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奏法・理論・作曲

エコノミー・ピッキングの限界速度を超えたい!

エコノミー・ピッキングを練習すれば誰でも一度はイングヴェイなどの曲を練習すると思うのですが、
「Rising Force」のソロのようにえげつない速さのエコノミーになると途端に弾けなくなってしまいます。

あのようなソロは綺麗に弾くことより、多少ぐしゃっとしても勢いで常に練習した方がいいのでしょうか?

自分の中のエコノミーの限界速度を超えるため何かいい練習方法があれば教えていただきたいです。

(ライジング/20代/男性)

速いテンポから始めて、徐々にテンポを落としていきましょう!?

「Rising Force」…この曲のギターソロはとてつもない速さですよね(笑)。僕も沢山練習した楽曲です。

まずはエコノミー・ピッキングの練習方法について説明します。
オルタネイト・ピッキングが規則的な[ダウン→アップ→ダウン→アップ]と上下運動を行なっていくのに対して、エコノミー・ピッキングとは弦移動する際に[ダウン→ダウン]など連続して同じ向きにピッキングしていくことを指します。動きが変則的になりますが、エコノミーと言うだけあり、こうすることでかなりの速度が稼げるようになります。デメリットとしてはリズムが狂いやすいという側面がありますので注意が必要です(図1)。

図1:Cメジャー・スケールをオルタネイト/エコノミーで弾き分けた例(クリックorタップで拡大)

図1:Cメジャー・スケールをオルタネイト/エコノミーで弾き分けた例

エコノミー奏法のポイントは、弦移動の直後にピックを次の弦に押し込むように当ててピッキングすること。1回のピッキングで2音を弾くというイメージを持って下さい。ここで注意したいのが、通常のダウン・ピッキングを2回行なってしまわないことです(アップも同様)。これでは速度が落ちてしまいます。

練習法として基本となるのは、やはり「ゆっくりなテンポから始める」に尽きます。ここでは一音一音正確に弾くことを心がけて、フォームの確認などしつつ慣れてきたら徐々にテンポ・アップしていきましょう。またクリーン・トーンで練習するのもおすすめです。簡単な譜例を用意したので、取り組んでみて下さい(Ex-1)。

Ex-1:基本のエコノミー・ピッキング

Ex-1:基本のエコノミー・ピッキング

僕は[一音間違ったら振り出しに戻る→全部完璧に弾けるまで飯抜き]というルールを取り入れ、ゲーム感覚で練習に励んでいました。

さて、どんな奏法にも限らず、まずはゆっくりでも正確に弾けることが大切です。しかしながら、「ある一定のスピードから速く弾けない」という壁に誰しもぶつかるのではないでしょうか。ある意味人間の情報処理能力の限界を超えなければならないから、とも考えられます。そこでこの問題を打破すべく取り入れる練習法として紹介したいのが、「原曲より速いテンポから始めて徐々にテンポを落としていく」ということです。前項でお話ししたこととは全く逆の発想ですね。

試しに、メトロノームの設定をもの凄く速いスピードに設定して弾いてみて下さい。…絶対に弾けませんよね?(笑) ある意味当然な話ですが、ここでは正確に弾くことよりも体が速さに慣れる感覚が得られることが大切です。Ex-2で実践してみましょう。

Ex-2:プリングを交えた1〜2弦のエコノミー・ピッキング(BPM=200)

Ex-2:プリングを交えた1〜2弦のエコノミー・ピッキング(BPM=200)

このフレーズから、各拍の16分音符の拍アタマ1音目をそれぞれ切り取り、拍アタマで鳴らしているメトロノームの音に間に合わせる感覚で、アタマの4音のみを弾いてみて下さい。スピードを上げた分、鳴らす音数を減らしてしまおうという考え方です。はじめは大雑把な演奏で良いので、こうやってスピードを体に覚えさせていきます(Ex-2a)。

Ex-2a:スピードを上げたテンポの中で拍アタマの音だけを弾く(BPM=200)

Ex-2a:スピードを上げたテンポの中で拍アタマの音だけを弾く(BPM=200)

スピードに慣れてきたらテンポを下げ、弾ける速さに近付けて下さい。こういった逆転の発想の練習をすることにより、体の無駄な力も抜けてくるはずです。良い意味で何かしら“サボり”がないと、この手の速度には到達しませんから。どんな仕事でも、力の抜きどころが分かってる人は作業が早かったりしますよね(笑)。

ちなみに、どんなに速い速度になっても一音一音綺麗に弾けることが理想ですが、時として勢いで弾いてしまう、適当さや大雑把さも大切なことだと言えます。

練習方法は様々あります。どんなに人が良い練習法だからといっても自分に合うとは限らないので、自分に合う練習方法を沢山模索して考えてみるのも良いかと思います。←これが一番の練習法かも!?

頑張って下さい!!