Gabor Kovacs ガボール・コヴァックス/WISDOM

Gabor Kovacs ガボール・コヴァックス/WISDOM

クラシックにモダン・パワー・メタルを融合したサウンドを目指していた

YG:あなたとツォルト・ガラムボスのギター・チームは’01年の結成時からバンドに在籍していますが、結成当初、どんなスタイルのバンドにしたいと考えていたのでしょうか?
ガボール・コヴァックス(以下GK):元々はアイアン・メイデン、ハロウィン、マノウォーのようなクラシック・スタイルのメタルに、モダンなパワー・メタル・スタイルを融合したサウンドを目指していた。いずれにせよ、俺が重要だと思っていたのは、優れたメロディーとコーラス、そして沢山のツイン・ギターさ!

YG:今名前を挙げられたようなバンドからの影響が強いんですね?
GK:最も影響を受けたのはハロウィン、ガンマ・レイ、ブラインド・ガーディアン、ストラトヴァリウス、トビアス・サメッツ・アヴァンタジアといったメロディック・メタルだ。オールドスクールなメタルという意味では、ヨーロッパ、スキッド・ロウ、ボン・ジョヴィからも影響は受けたよ。

YG:あなた達がギタリストとして影響されたプレイヤーは誰でしょうか? かなりテクニカルなリックもアルバムで聴けますから、テクニカル系ギタリストからの影響も強いのでは?
GK:リズム・ギターで言えばメタリカからの影響なんだよ。ギターを始めた頃はメタリカが一番好きだったし、リフばっかり弾いてたからね。ソロなどに関しては、その後イングヴェイ・マルムスティーン、ヴィニー・ムーア、ジョン・ノーラムをお手本にしていたよ。それとモーツァルトやバッハ、ヴィヴァルディと言ったクラシックの作曲家からの影響もある。

YG:『JUDAS』はEP『AT THE GATES』から数えると4年ぶり、1stフルレンス『WORDS OF WISDOM』からは5年ぶりの音源ということになりますが、これだけ長く時間が空いてしまった理由を教えてください。
GK:前シンガーがバンドを脱退してから新しいシンガーを見つけるまで時間がかかってしまったのさ。ハンガリーには良いメタル・シンガーがあまりいないからね。国内のシンガーを何人もチェックしたけど、なかなか満足できる人物がいなかった。やっとの思いでガボール・ナジィを見つけることができた。彼がバンドに加入し、その後は総てが順調だ!

YG:あなたの言うように、前作に当たるEP『AT THE GATES』まで歌っていたシンガー:イストヴァン・ナクラダールがガボール・ナジィに交替していますが、ハイトーン・ヴォーカルが特徴だった前任者よりもガボールは幅広いスタイルを歌いこなせるようですね?
GK: 確かにガボールはイストヴァンとは異なる歌声を持っている。ただ、イストヴァンの方がハイトーン主体だったとは思っていないよ。2人は異なる歌声の持ち主だが、2人とも優れたヴォーカリストだ。ただ、ガボールの声の方が、今のウィズダムにとって完璧にハマっている声だと思う。

YG:そのヴォーカルの違いも影響してか、よりフックがあり、スピードやパワー一辺倒ではない楽曲が揃ったようですね。その変化はあなた自身も感じていますか?
GK:そう言ってもらえて嬉しいね! 『JUDAS』は以前の作品よりも入念に作られたアルバムなんだ。特にスタイルは変えていないものの、曲作りやレコーディングに時間をかけることができたおかげでこのようなアルバムを作ることができた。過去のレコーディングで得た経験を活かせたのも大きいと思う。

YG:ファンからの評判はいかがですか?
GK:新作の評判はとても良くて、俺達も嬉しいよ。何よりも、ファンのみんなが新しいシンガーを受け入れてくれたのも嬉しかった。唯一、批判的な反応があった。「何故プログレ・メタルやニュー・メタルを演奏しないんだ?」という意見がね。馬鹿げてるよ。俺達は自分達の音楽が好きだし、別のジャンルのスタイルなんて演奏するつもりはない!

ハンガリーで優れた音楽を作れるバンドはとても少ない

YG:「Somewhere Alone」ではツイン・ギターの掛け合いソロがあり、非常にドラマティックでテクニカルですね。こういった掛け合いは、最初からしっかり構築した上でレコーディングしたのでしょうか? それともインプロヴァイズするところもありますか?
GK:この曲における自分のソロ・パートは予め構築されたものだが、おそらくツォルトはインプロヴァイズしている。普段は2人ともソロを予め構築したりインプロヴァイズしたり、ケース・バイ・ケースだね。

YG:あなたとツォルトには、それぞれギタリストとしてどんな特徴があると思いますか?
GK:ツォルトはとてもテクニカルでありながらもフィーリングを持ったギタリストだ。彼はダイムバッグやザック・ワイルド等が好きで、ブルース的な要素を持ったサウンドを好んでいるだよ。逆に俺はクラシックのバックグラウンドを持っている。美しいメロディーとテクニカルなプレイをミックスさせるのが好きなんだ。

YG:現在ヨーロッパではメロディック・メタルが大きな市場を形成していますが、ハンガリーでもあなた方のようなメロディック・メタル・バンドが多く活躍しているようですね? あなたから見て、ハンガリーのメタル・バンドで日本のリスナーに「是非聴いて欲しい」とオススメしたいものがあれば教えてください。
GK:ハンガリーの音楽シーンには大きな問題がある。それは殆どのバンドやミュージシャンに対して、音よりも歌詞やメッセージばかりが求められているということだ。優れた音楽を作れるバンドはとても少ない。その少ない中でも優れているバンドはCHRONOLOGY、DALRIADA、DEMONLORD、そしてAGE OF NEMESISだ。

YG:分かりました。では、今後のツアーなどの予定を教えてください。
GK:10月から秋のツアーをスタートさせるよ。バンドの結成10周年を祝う特別なツアーになる。ツアーのタイトルは「X Wise Years Tour」。ブダペスト公演では特効や様々な仕掛けを用意している。近い将来、日本にも行けることを願っているよ。

YG:こちらも是非! それでは最後に、日本のリスナーに向けてメッセージを。
GK:ヤング・ギターを読んでいるリスナーにとっては、今回のアルバムの中では「Judas」がハイライトになっていると思う。この曲はスローなパート、ファストなパートで上手く構成されていて、優れた歌詞も、そしてギター・ソロもたっぷり入っている。ギタリストならこの曲は要チェックだよ! マッツ・レヴィンが参加しているのも1つのポイントになっている。ともかく、アルバム『JUDAS』を聴いて、日本でもメタルの炎をいつまでも燃やし続けてほしい!