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スカーレッド『GAIA/MEDEA』インタビュー

インタビュー●勝又龍介 Ryusuke Katsumata

scaared-yogi-vincentVincent Wilquin(L.)&Diogo“Yogy”Bastos

ルクセンブルク出身のデス・メタル・バンド:スカーレッドをご存知だろうか。“REQUIEM”というバンドを前身とし、’00年代前半から活動している彼らは、幾度のメンバー・チェンジを経ながらこれまでに2枚のフル・アルバムをリリースしている。いずれも国内盤は流通しておらず日本においてはまだマニアックな存在である彼らだが、そのテクニカルかつプログレッシヴなギター・プレイは一聴の価値アリ。そんなスカーレッドのプロフィールや2ndフル『GAIA/MEDEA』(’13年)のプレイについて迫ったインタビューをお届けしよう。なお2nd制作時のギター・チームはディオゴ“ヨギー”バストスとベルトラン・ピナの2人だったが、その後ベルトランがベースを担当し、現在は彼に代わりヴァンサン・ウィルカンがディオゴの相方を務めている。そのため、本インタビューは上記3名が回答してくれた。

モダン・デス・メタルとカテゴライズされるけど、定義はしにくい…オープンなマインドで俺達の音楽を聴いてみてほしい

YG:皆さんのギターを始めたきっかけを教えてください。
ベルトラン・ピナ(以下BP):俺の父親、兄弟、叔父達、従兄弟達はみんなギター弾きだったんだ。だから俺も、ごく自然にギターを手に取るようになったんだよ。実際に弾き始めたのは7〜8歳の頃で、クラシック・ギターから始めた。メタルにハマったのは12歳の頃だね。友達がセパルトゥラの作品をダビングしてくれたんだ。マックス・カヴァレラとアンドレアス・キッサーの2人は、当時の俺に大きな影響を与えてくれたよ。それに加え、俺の親族はみんなそれぞれギタリストの好みが違ったから、幅広いスタイルを学ぶことができたね。あと数年間、音楽学校に通ったこともあるんだ。
ヴァンサン・ウィルカン(以下VW):俺がギターを始めたのは9歳の時で、父親がフランスで行なわれたディープ・パープルのライヴに連れて行ってくれたのがきっかけだった。それですっかり、エレクトリック・ギターの虜になってしまったよ。俺も音楽学校に通った時期があって、フランスのナンシーにあるMAI(ミュージック・アカデミー・インターナショナル)を2年前に卒業したんだ。
ディオゴ“ヨギー”バストス(以下DB):俺は“Wacken Open Air”でチルドレン・オブ・ボドムを観たのがきっかけだったな。だからアレキシ・ライホが、俺のギター・ヒーローだったんだ。

YG:プロフィールによれば初期のスカーレッドはスラッシュ・メタル寄りのサウンドだったそうですが、徐々にブルータルでプログレッシヴなデス・メタルのスタイルに傾倒していったそうですね。そのように変化して行ったのは、何かきっかけが?
BP:意識的なものじゃなかったと思うよ。各メンバーがよりアグレッシヴな音楽を聴いて行くうちにインスパイアされ、その結果として自然にこういった音楽性に発展して行ったんだろう。

YG:2ndアルバム『GAIA/MEDEA』についてお聞きします。ギターは基本的にいくつかのトラックが重なっていますが、どのような分担でレコーディングしたのでしょうか?
DB:『GAIA/MEDEA』では、ほとんどすべてのパートを俺がレコーディングしたよ。「Empire Of Dirt」の最初に出て来るちょっとしたリード・パートだけは以前からベルトランが弾いていものだったから、そこは彼に録ってもらった。サウンド・エンジニアと話し合った結果、左右2チャンネルで合計4本のリズム・トラックを同じギタリストがプレイする方が効率が良く、タイトな音になるだろうということでこういう形で録ったんだ。

YG:『GAIA/MEDEA』はデス/ブラック/スラッシュなどのエクストリーム・メタルを主軸にしつつ、それら以外の要素も加えたモダンなサウンドになっていますよね。例えば作品のコンセプトとして、「メタルの未来像を提示したい」といったことが念頭にあったりしましたか?
DB:いや、そういうわけじゃなかったよ。単純にこういうヘヴィなものが好きで、でもいわゆる“ジェント”とは違った、もっとオーガニックなものに仕上げたかった。制作中にはジェフ・ルーミズやカンニバル・コープス、さらにはテクスチャーズといったバンドに大きく影響を受けていたから、当然彼らのサウンドも参考にしたよ。ああいったヘヴィで分厚く、かつサウンドがクリアで、ミュートを掛けていないバッキング・サウンドが好きなんだ。

YG:例えば「Cinder」のミュージック・ビデオを観ると7弦ギターが使われていますが、スカーレッドでは7弦が基本になっているのですか?
DB:そうだね、7弦ギターはこのバンドの標準になっているよ。’10年頃まではダウン・チューニングを施した6弦ギターを弾いていたんだ。でも、やっぱり音質を重視したいということで7弦モデルに取り替えた。6弦の場合、3弦が巻弦になっている太いゲージのセットを使っていたんだけど、それは感触的に俺の好みじゃなかったしね。最初にリハーサルで導入した7弦ギターは、ベルトランが買ったシェクター“Hellraiser C-7”だった。プラグ・インして音を出した瞬間、みんなで顔を見合わせたよ。「そうだ、俺達が求めていたのはコイツだ!!」って感じでね。光栄なことに、現在はシェクターとエンドース契約を結んでいるんだ。

YG:リフ・メイクで意識しているポイントは?
DB:まずグルーヴィであることが重要だね。これは俺達の作曲におけるモットーなんだけど、やっぱりリフは自分が頭を振ったりモッシュしたりしたくなるような衝動を呼び起こすものでないとダメだと思う。だから俺達にとってはグルーヴがすべてだよ。もちろん音楽的であることも大切だ。何でもかんでも、いろんな音を詰め込むのはあまり好きじゃないね。少ない方が多くを語ることもあるよ。
VW:曲次第だけど、グルーヴやハーモニー、メロディーのどれかが特に重要視されると思う。でも、結局のところ目指すのはオリジナリティだ。

YG:『GAIA/MEDEA』のレコーディングで使用した機材を教えてください。
DB:アンプは複数を使い分けていて、メサブギー“Dual Rectifier”、エングル“Powerball II”、そしてピーヴィー“5150”だ。エフェクトに関しては、まずジム・ダンロップのダイムバッグ・ダレル仕様のワウ・ペダル“Dimebag Signature Wah”だ。それからフラクタル・オーディオ・システムの“Axe-Fx”内のエフェクトをいくつか使ったよ。ギターはシェクターとアイバニーズ。このアルバムでのチューニングは、スタンダードと7弦を1音下げたドロップAの2種類を使っている。ただ、今書いている次のアルバム用の楽曲は全弦半音下げにしているんだ。

YG:ヴァンサンが現在使用している機材は?
VW:普段使っているのはアイバニーズの7弦“Universe”だ。アンプはエングル“Powerball II”で、TCエレクトロニック“G-Major”のラックに繋いでプレイしているよ。

YG:日本のリスナーに対して、スカーレッドのアピールをお願いします。
BP:よく俺達の音楽性はモダン・デス・メタルとカテゴライズされるけど、より幅広い影響を受けているので、正確な定義はしにくい。メンバーはみんな、クラシックからヒップホップまで何でも好んで聴いているからね。だからオープンなマインドで、俺達の音楽を聴いてみてほしい。

『GAIA/MEDEA』に続くアルバムは、’17年にリリースするつもりだ。近いうちに日本に行く計画も立てているところだから、バンドのFacebookで最新情報をチェックしてみてくれ! アリガトウゴザイマス!!

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