無頼豊饒／人間椅子

オールドスクールのハード・ロックと現在進行形熱血激重ロック、そして文学的イメージワークとエンタメの間を直結して驀進するパワー・トリオが、デビュー25周年の年に放つスタジオ・アルバム18作目。怪しい威圧感を発しながら展開していく異形の曲と率直なアゲ曲の両面展開による近年のスタイルは盤石で、煽り満載のライヴの熱気をまんま封入したかの趣きだ。楽曲の物語性を引き継ぐように立ち上がってエキサイトする和嶋慎治（g, vo）のドラマティックなソロ・ワークもこの白熱志向の中で最良の存在感を発揮。近代メタルの硬質感や圧倒感と、古典ハードのイマジネーションや奔放さの融合に血がたぎる。
（平野和祥）