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テーム・マントゥサーリ&アシム・セアラー/ウィンターサン 2017年初来日

インタビュー、文&写真撮影●奥村裕司 Yuzi Okumura

WINTERSUN - Guitars

『THE FOREST SEASONS』のテーマに沿ったギターが欲しかった

YG:では、今回日本へ持ってきた機材を確認させてください。まずはギターから。
テーム:俺はチューニング違いで2本用意している。普段は3本で、1本をバックアップにしているんだけど、今回(のアジア・ツアー)は飛行機移動が多いから、2本のみにしたんだ。1本はドロップC、もう1本はスタンダード・チューニング。どちらもアイバニーズ製で、楽器店でも手に入るストック・モデルながら、知り合い(のショップ)に頼んでカスタマイズしてもらっている。カスタム・ショップに依頼すると長く待たされるんでね。ストックと異なるのは、ボディーのカラーやペグ、インレイなどだ。『THE FOREST SEASONS』のイメージに合ったギターが欲しかったんで、バンド・ロゴのインレイなど、自分達で色々と手配したんだよ。
アシム:俺も2本持ってきていて、“RGA”と“RG”のどちらもストック・モデルだけど、同じく手が加えられている。両方のハイブリッド的なモデルが欲しくて、“RG”のカッタウェイを“RGA”に近い形状にしてもらったんだ。あとバックのジョイント部分も、ハイ・ポジションでもプレイし易いよう加工されているよ。カスタマイズしてくれたカウル・クックルは、親切にも蓄光タイプのインレイを使うことも提案してくれた。アレは暗いステージでもポジションが分かって助かるんだ。一方、全弦1音下げの“RGA”は『THE FOREST SEASONS』のテーマに沿った仕上がりになっている。ボディーに施されたステイン・フィニッシュなどがそうだね。あと、“Luminlay”(のポジション・マーク)も採用されているよ。
テーム:俺のギターにも、日本製の蓄光素材を使ったインレイが使われているんだ。
アシム:暗いステージでも曲の弾き始めがちゃんと確認出来るのは助かるよ。あと、ペグはヒップショット製、ブリッジは“Evertune”に変えた。ピックアップは、フィッシュマンの“Fluence Modern”で、ピックアップ・セレクターは3ウェイだ。テームのギターには、裏側にキャビティもあるんだっけ? 穴が空いていて、より軽量になっているんだよね?
テーム:元々は“JBM100”という、ペリフェリーのジェイク・ボーウェンのモデルなんだけど、ボディーがマホガニーでちょっと重量があるんで、肩や首に負担を掛けないよう、出来るだけ軽くしてもらった。キャビティは電気系統を入れるのに使うような空洞になっていて、穴の目隠しのカヴァーが木製なのもイイ。ネックは一方が3ピースで、もう1本は5ピースだ。ピックアップは“JBM”で、ちょっと古めのを搭載している。ドイツの楽器店で中古で見つけたヤツなんだ。

YG:トーン・ノブはないのですね?
テーム:うん。元々“JBM”には付いていない。
アシム:俺のギターには付いていたけど、どちらも取り除いてある。あと実は、ヴォリューム・ノブの位置も変更されているんだよ。元々はトーンだったところにヴォリューム・ノブを付けて、空いた穴は埋めた。勿論、プッシュ/プルでコイル・タップ出来るようになっているよ。
テーム:音色的にはどちらも変わらないけど、ホットにするとダイナミクスが増える。モードの切り替えみたいなモノだね。“Fluence”は、3ウェイのセレクターと組み合わせると、合計で6種類のサウンドが得られるんだ。

YG:テームのギターは、高ポジションだけスキャロップ加工しているんですね?
テーム:ああ。ハイ・ポジションでチョーキングすることも多いから、その際、指の上に弦が乗っかるより、下に潜るようになって欲しいと思ったんでね。アシムはどうだっけ? あまりハイポジではチョーキングしないのかな?
アシム:うん。2本ともそのままだ。(改造の)準備期間があまりなかったのもあるけど…。
テーム:あと注目して欲しいのが、ストラップのロック部分だ。ボディー・サイドに付いていて、ここにもウィンターサンのロゴを入れてもらっているんだけど、普通はケーブルを差し込んでも、端子の部分が見えるだろ? でも、コレはもっと奥の方まで入るように加工してある。端子が全部隠れてしまうんだ。これだったらプラグが曲がる心配がないし、スタンドがなくても、どこかに立てかけて置けるからとっても便利だよ。

(写真はクリック/タップで拡大)

YG:アンプは何を持ってきましたか?
テーム:フラクタル・オーディオの“Axe-FX”だ。

YG:シミュレートしたアンプ・モデルは?
テーム:“FAS METAL”というパッチ名で、それがメインのサウンドなんだ。フラクタルのオリジナルだと思う。多分、メサブギー辺りがモチーフになっているんじゃないかな?

YG:お2人とも同じですか? 
アシム:うん。

YG:ヤリも同じモノを使っていたのでしょうか? 
テーム:そうだよ。

YG:他にエフェクターは?
テーム:すべて“Axe-FX”から出している。ライヴでは30種類のサウンドを使い分けているんだ。色んなパッチを組み合わせてあって、(プログラムすることで)ショウの最中にパソコン上で自動的に切り替わっていく。音量の変化やディレイのパラメータ、ステレオ・サウンドなども含めて…ね。

YG:そうすることで、プレイのみに集中出来るというワケですね。
テーム:その通り。

WINTERSUN - Asim

YG:ちなみに、今はヤリのパートをテームが弾いて、テームが元々弾いていたパートをアシムが担当しているのでしょうか?
テーム:まぁ、大体そんな感じだね。俺は、ソロ以外はこれまで自分が弾いていたパートをそのまま弾いているよ。ヤリは歌っている最中にリズム・パートを弾いていたから、その間は俺がリード・フレーズを弾く。それを今も、そのまま自分で弾いているんだ。アシムには、俺が以前弾いていたソロと、ヤリが担当していたリズム・パートを弾いてもらう。俺も幾つかソロやリードを覚え直さないといけないところがあったし、アシムとの振り分けが決まったあとに、また変更することもあったけどね。

YG:アシムがソロを弾いている曲は?
アシム:「Winter Madness」だ。それから、「Death And Healing」にはギターの掛け合いがある。あと、「Sons Of Winter And Stars」のイントロを弾くのは俺。以前はヤリが弾いていたパートで、オーディションの時にも弾くよう指定されていたから、そのままやっているよ。新作に関しては、テームがギター・パートを振り分けた。何故なら、彼の方が曲を熟知しているからさ。ただ、時には入れ替えて弾くこともあるし、「難しい方をやってくれないか?」と言われることもある(笑)。

YG:テームは以前と変わって、混乱しませんでしたか?
テーム:それまで弾いていたパートを間違って弾いてしまったり、忘れたりもするけど、そう大変ではなかったな。当初、想像していたよりは…ね。ソロを弾くのはやっぱり楽しい。ヤリは凄いプレイヤーだから、やり甲斐も大いにある。中には、自分なりの解釈を加えたりもしているものの、殆どはオリジナル通り忠実に弾いているよ。ただ、ヤリもライヴではアルバムと違うプレイをすることがあるから、アルバムのヴァージョンを聴いていると、一体何を弾けばイイのか分からなくなってしまうこともある。それで、原曲とライヴ・ヴァージョンの中間をいくようなソロにもしているんだ。楽ではないけど、シュレッドが沢山あって興味深いし、結果的に楽しく弾けているよ!

YG:では最後に、お2人にとってのギター・ヒーローのトップ3を教えてください。
テーム:一番好きなのは、ギター・ヒーローではないかもしれないけど、プレイ面でいうとガスリー・ゴーヴァンだね。イメージ的な面も含めて大きなインスピレーションを受けたのはスティーヴ・ヴァイ。それから、ショーン・レインもかな。彼は特別な存在なんだ。
アシム:俺は──まずはイングヴェイ・マルムスティーン。最初はあまり好きじゃなかったけど、その音楽を理解してからは、一番の大きな影響源となったよ。パフォーマーとしても、コンポーザーとしても素晴らしい。やっぱり彼は“ギター・ヒーロー”だと思うし。2人目はヴィヴィアン・キャンベル。そもそも俺はディオの大ファンだったからね。3番目は、迷うことなくデヴィッド・ギルモアを挙げるよ。実は、彼にもかなり影響を受けているんだ!

WINTERSUN - Band