毎月10日発売。月刊ギター専門誌ヤング・ギターの公式ウェブサイト。

THRASH DOMINATION 2018 ライヴ・レポート

ライヴ・レポート●奥村裕司 Yuzi Okumura(WARBRINGER、TESTAMENT)、斎藤新吉 Shinkichi Saito(EXODUS) Pic●Mikio Ariga

TESTAMENT:“現役”の底力を見せつけた怒濤のサウンド

testament-1

昨年、デビュー30周年を迎えたテスタメントは、何とこれが5回目のスラドミ出演となる。これまで出る度にヘッドライナーを任されてきた彼等は、今回も初日公演でトリを務め、翌日はエクソダスにその座を譲ったものの、両日ともに2階建てのステージ・セットを組み、威厳たっぷりに圧巻のパフォーマンスでオーディエンスを大熱狂させた。

バンド・ラインナップは、’17年2月の前回来日時から変わらず、チャック・ビリー(vo)、アレックス・スコルニック(g)、エリック・ピーターソン(g)、スティーヴ・ディジョルジオ(b)、ジーン・ホグラン(dr)という5名。このメンツが揃うと、例によって、とてもキャリア30年以上のアラフィフ・バンドとは思えない、凄まじい破壊力に満ちた正に怒濤のようなサウンドが生まれる。しかも、いつもならあまりの音量と音圧で、すべての楽器が団子状態のカオスと化してしまいがちなのに、今回は爆音の中でも各パートが問題なく聴き取れ、チャックのヴォーカルも、アレックス&エリックのツイン・ギターもクリアだった。きっとギター・フリークにとっては、アレックスのソリッドでコシのあるトーンが存分に堪能出来たことが、何より喜ばしかったろう。

testament-3

アレックスといえば、かつては緻密で繊細でテクニカルな面が際立っていたが、ここのところは、よりエモーショナルで躍動感に満ちたプレイが肝となっているように感じる。無論、あの流麗さは今も健在だし、運指の滑らかさも、相変わらず素晴らしいとしか言いようがない。ただ、そこに力強さや豪快さ、深みや奥行きが加わり、どのフレーズも勢いを増し、表情豊かになっているのだ。激しくリフを掻き鳴らし、ソロ・パートになると、決まってステージ中央へ躍り出て、イイ意味で大袈裟なアクションを交えながら観客にアピールするのも忘れない。果たして、あの変幻自在な「The New Order」(’88年『THE NEW ORDER』収録)のソロ・パートが、オリジナル・リリースから30年を経て、さらに激しく狂気を感じさせるまでになるなんて、一体誰が予想しただろうか。

そんなアレックスに負けじと、エリックも気合い充分。以前はリズム担当と目されていた彼だが、今では積極的にリードも弾いていることは周知の通り。中でも、「Dark Roots Of Earth」(’12年『DARK ROOTS OF EARTH』収録)のエキゾティックなソロや、「Throne Of Thorns」(『DARK ROOTS OF EARTH』収録)エンディングのメロウなソロ、オリジナル・ヴァージョンにはない「Disciples Of The Watch」(『THE NEW ORDER』収録)のコンパクトなソロは、いずれも彼のメロディックなフレーズ・センスがしっかり発揮されていた。

testament-2

また今回のショウは、チャックを除く4人それぞれのソロ・タイムが、90分強のセットの中に散りばめられていたのだが、少なくとも20年前だったら、エリックがソロ・タイムをやることは恐らくなかったのでは? ところが彼は、アーミングやワウを駆使した邪悪なフレーズでもって、ダークな「Eyes Of Wrath」(’99年『THE GATHERING』収録)への流れを絶妙に生み出してもいたのだから大したモノだ。一方、アレックスのソロ・タイムでは、ディープ・パープルやジミ・ヘンドリックスのフレーズを少々と、日本の唱歌「さくらさくら」のメロディー、また「Trial By Fire」(’88年『THE NEW ORDER』収録)のリード・フレーズなどが飛び出し、何ともサービス満点だったのも付け加えておこう。

ところで、ひとつだけ残念なことが…。それは、両日のセットリスト。2夜連続公演だというのに、殆ど同じだったのだ。2日目に1曲(「Throne Of Thorns」)減らしたのは、セカンド・ビルでアンコールなしだったから…だとしても、他はせめて数曲入れ替えるぐらいはして欲しかった。まぁそれでも、’94年作『LOW』から決して定番曲ではない「Low」と「Urotsukidoji」が披露されたのは、ちょっとしたサプライズになったハズ。それに、過去の代表曲・人気曲に頼ることなく、『THE FORMATION OF DAMNATION』(’08年)、『DARK ROOTS OF EARTH』、そして最新作『BROTHERHOOD OF THE SNAKE』(’16年)からのレパートリーを演目の主軸に据え、未だ“現役”として最前線に立っているとの姿勢を明確にしていた点も大いに称賛したい。いやはやベテランの底力、恐るべし…である!!

testament-4

テスタメント THRASH DOMINATION 2018 @川崎クラブチッタ セットリスト

2018.2.10(ヘッドライナー)
1. Intro〜Brotherhood Of The Snake
2. Rise Up
3. The Pale King
4. Centuries Of Suffering
5. Alex’s Guitar Solo
6. Electric Crown
7. Into The Pit
8. Low
9. Stronghold
10. Throne Of Thorns
11. Eric’s Guitar Solo
12. Eyes Of Wrath
13. Drums Solo
14. First Strike Is Deadly
15. Bass Solo
16. Urotsukidoji
17. Souls Of Black
18. The New Order
[Encore]
19. Practice What You Preach
20. Disciples Of The Watch

2018. 2. 11
1. Intro〜Brotherhood Of The Snake
2. Rise Up
3. The Pale King
4. Centuries Of Suffering
5. Alex’s Guitar Solo
6. Electric Crown
7. Into The Pit
8. Low
9. Stronghold
10. Eric’s Guitar Solo
11. Eyes Of Wrath
12. Drums Solo
13. First Strike Is Deadly
14. Bass Solo
15. Urotsukidoji
16. Souls Of Black
17. The New Order
18. Practice What You Preach
19. Disciples Of The Watch