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解説●安保 亮 Akira Ambo

ミュージシャンが自宅でミキサーを活用するには?

(1)現代を生きるミュージシャンの基本的活用法

では具体的に、ミキサーというものをどうやって活用すればいいのか? ここから先のページでは図を用いながら、様々なシチュエーションを見て行こう。

まず基本編。ミュージシャンに限らない話だが…、我々現代人は生活の中で、様々なスタイルで音を扱っている。例えばテレビを見たり、ゲームをしたり、スマートフォンやオーディオ・プレイヤーで音楽を聴いたり、動画サイトを観たり。さらにギタリストならエレクトリック・ギターやエレアコを鳴らすし、宅録派ならPCを駆使して作曲/アレンジ/レコーディングを行なうだろう。

通常なら、例えばゲームはテレビのスピーカーから、CDはコンポのスピーカーから、ギターはアンプのスピーカーから、スマートフォンはイヤフォンから、動画サイトはPCのスピーカーから…といった具合に、それぞれ異なる機器から音を出力するはず。だがこれらはそれぞれ異なる周波数特性を持つので、連続して聴き比べた時、一瞬妙な違和感を覚える人も多いと思う。

それを解消するためには、例えばお気に入りのパワード・スピーカー1組、そして近い特性のヘッドフォンをそろえ、すべての機器をそれらを通して聴くことだ。そうすれば様々な音をフラットに比較することができ、例えばギタリストなら、「CDで聴けるギターの音」「映画で聴けるギターの音」「YouTubeで聴けるギターの音」などを同列に聴き比べながら、モデリング・アンプを使って音作りすることも可能。つまり耳を養いながら音楽性を高めることにもつながるわけである。

上の図は“AR8”を、様々な音源を集約するターミナル的に用いる接続例。各チャンネルに機器をつないでおけば、それぞれをミュート・スイッチやソロ・スイッチを押すだけで自在に切り替えることができ、しかも心地良い音量にそろえることができる。スマートフォンに至ってはスーパー・チャンネルに1度ペアリングしておけば、部屋に入って電源を付けるだけでスタンバイ完了だ。

(2)PCに接続し、宅録に最大活用

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先述した“StudioOne”のように、近年は安価で高機能なDAWソフトがあるため、自宅録音がぐっと身近な存在となった。とは言えアマチュアだと、オーディオ・インターフェイスは2〜4チャンネルほどの小型モデルを使っている人が多いのではないだろうか。しかし例えばギターを録音する際、エレアコをラインで接続しつつマイクでも拾ったり、エレクトリック・ギターをモデリング・アンプにつないでラインでステレオ録音したり、あるいは小さいアンプをマイクで拾ったり…といった様々な手段を使い分けることが考えられ、これだけでも既に5チャンネル分を使う。その都度ケーブルを抜き差しするのが面倒で、曲作りからついつい心が遠のいてしまう…といった経験を持つ人も多いはずだ。

さて“AR8”の場合だが、USBでPCに接続すると、8入力&4出力のオーディオ・インターフェイスとして使用することができる(もちろんプロ品質の24Bit/96kHz)。つまり様々な機器を接続しっ放しにすることが可能で、音量バランスを整えておけば毎日そのまま使い続けることができる。しかも各入力チャンネルには3バンドEQが備わっているので、音質を微調整する際、DAW内のEQを使用する必要がなく、つまりPCに余計な負荷をかけることがない…、これも大きなアドヴァンテージだ。

(3)自宅でリアンプも簡単

プロのレコーディング技術は日進月歩で進んでおり、こと現代のロック系では極限まで音圧を高めるため、様々なテクニックが用いられている。例えばギターを録音する際は、ドラムなどに埋もれることなくクリアかつバランスの良い音を目指すため、「複数のアンプとキャビネットを同時に使って数本のマイクで録音する」という手法がよく用いられる。実際にやろうとすると実に大掛かりだが…、現代の場合はモデリング・アンプという便利なものがあるので、昔よりもかなり手軽になったと言える。

この手法と同時に用いられるのが、「リアンプ」と呼ばれるテクニックだ。これはギターの生音をDAWソフトに録音しておき、ミックス・ダウンの際にその生音をアンプに入力して、改めて録音し直すという作業だ。これなら完璧な演奏さえ最初に録っておけば、アンプ側のツマミを微調整しながらとことんこだわったギター・サウンドを作り込むことができる。

“AR8”の場合、モニター・センド端子もしくはFXセンド端子からギターの生音のみが出力されるよう設定しておき、マイクで録った音もしくはラインの出力を空いているチャンネルに返せば、簡単かつ確実にリアンプを行なうことができる。