Studio One 3 / PreSonus〜最新DAW、徹底指南!!!〜

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STEP 2 さらに作り込みたい中級者向け“Artist”に備わった本格的機能!

フレキシブルなオーディオ編集

前ページまでで見た通り、“Prime”だけでも十分に楽曲制作は可能だが、より突っ込んでレコーディングしたい人には中級者向けの“Artist”をオススメしたい。ダウンロード版もしくはUSB版のいずれかで購入することが可能である他、プリソーナス製のインターフェイスなどを購入すると付属してくる。詳細はMI7 Japanのサイトでチェックしてみてほしい。

機能はより本格的になっており、中でもオーディオ編集が非常にフレキシブルだ。例えば“Prime”ではできなかった、トランジェント検出。これは録音した波形のアタック部分に、自動的に編集可能なマーカーを付ける機能のこと。これにより、例えば録音したギターのリズムがヨレていたとしても、後からジャストのタイミングに調整することができる。これをオーディオ・クオンタイズ機能と言い、例えば16分音符のタイミングに機械的に合わせたり、ドラムのグルーヴを分析してアタックのタイミングに合わせたりも可能だ。オーディオ・データをまるでMIDIデータのように扱えるこの機能、一度使えば手放せなくなるだろう。

また“Artist”には、ピッチ編集ソフトとして高い評価を得ているセレモニーのプラグイン・エフェクト“Melodyne”の体験版が付属しており、30日間利用することができる(“Professional”には製品版が付属)。これを使えば録音したデータの音程なども簡単に編集でき、より完成度の高い演奏を作り込むことが可能だ。

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●ドラムのグルーヴを抽出し、それに合わせてギターのトラックをクオンタイズした様子。上がクオンタイズ前、下がクオンタイズ後で、波形がかなり大胆に移動していることが分かる。
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●“Melodyne”は歴史の浅いソフトだが、既に定番として高く評価されている。和音の構成やピッチを変更することもできるので、例えば録音済みのメジャー・コードの3度を変更し、マイナーに変えることも可能。

完全版“Ampire”の実力

“Artist”では内蔵エフェクトの数も30種類以上に増えており、より複雑な音像作りが行なえる。中でも“Ampire”の完全版は、アンプやキャビネットを複数の種類の中から選ぶことが可能。キャビネットに立てるマイクの数や距離などを設定することもでき、エアー感を調整してさらにリアルなサウンドに追い込める。さらにストンプ・ボックス・タイプのエフェクトも使用でき、例えばアンプ側の歪みをクランチ程度に設定しておいて、ブースターでゲイン・アップすることでリッチなディストーションを作ることも可能。短いタイムのディレイをうっすらとかけて存在感を加えたり…と、音作りの幅は実に広い。

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●アンプやキャビネットは、さらにジャンルに特化したプリセットをウェブ経由で追加購入することもできる。

4つのソフト音源も追加

ソフト音源は“Prime”に備わっていた“Presence XT”に加えて、さらに4種類を使用可能だ。まずリズムに特化した“Impact”は、非常に出音が太いドラム・サウンドが多数収録されており、打ち込みに非常に重宝するだろう。アナログ・シンセサイザー・モデリングの“Mai Tai”は、耳馴染みのあるヴィンテージ・サウンドから最新のサウンドまで、多数の音色が収録されている。モノフォニック・シンセサイザーの“Mojito”も実に音が太く、他の楽器に埋もれさせたくないリードを作りたい時などには持ってこいだ。そして“Sample One”は高性能ながら使いやすいサンプラーで、豊富なプリセット音源が用意されており、そこから自分の求める音色を探してさらに細かく作り込むことができる。またオーディオ素材を読み込んで編集したり、音階を付けたりすることも可能。より多彩な楽曲制作に威力を発揮するだろう。

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●“Impact”のドラム・マシン風ルックスは、ギタリストにとっても馴染み深いだろう。効果音も収録されており、リズムにひと味加えることができる。
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●複雑そうに見える”Mai Tai”だが、配置が分かりやすいのでエディットは簡単だ。最初のうちはFilterを色々変更してみるといいだろう。
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●アナログ風の太いリード・サウンドが特徴的な”Mojito”。ベース音源として使っても存在感があり、他の音に負けない強さを発揮してくれる。
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●”Sample One”はプリセットを選ぶ他、オーディオ素材を取り込んで楽器として音階を付けることもできる。REXファイルにも対応。