MOVING GROUND/ヒブリア

MOVING GROUND/ヒブリア
アーティスト名HIBRIA
ヒブリア
アルバム名 MOVING GROUND
ムーヴィング・グラウンド

CD | キングレコード | 2018年2月28日発売

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ブラジル出身メタラーによる、’16年発表のEP『XX』に続くスタジオ・フルレンス第5作。既報通り、本作の完成をもってアベル・カマルゴ(g)を除くメンバー全員が脱退というまさかの事態となったが、バンドは解散することなく、今後はアベルが新メンバーを集めて再起を図るとのこと。そんな“これが最後”との思いがケミストリーを誘発したのか、本作には初期作を思わせるパワー・チューンが多数収められ、メタリックな重厚さはそのままに、ハード・ロック化とも言えるメロディアスなヴァイブも全編に漂っている。

アベル自身「full of guitar shredding!」と堂々宣言していたように、ヘナート・オソーリオ(g)とのツイン・リードの充実度は正に過去最高レベル。ベースを絡めてのユニゾンやハモリも含め、多くの曲でテク志向を爆発させ、また一方でブルージーな感性も開放して、「これでもか!」と弾き倒しまくりだ。ただ、初期からのファンが不安視していたであろうグルーヴィな路線が封印気味なのはイイとして、アレンジに凝るあまり、ところどころで少々考え過ぎ&狙い過ぎとの印象もちらほら…。ヘナートがグロウルを担当した「Sailing Ship」や、“プログレッシヴなヒブリア流メロハー”といった「Heaven」の新機軸、意外やMR.BIG風味の日本盤ボーナス・トラック「Reset My Brain」など、それら変化球が“これから”の鍵となるか?

【文】奥村裕司