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dEnkA/KNOCK OUT MONKEY

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7月5日、『HELIX』と名付けられた3rdスタジオ・フル・アルバムをリリースするKNOCK OUT MONKEY。彼らはそれに先駆けて5月から長期に渡るツアーをスタートさせており、筆者はその中から6月4日の渋谷クラブクアトロ公演を見せていただいた(ライヴ・レポートをこちらに掲載しているので、未読の方はぜひチェックを)。実にパワフルな“やんちゃ100%”のパフォーマンスに圧倒されたものだが、今回の新作もそのライヴで感じた印象を裏切らない、すさまじくエネルギッシュな内容。そして相も変わらずdEnkAのギター・プレイは多彩かつ緻密で、ラウド・ロックのジャンルでは他に見られないほど個性的だ。おそらく相当に根を詰めて完成させたであろうこの新作の制作秘話を、彼に語ってもらった。

まっすぐ垂直にではなく、あちこち回り道しながら上昇していく

YG:今回のニュー・アルバムのタイトル『HELIX』という言葉は、「螺旋」や「三角錐」といった意味ですよね。このタイトルにはどういった意味が込められているんでしょう?
dEnkA(以下D):タイトルはw-shunが考えたんですが、「廻りながら上昇して行く」といったニュアンスだと思うんですよ。バンドの人生が何回転もしながら昇って行く、そういった意味合いみたいですね。まっすぐ垂直にというよりは、あちこち回り道しながら…みたいな。

YG:確かにKNOCK OUT MONKEYは紆余曲折ありながら成長しているバンドだと思いますが、ご自身でも“上昇しつつある”という感覚はありますか?
D:そうですね。それはプレイヤーとしてというより、人間的に。ギターへの取り組み方が最近変わってきて…去年の後半くらいかな、それまでは「ちゃんと弾こう」とか「上手いと思われたい」みたいにカッコ付けがちなところがあったんですけど、それよりも「表現しよう」という意識が強くなりました。今までは受け身だったと思うんですよ、お客さんに見られているから上手く弾こうとか。でも今は自分から魅せよう、発信しようという気持ちが強くなりましたね。

YG:もちろんミュージシャンが上手く弾こうとするのは全く悪いことではないと思いますが、つまり意識が次のレベルに進んだということなんでしょうね。
D:ある意味楽になりましたね。以前の考え方の方がストレスになっていましたよ。悪い言い方をすると「弾かされている」感じ。今は自分の意思で弾いて魅せることができるようになりましたね。

YG:さて、新作『HELIX』の制作について。以前は細かいアイデアを全員で持ち寄って、リハーサルしながらまとめる形でしたよね?
D:『Mr. Foundation』(2015年)の時はそうでした。今回はもう全く別のやり方ですね。昨年のミニ・アルバム『RAISE A FIST』あたりから、w-shunが自分のパソコンに“Pro Tools”を導入したんですけど、今作から全員が同じように導入して作曲し始めました。常に試行錯誤できるんで色々なパターンが作れるし、アイデアを掘り下げて楽曲を見つめ直すことができるのがいいですよね。弾いたフレーズに対して言い訳ができるというか(笑)。「どうしてこれを弾いたのか」と聞かれた時に、これこれこうやって色々と試した結果なんだと自信を持って言える。

YG:そういった細かい作業を経たおかげか、今作もいつもに増して緻密な仕上がりですが、ライヴで再現するのがさらに難しくなった…ということは?
D:ありますね。KNOCK OUT MONKEYはアルバムで音をたくさん重ねるので、同期音源を使わずに完全生演奏でやると、音数が足りなくなる現象が起きるんですよ。だから聴こえる音の中でどのラインを選んで弾くかとか、新しくライヴ用アレンジも考えなきゃいけないんです。

YG:ライヴではw-shunさんが一緒にギターを弾く曲もありますよね。dEnkAさん1人で弾くか、2本で弾くかの基準はどこなんですか?
D:例えばw-shunがハンドマイクでステージを駆け巡ったり、お客さんを煽ったりしたい曲は1本になりますね。曲を作った段階で、「これはハンドマイクの曲になるだろうな」っていうのは何となく予想できます(笑)。そういう曲だと、特にリード・ギター弾く場面ではバッキングがなくなってしまうので、工夫が必要なんですよ。