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マーティン・ミラー&トム・クウェイル アイバニーズ“AZ”シリーズ

インタビュー&文●ヤング・ギター編集部

このギターは今夢を追っている人たち全員に伝えたいメッセージ(マーティン)

YG:ルックス面について。まず、マーティンの“MM1”はトップがフレイム・メイプルとトランスペアレント・アクア・ブルー・フィニッシュが特徴的ですが、これをチョイスした理由は? 噂によると、当初はピンク・フィニッシュも考えていたとか…?
MM:ハハハ、そうなんだよ。シグネチュア・モデルの色を決めるのは、アルバムのタイトルを決めるのと同じぐらいの苦労があった。色に関してはアイバニーズのアーティスト・リレーションとたくさんのメールを交わしてさんざん話し合った。その結果、“TAB”(Transparent Aqua Blue)に決まったんだ。もう、これ以上ないぐらい気に入っているよ。実はピンクも考えていたんだけど、ガールフレンドに「あなたにピンクは似合わなそう」と言われてね(笑)。

YG:ノブも通常モデルとは異なりますよね?
MM:ああ、他のハードウェアに合わせて、クローム・カラーのストレート・ノブに変更した。近未来的なイメージを狙ってね。

YG:通常のSSHモデルにはピックガードが付いていますが、トムの“TQM1”にはそれがありません。トムなりのこだわりですか?
TQ:僕はこれまで、トップ材がフレイム・メイプルや極端にクレイジーな柄のギターを使ってきた。それで今回は、ちょっと大人なチョイスにしてみようと思ったんだ。洗練されたナチュラルなルックスにしたかった。このモンキーポッド材はアイバニーズに見せてもらって初めて知ったけど、非常に魅力的に思えたよ。しかも、なんだか『STAR WARS』のチューバッカを彷彿させるんだよね(笑)。それはともかく、こんな素敵なトップ材をピックガードで隠してしまうのはもったいないと思ってね。

YG:アイバニーズのカタログに、ポール・スタンレーやジョー・サトリアーニ、パット・メセニーやスティーヴ・ヴァイなどのモデルと並んで自分たちのシグネチュア・ギターが一緒に載ることになるわけですが、どんな心境ですか? 
MM:非現実的だよ。夢のような感じだ。アイバニーズのウェブサイトを見て、自分の写真がアンディ・ティモンズやパット・メセニー、スティーヴ・ヴァイ、ポール・スタンレー…といった大きな影響を受けたアーティストたちと一緒に並んでいるのを見て…自分の気持ちを整理するのがやっとだった。凄いことだよ。人口500人ぐらいの小さな村に生まれ、都会に移るまでの18年間はそこで育ってきた自分がこんな所に来られるとは、まだ理解できない部分があるね。このギターに込めたスペックやコンセプトは、今夢を追っている人たち全員に伝えたいメッセージでもある。平凡な自分でも努力を重ねて夢を追い続ければ、ここまで来られる。歴史的なギター・ブランドのアーティストの仲間入りができるんだということを表している。このギターは僕にとってそんな意味を持つものだね。
TQ:僕は15歳の頃からアイバニーズのギターを手に入れることをずっと夢見ていた。若かった当時はずっとアイバニーズのギターを眺めながら、ヴァイやサトリアーニ、ポール・ギルバートのようなヒーローになりたくて、彼らのアルバムを聴き、1音1音すべてをコピーしていた。時を遡って、その頃の自分に「将来、アイバニーズから自分のシグネチュア・モデルがリリースされるぞ」と言っても、絶対に信じてもらえないだろう(笑)。正直、まだ実感が湧かないよ。

YG:では、お2人の近況について聞かせて下さい。マーティンは2013年に『THE OTHER END』というアルバムを出していますが、それ以来となる2ndアルバムの予定はありますか? 
MM:その前に、トムと僕でちょっと仕込んでいるものがあるんだ。(2017年の)11月に、一緒にスタジオに入ったんだよ。シグネチュア・モデルの完成を祝うプロジェクトをやろうじゃないか、とね。それで僕がトムをドイツに招き、腕利きのミュージシャンを集められるだけ集めて、僕たちをサポートしてもらうことにした。そして全員でスタジオに入って、3日間にわたって行なったライヴをすべて動画で撮影したんだ。13本のパフォーマンスがあって、10本はフル・バンド、3本はバック・ミュージシャンのいない僕とトムだけのデュオによるものだ。それらは順次、僕のYouTubeチャンネルにアップされて行く予定だよ。2ndアルバムについては、2018年中には制作に取りかかりたいと思っている。前作からもう5年ぐらい時間が空いたので、アイデアが積もっているんだよね。
TQ:もしまだ『THE ELBA TRIANGLE』をチェックしてなかったら、是非手に取ってみてほしい。昨年リリースされたもので、本当に誇りに思っているんだ。僕とアレッサンドロ・ベンヴェニューティ、そしてマルコ・スフォーリという3人のギタリストをフィーチュアしている。凄くよく練られたアルバムなんだ。あと、「ソロ・アルバムは出さないんですか?」としょっちゅう尋ねられる。でも、日々いろいろとやることがあってね…。実は、曲はすべて書き終わっていて、大半はレコーディングも終わっているんだ。あとは仕上げの段階だけど、物事は終える時が一番難しいものでね…。でも、もうすぐ届けられると思うから、辛抱強く待っていてくれると嬉しいな。それまでの間、僕とマーティンの動画を観て楽しんでほしいね。何と言っても無料なんだから(笑)。

YG:では最後に、日本のファンにメッセージをいただけますか? 
MM:1つアドヴァイスをしたいことがある。初めて弦のメーカーとエンドースを結んだ時、僕は27歳だった。レイニーとエンドースを結んだのは30歳の時。31歳でアイバニーズとエンドースを結び、32歳になってシグネチュア・モデルを作ることができた。何が言いたいかというと、最近の常識から言うとこれはかなり遅い年齢だ。でもそれで良かったと思っているよ。アーティストとしてまだ十分に成長し切らないうちに楽器メーカーのディールに焦って飛びつく人もいるけど、それを目的にギターを弾いているのなら、それは正しくないと思う。これは僕からの正直なアドヴァイスだけど、そういうことに惑わされないでほしい。とにかくプレイし続けて、良い仕事をするんだ。時間を守って、友好的に人と接すること。そして君自身に求められるもの、君が得意なものを見つけるんだ。これだったらいつでも1000%自分に敵う者はいない、というものをね。そしたら、君にふさわしいものはみんな後からついてくるよ。君に必要な出来事が起きる。だから心配しないでほしい。20代前半の僕はこういう立場にはいなかった。でも、30代前半の僕は今ここにいる。諦めたり、誰かを傷つけてまでほしがろうとしたわけでもなく、ただ日々やることをやっていただけなんだ。それが結果的に上手くいった。君も絶対に諦めないで、周囲に「君にはできないよ」と言わせないこと。特別な場所に生まれる必要はないし、あのギターを持ってる、このペダルを持ってる…なんてことも関係ない。自分がベストを尽くし続けたかどうかが、重要なんだよ。
TQ:僕たちの時代は、誰もが楽器をプレイし、すべてがインターネットで見られる環境にある。インスタグラム、フェイスブック、YouTube…素晴らしいことだよ。是非やってみてほしい。だけど、巷にあふれるネガティヴな意見にはあまり影響されないことだね。自分が大好きなことをやればいいんだ。なぜそれが大好きなのか、そのことも覚えておくこと。君が自分の好きなことを一生懸命やっている限り、いつかきっと成功するよ。一生懸命続けていけば、きっと良い人生が待っているはずさ。

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