HELL BREAKS LOOSE』(’00年)や『THE ANTICHRIST』(’01年)といったアルバムは全盛期に匹敵する、もしくはそれを凌駕するとまで言われるほどの絶讃を浴びたのである。’03年には初来日も実現。“THRASH DOMINATION”には’05年、’07年、’13年と参戦しており、シュミーアのフレンドリーなMCも相まって、会場に集まるスラッシャーたちにとっての兄貴的存在として存在感を発揮している。

デストラクションのライヴの凄さは観れば分かる…いや、観なければ分からないというほど、スタジオ・アルバムを圧倒的に上回る狂気のスラッシュ・サウンドが渦巻く壮絶なものだ。特にマイクの繰り出す名リフの数々は、一撃必殺のスリルを発する。プログレやジャズも好物にしているという彼のギターは、スラッシーな攻撃性を保ちながらどこか’70年代的で渋く、独特なプレイのタッチが特徴的。ここにも注目してもらいたい。

DARK ANGEL ダーク・エンジェル

THRASH DOMINATION 2016 - DARK ANGEL

“THRASH DOMINATION”の楽しみの1つは、日本でライヴを行なう機会のなかったバンドの初来日を実現させてくれることだ。今回出演者の中では、唯一ダーク・エンジェルが初来日アクトということになる。彼らのステージが川崎で実現するとは、まさに奇跡だ。

ダーク・エンジェルと言えば最も有名なのは、スラッシュ/デス・メタル・シーンを代表する名ドラマーであるジーン・ホグランが在籍するバンドだということだろう。彼は’13年にテスタメントのメンバーとして“THRASH DOMINATION”に参戦したこともある。

SHELLSHOCKという名前で結成されたのは、’81年のこと。本拠地はL.A.で、彼らはアメリカのベイエリア・スラッシュ・シーンの成立過程の中にいたバンドだと言える。’83年にダーク・エンジェルと改名し、翌年には後々中心人物となっていくエリック・メイヤー(g)が加入する。‘85年にリリースした『WE HAVE ARRIVED』でのサウンドはメタリカにも通じるものがあり、一部アイアン・メイデン的なテイストもあったが、演奏面のバタつきは否めなかった。しかしジーンが加入した2nd『DARKNESS DESCENDS』(’86年)ではパフォーマンスと楽曲が一気に強化。エリックとバンドのオリジナル・メンバーであるジム・ダーキンによる暴虐のリフで押しまくる凶悪なスラッシュ・メタルが完成した。その後ヴォーカルをドン・ドーティからロン・ラインハルトに交替させ、『LEAVE SCARS』(’89年)や『TIME DOES NOT HEAL』(’91年)といったアルバムでは従来の路線を踏襲しつつ長尺の曲が増えていった。

ちなみに、かのメガデスにマーティ・フリードマンの加入が決定する前、アナイアレイターのジェフ・ウォーターズなど複数のギタリストに加入の要請があったことは有名だが、エリックにも打診があったという。『LEAVE SCARS』をリリースする前のことだ。

バンドは’92年に解散。‘02年に再結成が実現するが、ロンが事故で怪我を負ったことで’05年に活動を停止。当時のスラッシュ・メタル復興の波に乗ることは出来なかったが、’13年に2度目の再結成が実現し、翌年からライヴ活動を再開している。ラインナップはロン、ジム、エリック、マイク・ゴンザレス(b)、そしてジーンだ。彼らのショウは初来日ということで日本のファンにとっては未知数の部分も大きいが、リフに次ぐリフという壮絶なパフォーマンスが楽しめるに違いない。また復活アルバムの発表に向けて新曲を書いてもいるということで、新曲が聴けることに期待できるのでは?

‘15年に引続き“最強決定戦”と題されているが、その名にふさわしい強力なラインナップだ。百戦錬磨の強者たちのパフォーマンスを見逃すべからず!

公演概要

THRASH DOMINATION 2016

日程:1/9(土)&10(日)
会場:クラブチッタ(神奈川県川崎市)
詳細・お問い合わせ:クラブチッタ 044-246-8888

DESTRUCTION(単独公演)

日程:1/11(月)
会場:梅田Shangri-La
詳細・お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888

KREATOR(単独公演)

日程:1/12(火)
会場:梅田クラブクアトロ
詳細・お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888

特設サイトはこちら↓
http://thrash-domination.com/