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コルピクラーニ&フィドラーズ・グリーン 2017来日インタビュー

インタビュー&撮影●奥村裕司 Yuzi Okumura

フィドラーズ・グリーン feat. Ralf “Albi” Albers & Pat Prziwara

FIDDLER'S GREEN - Pat & Albi

続いては、フィドラーズ・グリーン編。共にギター兼任シンガーのラルフ“アルビ”アルバース&パット・プルツィヴァラのインタビューをお届けしよう! 呑ん兵衛キャラ全開のコルピ組とは打って変わって、爽やかに、オシャレに登場した彼等は、いずれもYG初取材。よって、それぞれのバックグラウンドにもグググ…っと迫ってみた。意外にも、普通にメタラーだったパットのルーツには、きっとメタル・ファンも興味津々に違いない…?!

俺達の音楽はどこへ行ってもぴったりハマるんだ(アルビ)

YG:キャリア25年以上を経て、遂に初来日公演が実現しましたね!
ラルフ“アルビ”アルバース(以下RA):ああ!
パット・プルツィヴァラ(以下PP):まさしく“遂に!”という感じだ。
RA:実は、7年前にも一度チャンスがあったんだけど、その時はダメだった…。だから、今回来られてとてもラッキーだと思っているよ。
PP:その後も、何度か話が持ち上がったことはあったものの、スケジュールが合わなかったりで…。

YG:日本…というか、アジア圏でライヴを行なうこと自体、これが初でしょうか?
RA:そうだよ。今までで家から一番遠くに来たかもしれない(笑)。

YG:ヨーロッパ以外では、これまでどんな国でプレイしてきましたか? アメリカでライヴを行なったことは…?
RA:まだないんだ。そうだな…ロシアには行ったことがあるよ。ある意味、ヨーロッパ圏と言えるかもしれないけど…。

YG:トルコは?
PP:あるよ。でも、エリア的にはヨーロッパ側だった。ホテルはアジア側にあったけどね(笑)。もしかしたら、いずれカナダでプレイ出来るかもしれない。バンド仲間がいるから、来年か再来年辺りにツアーで行けるとイイなぁ…。

YG:大阪と名古屋で2公演やってみて、日本のオーディエンスはいかがでしたか?
RA:信じられないほど素晴らしかった! 何と言ったらイイのかな…、みんなもの凄く熱中してくれたんだ。大変な大騒ぎだったよ。ドイツよりも凄かったぐらいだ。

YG:何と…!
PP:最初は何を期待したらイイのか分からなくて、ガッカリしなけりゃイイけど…なんて風に思ってもいたんだ。ところが、アルビも言ったように、観客はみんなクレイジーな反応を返してくれた。女の子も叫んでいたしね。本当に最高だったよ!
RA:俺達のライヴでは、オーディエンスに手拍子を促したり、一緒に歌ったり、ジャンプしたりするところがあるんだけど、それも全部ちゃんとやってくれたんだ。それで、日本にも俺達のファンはいるんだ…ってことがハッキリしたね。みんな曲を覚えていて、一緒に歌ってもくれたし。アレには凄く驚いたな!
PP:日本のレーベル担当者から聞いたんだけど、日本国内で俺達のCDは8千枚も売れているそうだ。それってかなり良い数字だと思うよ。

YG:今回、持ち時間は70分だそうですが、短くないですか?
RA:オーディエンスにしっかりインパクトを与えて、フィードバックをもらうためには、このぐらいがちょうどイイんじゃない? もっと長く演奏することも可能だけどね。昨晩なんて、「まだ終わりたくない…」と思ったぐらいだ。2時間でもプレイしていたかったよ。
PP:今や持ち曲も膨大で、どのアルバムにもプレイしたい曲がある。70分のセットを決めるのは大変だよ。だから、曲を入れ替えたりもしているんだ。
RA:日本では1曲だけ──インストゥルメンタルを入れ替えるだけだけどね。
PP:普段は常にセットリストを変えているんだ。だから、今回(毎晩ほぼ同内容の)曲目を見た時は、何かの間違いかと思ったよ(笑)。あっ…でも、この夏のフェス・シーズンはセットを変えなかったな。
RA:俺達は何でも柔軟に対応出来るんだ。機材トラブルなんかが起こった場合、その場で予定を変更して、ア・カペラに切り替えたり、色々と対応しなきゃいけない時もあるしね。

YG:アルビはソロ活動もやっているそうですが、かつてストリート・ミュージシャンとして経験を積んできたことも、いま役に立っていると思いますか?
RA:ストリートで演奏していたのって、まだ活動を始めたばかりの頃だけど──確かに、お客さんと凄く近い距離で演奏するから、ごまかしが利かない。自分と自分の楽器しかないワケだから。あの経験から学んだモノは大きかったな。

YG:ところで──日本に到着した時、ロスト・バゲージに遭ったそうですね?
RA:そうなんだよ!
PP:ミュンヘンからアムステルダムに行くフライトが遅れたんで、アムステルダムから大阪へ飛ぶ便も遅延して──どうやら、その中で俺達の荷物が2500個の荷物の中に紛れてしまったらしい。それで、衣装とか機材とか、大事なものが手元になくて、大阪でのショウはどうしようもなくなっちゃって…。結局、開演の1時間前に荷物は届いたものの、時既に遅しで、仕方なくレンタル機材で演奏することにしたんだ。サウンド・チェックは、コルピクラーニの予備のギターを借りて行なったしね。
RA:でもアコースティック・ギターは、最終的にナシでショウを行なったんだよ。
PP:まぁ、何が起こったってどうにかなるもんだよ。

YG:共演のコルピクラーニのことはご存知でしたか?
RA:うん。最初に会ったのは7年前で、同じフェスティヴァルに出演したのがキッカケだった。

YG:ドイツのフェスですか?
RA:そう。あれは楽しかったな。

YG:メタル・バンドとの共演は多いんですよね?
PP:ドイツでは、メタル・バンドも出演するフェスにしょっちゅう出ているよ。大抵はウマくいくし、メタルとの相性はイイんだ。何も問題はない。コルピクラーニにしたって、同じ楽器(アコーディオンやフィドル)奏者がいるし、そんなに違いは感じない。向こうの方がギターがちょっとハードなぐらいで…。
RA:でも、俺達の方がファストだよ!(笑)

FIDDLER'S GREEN - Albi

YG:フィドラーズ・グリーンの音楽は、どんなバンドのファンでも楽しめるように思います。
RA:そうだね。何故だか分からないけど、レゲエ、メタル、フォークなど、色々なフェスティヴァルに呼ばれるし、実際どこへ行ってもぴったりハマるんだ。
PP:俺達の楽曲には、あらゆる音楽の要素が少しずつ含まれているからじゃない? あと、ポジティヴなエネルギーを持っていることも関係しているのかも…。

YG:お2人はハード・ロックやヘヴィ・メタルのルーツはお持ちですか?
RA:俺はエレクトリック・ギターを弾いたことすらないよ(笑)。
PP:俺はメタル・バンドでプレイしていたことがある。お遊び程度だったけどね。

YG:ここで、それぞれのバックグラウンドについて話して頂けますか? まずは、ギターを始めた年齢とキッカケから。
PP:8歳の時にアコースティック・ギターを弾き始めたんだ。でも、まだ手が小さかったから、結局は2年ぐらい放置していて…(笑)。改めて12弦のアコを弾くようになったのは、13歳になってからだった。でも、楽器店に飾ってあるエレクトリック・ギターを見ては、いつか自分も弾くことになる…と思っていたな。そしてある日、その時がやってきたのさ!

YG:何がキッカケだったのでしょう?
PP:ハードな音楽がやりたいと思ったから。

YG:何かバンドに影響されて?
PP:いや、そういうワケじゃなくて、ただハードな音楽が弾きたかったんだ!
RA:俺はまず、14歳からクラシック・ギターを3年習った。でも、先生が悪くてさ。それでポップ・ミュージックを聴き始めて、(ピンク・フロイドの)「Wish You Were Here」(’75年『WISH YOU WERE HERE』収録)が弾きたくなったんだ。あのイントロにスリルを感じてね。それがインスピレーションだったよ。それでアコースティック・ギターを買ったんだけど、日本製だったな。実は、日本に持ってきたのと同じモデルなんだ。

YG:クラシック・ギターを始めたのは両親に言われて? それとも、学校で弾いていたのでしょうか?
RA:ザ・ビートルズがキッカケだったかな。10歳の時に『SGT. PEPPER’S LONELY HEARTS CLUB BAND』(’67年)を聴いて、それがインスピレーションになった。
PP:「Wish You Were Here」は今でも弾ける?
RA:勿論さ! 弾けるようになるまで、2年半もかかったけど(苦笑)。
PP:先生が悪かったから?(笑)
RA:それはクラシック・ギターを習っていた時の話だよ!(笑) その後は、フォークに関するピッキングやタッピングなどのパターンが載った本を読んで学んでいいったよ。クラシックでは譜面を使ったけど、フォーク・ギターは簡単なコード譜なんかを見ながら、独学で習得していったんだ。
PP:俺はとても良い先生に付いていたのに、怠け者だったから…(苦笑)。それで、レッスンを辞めて自分で練習することにしたら、上達していったよ。

YG:当時のギター・ヒーローというと?
RA:デイヴィッド・ギルモアは言うまでもなく、あとは、ブルース・コックバーン、ジョー・ウォルシュ、ピート・タウンゼント…かな。
PP:俺はメタルが好きだったから、デイヴ・ムステインとか、ジェイムズ・ヘットフィールドとか、カーク・ハメットとか…。あと、ダイムバッグ・ダレルもよく聴いていたな。

YG:普通にメタラーですね!(笑) もしかしたら、メタル・バンドで成功していたかも…??
PP:あり得るね!(笑) でも、フィドラーズ・グリーンにいるのはとても快適だから、他のバンドをやる気はないんだ。

YG:メタル・バンドはお遊びでやっていたということですが…?
PP:最初はベースを弾いていたんだ。ギターをやるようになったのは15〜16歳頃かな? 本当にお遊びで、地下室で練習する程度だったけどね。

YG:今でもメタルは聴きますか?
PP:勿論!!

YG:アルビは…。
RA:聴かないよ。でも、そういった要素がミックスされるところが面白いんだ。俺はフォーク出身で、彼はメタル出身だからね。

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