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藤岡幹大/仮BAND『仮音源 -Demo-』インタビュー

インタビュー&文●坂東健太

鼻歌で作れたらいよいよヤバい領域

藤岡幹大(g)

YG:まあ藤岡さんの作るアイデアが、マニアックじゃないはずもありませんからね(笑)。では今回の『仮音源-Demo-』に関して、そういう細かいところも含めて聞かせてください。まずその「Common time’s Logic」ですが、そういうアイデアはどう生み出して行くんですか?
藤岡:これはもう、最初から数字ありきで作ったアイデアですね。19音というのは、まず4音フレーズを1回、その後に3音フレーズを5回という形。最初は4音をパターンのどこに入れ込むか決まっていなくて、パソコンで打ち込んで聴いてみた時、1番それっぽく聴こえたのが今の形なんです。

YG:数学的というか、パズルみたいですよね。ただギターが19音パターンでも、例えばイントロなんかはコードが4/4拍子の小節頭のタイミングで切り替わっているじゃないですか。フレーズもそれに合わせて徐々に変えているんですか?
藤岡:そうですね、理屈でアヴォイドしなければいけない音を考え、実際に打ち込んで聴いてみて、大丈夫そうだったら弾いてみる、みたいな。

YG:耳だけじゃなく目で音符を見ながら作るからこそ、こういう曲が生まれるということですか?
藤岡:そう、鼻歌ではできないですよね。鼻歌で作れたらいよいよヤバい領域(笑)。こういう数学的な発想は、’80年代のキング・クリムゾン辺りから影響を受けた部分もあると思います。

YG:『DISCIPLINE』(’81年)の「Flame By Flame」みたいな感じですね。ソロに関してはジェフ・ベックっぽいというか、アーミングで若干外して行くようなプレイですが、これはどういう発想ですか?
藤岡:ソロは全曲、インプロヴァイズなんですよ。この曲の場合はスケールで言えばEマイナー・スケールで、でもちょっと変に聴こえるように、ルートをほとんど弾かないとか、たまにびっくりするような音の跳び方をするとか。あと5小節循環になっているので、それも変に聴こえる理由かもしれない。微妙な気持ち悪さ(笑)。

YG:続いて、カッティングが印象的な2曲目「Chuku」はどんな形でアイデアが出て来ました?
藤岡:この曲のリフは、酔っぱらってる時に適当に弾いたのをスマホのボイスメモで録音していて、後から聴き直して良かったパターンを使う…みたいな感じでした。そうしたらたまたま、本当は13拍子なんだけどドラムのパターンによっては4拍子にも聴こえちゃう…みたいな曲になりましたね。

YG:申し訳ないですけど、4拍子には全く聴こえないです(笑)。13拍子というのは、「6+6+1」みたいな数え方ですか?
藤岡:どうだったかな? 僕は「1、2、3、1、2、123」って数えてます。レコーディングの時もクリックをそう打ち込んで。3/4拍子、2/4拍子、3/8拍子が順に来るような形と言うのが正しいんですかね。当初は4ビートの変態フュージョンを作ろうとしたんですよ、トライバル・テックみたいな。でもゲストの西脇辰弥さんのキーボードの音色のおかげで明るい雰囲気になったり、前田さんが自由に叩き過ぎていたりして(笑)、全然違うものになりましたね。前田さんはレコーディングの時に突然思い付いた訳の分からないパターンを叩いていて、後からそのドラムに合わせて、あたかも最初から決めていたリズムであるかのようにピアノを入れたりしました。合わせてコードを意味深に動かしたり。ただ、ライヴで再現できるかな?(笑)

YG:西脇さんとはどういうつながりだったんでしょうか?
藤岡:僕以外の2人は、以前から面識があったんですよ。前田さんはLIV MOONの現場で、BOHさんは西脇さんがサウンド・プロデュースしたアニメ『マクロスΔ』で。ちなみに「Chuku」のレコーディング中、たまたま『マクロスΔ』の曲を聴いたら、同じ13拍子でした(笑)。西脇さんの音楽戦闘力はヤバいですよ。基本的には鍵盤の方なんですけど、ドラムもハーモニカもびっくりするくらいのハイ・レベル。