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WALL OF SOUND/MARTY FRIEDMAN

ウォール・オブ・サウンド/マーティ・フリードマン

アーティスト名 MARTY FRIEDMAN
マーティ・フリードマン
アルバム名 WALL OF SOUND
ウォール・オブ・サウンド


CD | ワードレコーズ | 2017年8月2日発売

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前作『INFERNO』(’14年)は、超絶技巧ギタリストの登竜門“シュラプネル”出身の底力を見せつけるかのような、スピード感と緊迫感を備えた圧倒的な演奏で迫る渾身のギター・アルバムだった。テンポ・チェンジの激しいジェント風のドラムをも積極的に取り入れ、ダウン・チューニングによる重心の低いギター・サウンドで縦横無尽に弾きまくる内容は、カコフォニー〜メガデス時代のファンにも十分アピールするものだった。

そして今回の新作。特定のジャンルにこだわらず、実験的かつ挑戦的であった前作を踏まえたことで逆に限界のない創造力と垣根のない音楽感が得られたのだろう。特有の昭和歌謡、はたまた演歌的な叙情メロディーの導入が前作より増えており、重量感のある音像の中で情感豊かに奏でられる美しくドラマティックなメロディーの数々は、実に感動的だ。ゲストにブラック・ヴェイル・ブライズのジンクス(violin)、デフヘヴンのシャイヴ・メーラ(g)、そしてシャイニングのヨルゲン・ミュンケービー(vo)が迎えられているが、歌モノは「Something To Fight 」のみ。ギターの音色も多彩だし、楽曲も非常に個性的だが、どこか芯の通った一貫性のある世界観が構築されているため、“アルバム”としての完成度は前作を凌駕している印象だ。最後まで一気に聴かせる求心力は驚異的! 前作で開拓された音世界の1つの完璧なまでの完成形だ。
(Masa Eto)