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ギターなるほどQ&A

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DAW・宅録

耳を鍛えるってどういうことですか?

曲のミックスなどを自分でできるようになりたいのですが、エンジニア的な作業の話になると必ず「耳を鍛える」とか「耳が良いことが大切」といったアドヴァイスが出てきます。これはどういうことか、もうちょっと具体的に教えてもらいたいのですが…。

(ミルキー/20代/女性)

エンジニア的な耳の良さとは音の周波数や質感を聞き分けられるか

楽器プレイヤーが曲の耳コピをする際に、曲の音程を聞き分ける音感が必要になりますね? つまり、プレイヤーにおいての“耳を鍛える”とは、音感を鍛えるということになります。

一方、エンジニア的な耳の良さとは、音の周波数を聞き分けられるか、また音の質感を聞き分けられるかといったことを指します。
音の質感を言葉で表すのは難儀と言えますが、固い音、柔らかい音、冷たい音、暖かい音などなど…それらを言葉で表現した場合、固い音とは何をもって固いと言えるのか? それを聞き分ける聴覚、またその音を作り出せる技術を養う必要があります。

例えばCDから聴こえるギターの音を聞いて、どのメーカーのギター(ストラトやレスポールなど)、どのブランドのアンプを使っているのかを聞き分ける能力とでも言いましょうか。ワインのテイスティングに近いですね(笑)。つまりエンジニア的な耳を鍛えるとは、色んなアンプの音を知るということにもなります。

耳を鍛える練習方法としては、好きな楽曲の楽器構成を書き出してみて下さい(図1)。この際、ドラムは単にドラムと書くのではなく、キック、スネア、ハイハットなど、出来るだけ小分けにして下さい。そして、各楽器が左右どちらから聞こえるか、どんな音量バランスで構成されてるのかなどを考えてみましょう。こういった所に気を付けていくと、音楽の聴き方が変わります。

図1 楽器構成を書き出してみる

図1 楽器構成を書き出してみる

また、ミックスにおいては必ずイコライザー(EQ)というエフェクトが登場します。音の周波数を調整するもので、これを駆使することで音の質感を変えることが可能になります。また、音の住み分けをする上で大切な役割を果たします。

人間の耳に聴こえる周波数帯が20〜20,000Hz(20KHz)と言われていますが、例えるならこれを一つの家だと思って下さい。
一つの家の中に、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、シンセなどなど…沢山の楽器が入る場合、むやみに音を詰め込んでは周波数がぶつかって飽和した音になってしまいます。そこで、喧嘩をしない様に部屋を分ける…つまり楽器ごとに聴かせる周波数を分ける作業が必要になります。これがイコライジングの目的です。

例えば、あくまで主観ですが、5,000ヘルツ(5KHz)以上の高い周波数(トレブル、ハイなどとも呼ばれます)が目立つ音は、固い印象を受けます。そこで、固い音を作るにはイコライザーでハイを上げてみる。あるいはハイ以外の周波数をカットしてみる。固い音にするために必要なプロセスは幾通りかあり、それらを知ることも大切です。

ミックス・エンジニアさんからよく「EQをマスターするには10年かかるよ」と言われますが、本当に奥が深い世界です。