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ジョシュ・スミス、マット・スコフィールド、カーク・フレッチャー “THE THREE PRINCES” @汐留BLUE MOOD, 2017.10.6

ライヴ・レポート●ヤング・ギター編集部

THREE PRINCES - BAND 1

去る10月5日・6日・7日の3日間にわたり、汐留“BLUE MOOD”にて、ジョシュ・スミス、マット・スコフィールド、カーク・フレッチャーという3人のブルース・ギタリストが共演する来日公演“THE THREE PRINCES”が、トライサウンド主催の下に行なわれた。

“プリンス”の称号にしてはややたくましいルックス(?)の3人ではあるが、ブルース・シーンにおける彼らの存在は超一流の別格だ。ファビュラス・サンダーバーズやジョー・ボナマッサといった大ベテラン・バンドへの加入経験など、著名ミュージシャンからの指名が絶えないカーク、B.B.キングのオープニング・アクトやミック・ジャガーのバック・ギタリストを務めた経験もあるジョシュ。そして母国イギリスでは3年連続でアワードに選出され、英国屈指のブルースマンとして名高いマット…まさにシーンを牽引する強者揃いである。なお、彼らは既にアメリカでたびたび共演を行なっている他、カークがジョシュのアルバムにゲスト参加するなど、親交も深い。従って今回は、ブルースという星の下に結束を固めてきた3人の共演がここ日本でも堪能出来る、ファンにとってはたまらないイベントとなった。3日間にわたって開催された本公演から、ここでは2日目の模様をお届けしよう。

1stセットの始まりは、いきなり全員総出でのジャム・セッション。早速オールスターの演奏で大いに盛り上がった後は、1人ずつステージに登場してのソロ・パフォーマンスが行なわれた。バックはジョシュのバンドのベース&ドラムが出突っ張りで、常時リズム・セクションを担当する形式だ。

ソロのトップ・バッターとなったカークは、B.B.のように歌とギターを交互に操るアプローチ。中域が目立ちつつブライトなサウンドでラウドにプレイする一方、クリーンなトーンを活かした繊細なコード・ワークも見事に聴かせている。落ち着いた佇まいと表情をみせていたものの、時にはクレッシェンドさせたりブリッジ寄りでピッキングしたり…など、ニュアンスの色づけは巧妙だ。

続いて、カークと入れ替わりにステージに現れたマットは、スロー・ブルースをムードたっぷりに披露。レイ・ヴォーンを彷彿させんばかりの力強い歌声と体全体を使っての激しいプレイに圧倒される。丸みを帯びつつ艶やかで芯のあるサウンドも実に心地好い。ジャズやファンクを含め多岐にわたる音楽性に通じる彼だが、ここではオーソドックスなブルース路線のフレージングを展開していた。

そして3人目のジョシュは、やはり王道ブルースで攻める。しかし時折経過音を交えたフレーズでヒネリを加えたり、ハイブリッド・ピッキングを積極的に活用したりと、あくまでも発想は自由だ。トレブリーかつややゲインの高いトーンで、やはりエネルギッシュなプレイを聴かせてくれるのだが、何といっても1音弾くごとに見せるニコニコ顔が印象的。「ブルースを弾けて幸せ!!」とでも言いたそうな表情に、こちらも和んでしまう。

この後は再び全員がステージに並んで熱烈なジャムに興じ、休憩を挟んだ2ndセットもほぼ同等の形式で行なわれた。トークはほとんどなく、ただお互いのプレイに耳を傾けてはリックを交換し、ブルースという会話を楽しむ…そんな和気藹々としたセッションを、オーディエンス共々時の経つのも忘れて心行くまで楽しむことが出来た。


 
最後に、今回のライヴにおける3人の使用機材を紹介しておこう。カークはタイラー製の“Tylerbaster”と思われるモデルを使っていたようだ。マットはサンバースト・カラーのSVL製STシェイプ、そしてジョシュはChapinの“T-Bird”。足下は全員がヴェムラム製のエフェクターを使用しており、カークは“Budi”、マットが“Shanks 4K”、そしてジョシュが”Jan Ray“。さらに、マットやジョシュは他にも様々なペダルを駆使していたのに比べ、カークはアンプ・スイッチャーと先述した1個のみ…という簡潔なセッティングだった。なおアンプは、形態は異なるものの全員Two Rock製を使用していたようだ。