毎月10日発売。月刊ギター専門誌ヤング・ギターの公式ウェブサイト。

THRASH DOMINATION 2018 ライヴ・レポート

ライヴ・レポート●奥村裕司 Yuzi Okumura(WARBRINGER、TESTAMENT)、斎藤新吉 Shinkichi Saito(EXODUS) Pic●Mikio Ariga

THRASH DOMINATION 2018

’16年以来、2年振りの開催となったヘッドバンガーズとスピード・フリークのためのメタル祭典“THRASH DOMINATION”。第12回目となる今年は、その出演ラインナップに若干の変化が見られた。これまでスラドミといえば、’80年代デビューのベテラン・バンドばかり…との印象があり、ドラゴンロードやネヴァーモアなど、’90年代にスタートしたバンドも出てはいたものの、その2組にしても’80年代バンドからの派生組で、’00年代以降に活動を始めた若手にとっては、なかなかの狭き門となっていたのが実情である。しかし今回は、エクソダス、テスタメントという重鎮バンドに加えて、’08年デビューのウォーブリンガーが参戦。言うなれば、フレッシュな風を送り込むこととなった。

ちなみに、第1回からの会場:クラブチッタ川崎が30周年を迎えたことで、各バンドともMCで祝辞を述べ、ちょっとしたお祝いムードにも包まれていた今回、偶然なのかどうか、見事に米西海岸ベイ・エリア出身バンドが3組、揃い踏みとなったのも付け加えておきたい。では──2月中旬の週末、2日間に亘って繰り広げられた狂乱と熱狂の模様をここにお伝えしよう!!

WARBRINGER:フレッシュ&ワイルドな“若手”パフォーマンス

warbringer-1

スラドミ史上、初の若手出演バンドとなったウォーブリンガーは、米カリフォルニア出身の5人組。“若手”とはいっても、それは’80年代から活動を続けてきている第1世代と比べてのこと。実際には、’04年結成で、これまでにフルレンス作だけでも5枚をリリースしている、そこそこのキャリアの持ち主だ。日本初上陸は’10年、“Extreme the DOJO Vol.24”にて。つまり、実に約8年振りの再来日となったのだ。

前回来日時から、メンバーの顔触れもかなり異なっている。2人のオリジナル・メンバー:ヴォーカルのジョン・ケヴィルとツイン・ギターの一翼を担うアダム・キャロルは健在だが、かつてアダムと共に本誌インタビューを受けたことがあるギタリスト:ジョン・ロックスは’14年に脱退。リズム隊もチェンジし、新たにチェイス・ベッカー(g)、ジェシー・サンチェス(b)、カルロス・クルーズ(dr)が加わっている。

興味深いのは、以前は童顔で大人しく、線も細かったアダムが、それなりに貫禄を付けていたこと。’10年当時、ステージでギター・パートを仕切っていたのはジョン・ロックスで、どちらかというとアダムはその陰に隠れてしまっているような印象を受けたが、ジョン脱退後何度かギター・パートナーが交代するうちに、アダムにも意識変革が起こったのか、今では’16年加入のチェイスをリードするまでになっていたのだ。ただ、落ち着いた佇まいは以前とそう変わらず、一音々々に感情を込めるかの丁寧なプレイが際立ち、リード・パートでも主にメロディアスかつエモーショナルなフレーズで個性を出していた。また演奏の傍ら、常に他のメンバーやステージの進行などに気を配り、静かにバンドを見守っているかのようにも見受けられた。

warbringer-2

一方、チェイスは全くキャラが違い、アグレッシヴに弾きまくるのを信条としているようだ。いかにもスラッシャーといった攻撃的な速弾きやアーミングを頻出させ、プレイそのものも豪快かつ大胆。何度か勢い余って危うくなる場面もあったものの、イイ意味であまり深く考え過ぎることなく、本能のままにギターを掻き鳴らし、大きなアクションとドヤ顔で観客へのアピールも忘れない。それがアダムと絶妙なコントラストを生み出し、以前からイケイケ・キャラのシンガー:ジョン・ケヴィルの全力パフォーマンスとも、見事に呼応していたのである。

warbringer-3

セットリストは日替わりで、初日は最新作『WOE TO THE VANQUISHED』(’17年)の全曲再現を敢行し、翌日は言わば“オールタイム・ベスト”といった構成に。遅めの曲もあって、ラストに11分超の大作「When The Guns Fell Silent」が待っている『WOE TO〜』の再現は、正直言って、このスラドミでやるにはちょっと微妙だったかもしれないが、その意気込みは買いたいし、きっとバンド自身は大いなる達成感を味わったに違いない。今後も彼等には、いつまでも“若手”と呼ばれ続けるぐらいに、フレッシュでワイルドに突き進んで欲しいモノだ!!

warbringer-4

ウォーブリンガー THRASH DOMINATION 2018 @川崎クラブチッタ セットリスト

2018. 2.10
1. Silhouettes
2. Woe To The Vanquished
3. Remain Violent
4. Shellfire
5. Descending Blade
6. Spectral Asylum
7. Divinity Of Flesh
8. When The Guns Fell Silent
9. Combat Shock

2018. 2.11
1. Total War
2. Shattered Like Glass
3. Remain Violent
4. Jackal
5. Instruments Of Torture
6. The Turning Of The Gears
7. Severed Reality
8. At The Crack Of Doom
9. Prey For Death
10. Hunter-Seeker
11. Living In A Whirlwind
12. Living Weapon