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WORLD ON FIRE/YNGWIE MALMSTEEN

ワールド・オン・ファイア/イングヴェイ・マルムスティーン

アーティスト名 YNGWIE MALMSTEEN
イングヴェイ・マルムスティーン
アルバム名 WORLD ON FIRE
ワールド・オン・ファイア


CD | キング | 2016年6月1日発売

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速弾きギター界の玉座を守護する、押しも押されもせぬキング・オブ・シュレッドが放つ通算19枚目のスタジオ作。収録された全11曲はインスト8曲+歌入り3曲という構成で、イングヴェイ自身がヴォーカルを執っている他、ベース、キーボード、チェロやシタール(!)も自ら演奏しているという点も含めて、前作『SPELLBOUND』(’12年)を踏襲する作風だ。ただ、その前作においては自身でのプレイ(打ち込み?)に挑戦していたドラム・パートは、本作では現在のツアー・メンバーでもあるマーク・エリスが叩いている。

冒頭のコーラス・ハーモニーに驚かされる勇ましいパワー・メタル「World On Fire」からメロウかつクラシカルな終曲「Natcht Musik」まで、どこを切り取ってもすべてが“俺様仕様”とも言えるギター・サウンドは、まるで’13年のLOUD PARK、そして昨年の来日公演で魅せてくれた圧巻の存在感をそのままアルバムに封じ込めたかのようで実に痛快。徹頭徹尾、常に容赦なく弾き倒し続けるというここ数作の流れを汲むスタイルながらも、今回はインプロヴァイズする中に印象的なメロディーを絡めてくる割合が比較的増加した印象だ。その傾向はイングヴェイ自身のヴォーカルにも顕著で、前述した「World On Fire」同様に他の歌入りの2曲(今回はブルージーな曲はなし!)でもコーラス・ハーモニーをたっぷりと配すると共に、主旋律でも伸びやかなメロディーを歌い上げる姿が頼もしい。“王者”健在を宣言すると共に、今後への期待も募らせる1枚だ。
(羽田幸一)

『SPELLBOUND』(’12年)以来となるスタジオ新作が完成。前作はリード・シンガーを起用せず、インストゥルメンタル曲をメインに自らヴォーカルを執った曲も3曲収録するという内容になっていたが、今作もそれは全く同じ。イングヴェイ自身がギター、ベース、キーボード、チェロ、シタール、リード・ヴォーカル、ドラムはマーク・エリス、アディショナル・キーボードはニック・マリノヴィックという体制で、ヴォーカル入りが3曲(「World On Fire」「Lost In The Machine」「Soldier」)、インストゥルメンタル曲が8曲という構成になっている。

残念ながら音質面での改善はなされてはないが、楽曲そのものやギター・プレイに関してはかなり充実していると言える。メロディックなスピード・メタル・ナンバーに始まり、「Black Star」風の曲、構築したフレーズとスリリングなフレーズを満載したスピード感溢れるナンバー、エレクトリック・ガットからスタートし、途中からエレクトリック・ギターに変わるライヴ向きのバラード系楽曲も入っており(近作にあったようなイングヴェイが歌うブルース・ナンバーは今回入っていない)、各曲でスウィープやスピード・ピッキングを武器に難易度の高いフレーズを随所に盛り込むなど、ネオ・クラシカル・スタイルの先駆者ならではの風格が感じられる。正直、別の専任シンガーが歌えばもっといい作品になったのでは…とも思うが──ファンが聴きたいイングヴェイ節のギターが満載された作品には仕上がっている。
(Jun Kawai)