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[動画]メサブギー現行ラインナップ7台徹底試奏&スタッフ・インタビュー

“アンプ界の永遠なる革新者”の魅力を堪能出来るデモ動画やメーカー・スタッフのインタビューを掲載!

創業から約50年、常に時代に合わせた製品を開発し続け、実に数多くの名機を生み出して来たメサブギー。

同社が現在ラインナップしている製品群の中から7台をセレクトし、その素晴らしいサウンドを実際に体感できるスペシャル動画を用意した。

試奏を担当してくれたのは、FAR EAST DIZAINを率いるV系随一の技巧派ギタリスト、Ledaだ。

また、当ページの後半にはメサブギーのアーティスト・リレーション部門の取締役であるティム・マッキー氏の特別インタビューも掲載。そちらも併せてお楽しみいただきたい。

インタビューを読む

試奏製品一覧

Leda率いるFAR EAST DIZAINのオフィシャル・サイトはこちら。
http://fareastdizain.com/

インタビュー:Tim McKee/Director of Artist Relations

既に発売中の本誌2018年1月号に掲載する予定だったが、締め切りの都合で掲載を見送る…という苦渋の決断をしたインタビューを、ここに特別に公開させていただこう。今回話をお聞きしたのはアーティスト・リレーション部門における取締役、ティム・マッキー氏である。カルロス・サンタナといったブルース系からメタリカに代表されるヘヴィ系まで、メサブギーがあらゆるジャンルのギタリストを魅了し続ける理由の一端を、彼の言葉の端々からうかがうことができるはずだ。

YG:まずはアーティスト・リレーションという仕事について、具体的にどのような業務を行なうのか、読者へ簡単に教えていただけますか?
ティム・マッキー(以下TM):私たちは様々なスタイルを持つアーティストのみなさんを、メサブギーへ迎えることを常に考えながら仕事をしています。弊社のアンプはとても多様性に富み、ロック、メタル、ブルース、ジャズ、ヒップホップ、カントリーといったあらゆるジャンルで活躍しているんです。そういった様々なジャンルの方々と契約し、全面的にサポートすることが業務ですね。例えば営業部のスタッフを教育し、自社の真空管アンプの基本的なトラブルシューティングを学ばせたり、マーケティングに生かせるコンテンツ作りを行なったり…、そういう業務もありますが、最も多くの時間を費やすのはアーティストとのコミュニケーションを密に行ない、直接彼らの手助けをすることです。

例えば私自身、数多くのライヴに足を運んでいます。直接顔を合わせることが、アーティストとの関係強化につながると強く信じていますからね。ですから数年に渡って話をし、素晴らしい友人関係を築いて来ました。真空管やパーツをサウンド・チェック時に持ち込んだり、場合に寄っては新製品を持ち込んだりして、感想をもらうこともあります。また彼らが見ている前で真空管交換を行ない、弊社のアンプが手軽にメンテナンスできることを伝えたりもします。あとは…営業用に使う写真をライヴ会場で撮影することもありますね。SNSに投稿することが多いので、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

YG:ティムさん自身が音楽を仕事にしようと思ったきっかけ、メサブギーに入社することになった経緯、今までにどんな業務を経験して来たか…といったことを教えていただけますか?
TM:私は人生のほとんどをギターを弾いて過ごし、大学では音楽を専攻しました。バンド活動もたくさんやって来ましたし、レコーディングやプロデュースの経験もあります。そんな私ですから、地元にある世界的に有名なアンプ・メーカーで働きたいと思うのは当然のことでした。メサブギーに勤め始めたのは、1999年のことです。最初はテスト・プレイヤー、そしてカスタマー・サービスの仕事を担当していましたが、2001年頃に現在のアーティスト・リレーションの仕事をするようになったんです。

ちなみにメサブギーに勤める前は、教育分野で仕事をしていました。ギターやベースを教えていたこともあります。そういった経験のすべてが、現在の業務に役立っています。他のプレイヤーと話す時、同じ目線で会話できるというのは信頼性につながりますからね。どんな練習に夢中になっているか、どんな音楽を作っているかを夢中になって話し続けることができますし、テクニックやアイデアを分かち合うこともできます。そんな風にして生まれる人と人とのつながりを楽しんでいますよ。

YG:ティムさんが先ほどおっしゃったように、アーティストがどのような音を出したいのか話を聞き、的確に理解して最適な製品をオススメするためには、綿密にコミュニケーションを取ることが大切だと思います。そのために普段からどのようなことを心がけて仕事していますか?
TM:私が最も大切にしているのは…「聴くこと」です。非常にシンプルですね。最近はみんなインターネットを通じて音楽を発表するようになったので、彼らがどんなトーンを奏でているか、どんなアプローチをするのか、すぐにチェックすることができますよね。ギタリストはみんな、独自のプレイ・アプローチを持っているものです。例えば強靭な右手を持っているギタリストは、力強く弦をかき鳴らします。一方、効率的に軽い力で弦をかき鳴らそうとするギタリストもいるでしょう。音楽に合わせてアタックを駆使し、様々なダイナミクスを呼び起こすことができるようになる人もいます。そんな風に彼らの音を聴き、どのように楽器を演奏しているかを把握することで、最も適切なアンプを提案することができるんです。

弊社のアンプ・デザイナーであるランドル・スミスは、デザイン部門のスタッフや、研究開発部門のダグ・ウェスト、それに営業部と何度も何度も入念に打ち合わせして、考え抜きながらアンプを創造しています。また弊社に勤務しているスタッフはみんなが何かしらのプレイヤーなので、そうやって作られた自社のアンプがどのようなレスポンスを持っているか、経験的にとてもよく知っています。先ほど言ったように私自身もレコーディングの経験があり、ギター・トーンの追求を行なってきたので、それも色んなアーティストに対して最善のアンプを選ぶことができる役に立っていると言えますね。

YG:メサブギーは1970年代にはブルースやフュージョンなど幅広いジャンルのギタリストに受け入れられ、1980年代にはハード・ロック、1990年代にはヘヴィ・メタル、2000年代にはモダン・ヘヴィネス系のギタリストから絶大な支持を得ましたよね。2017年の現在は、どんなジャンルのギタリストに最も人気がありますか?
TM:あらゆるジャンルのミュージシャンやギタリストに興味を持っていただいていると思います。その理由は、弊社のアンプが多様性に富んでいるから、そして弊社のクラフトマンシップや信頼性の高さを理解してくれているからだと思います。もちろんランドル・スミスはハイ・ゲイン・アンプの先駆者ですから、そういったサウンドを求めるプレイヤーたちに最も訴求するでしょう。自然な倍音を奏でることに留意してデザインをしていますから、ヴォーカリストが歌っているような洗練された表現力を持つギター・ソロには特にぴったりとハマります。素早くタイトなレスポンスを持つ、暴力的なメタル・リフ・サウンドを生み出すこともできます。また例えば“Mark V”や“JP-2C”は、クリーンなトーンを求めるジャズ系や、ナッシュヴィル・サウンドを求めるカントリー系、ブルース系などのプレイヤーに愛用されており、一方で重度のメタル野郎にも使われているんですよ!

YG:メサブギー全製品の中でも、アーティストからの需要が最も高い製品は何でしょうか?
TM:ここ数年、最も人気のある製品は明らかだと思います。例えば“Dual Rectifier”、“Triple Rectifier”、“Mark”シリーズの血を引く“Lone Star”、そして“Mark V”で、最近だと“JP-2C”ですね。また近年、弊社は小ワットの素晴らしい小型アンプも開発しており、人気を博しています。例えば“Mark V 25”、“Mini Rectifier”、“Transatlantic 15(製品としては廃盤)”などで、いずれも多彩な機能を持っており、豊かなトーンがあり、パンチの聴いた音を鳴らすことができます。また最新アンプ“Triple Crown TC-50”と“TC-100”も、幅広いジャンルでどんどん知名度を上げています。

YG:アーティストからの細かい要望に応えて、既存の製品を改造することもあるのでしょうか? 例えばラックに収まるよう筐体をデザインし直したり、真空管やスピーカーの種類を変えたり…。
TM:そうですね。例えば外装のカスタマイズが一例で、特殊なビニールを用いたり、グリルを変更したり、レザーやハードウッドなどを使用したり…。ただそういったオプションは、一般のお客様も全く同じように選択することが可能なんです。多くのアーティストが用いている特徴的なルックスのアンプも、そういったオプションを使用しているだけであることが多いんですよ。また特別なプリントを施したグリル・クロスが組み込まれているアンプやキャビネットで有名なアーティストもいますよね。弊社が今までにやったことのないカスタマイズの提案をいただく機会もありました。そんな風に新しいアイデアを聞かせてもらえると、仕事がより楽しくなりますね!

YG:メサブギーのアンプを使用している中でも、カルロス・サンタナは最古参のアーティストですよね。彼は現在まで“Mark I”にこだわって使い続けていますが、どんなところに魅力を感じているのだと思いますか?
TM:私がカルロスの代わりに答えることはできませんが…、おそらく彼は自分が音に求める要素と、アンプに求める要素を確実に把握しているのだと思います。それが“Mark I”にこだわっている理由なのでしょうね。彼は自身の「声」を、常にあのアンプのサウンドを駆使することで表現しています。洗練されていて、豊かで、表現力に満ちた、ヴァイオリンのようにサステインが効いたトーンです。

ちなみにカルロスは数年前、自分がかつて日本武道館で行なったライヴの音を聴きなおして、その時使っていた1971年製の“Mark I”数台を引っ張り出して再び使うようになりました。そこから機能をアップグレードさせたトリビュート・アンプを製作しよう…という話が持ち上がり、完成したのが“King Snake”です。約600台の限定生産で、より詳細な話は下記のリンクから読むことができます。台数は少ないですが、まだ市場で販売されているはずですよ。機能はシンプルですが、非常に表現力の豊かな汎用性の高いアンプですよ。

http://www.mesaboogie.com/support/out-of-production/king-snake.html

YG:おそらくヘヴィ・メタル・ファンの多くは、メサブギーを「メタリカがいくつもの名盤を録ったアンプ」と認知していると思います。彼らはあなたたちにとってどのような存在でしょうか?
TM:確かに彼らが弊社のアンプを35年近くに渡って使用しているのは、周知の事実ですね。『MASTER OF PUPPETS』(1986年)などで聴ける特徴的なサウンドは、ご存知の通り“Mark IIC+”によるものです。当時使っていた“Mark IIC+”を、メタリカはいまだに愛用しているんですよ。ですから彼らの音は、メタル・プレイヤーの間で常に引き合いに出されて来ました。もちろんあのサウンドは、オリジナルの“Mark IIC+”を使用すれば再現できますが、既存の“Mark V”や“JP-2C”でも出すことができます。“Dual Rectifier”でメタリカに限りなく似たトーンを出しているプレイヤーもいますよね。

YG:メサブギーのアンプを使って最も美しいサウンドを出すギタリストは、アンディ・ティモンズだと個人的に思っています。彼は“Lone Star”を長年使い続けていますが、彼のアンプには何か秘密があったりするのでしょうか?
TM:この質問に対しては、先入観や主観が入ってしまわないよう客観的に答えるのがベストでしょうね。アンディは非常に優れたギタリストでありミュージシャンです。自身の音楽を表現するのに合ったアンプを的確に選び、ギター1本から多彩なトーンを引き出しています。私たちミュージシャン全員が目標としていることを、彼は成し遂げていると言ってもいいでしょう。「自分の頭の中で聴こえる通りにプレイできる」、そう言い換えてもいいかもしれません。私たちが楽器やその他のツールを作成する時、この考え方が常に根底にあります。

アンディは“Lone Star”2台をステレオでセットして、自身のサウンドを創り出しています。パワー管に関しては、EL34を用いるのが好きなようですね。メサブギーのアンプにはBias Selectスイッチが搭載されているので、6L6管とEL34管のどちらが自分好みか、とても簡単に試すことができます。例えば6L6管の代表的なアンプは、フェンダー“Twin”ですね。EL34管はマーシャルに使用されています。このような歴史的背景から、ギタリストはEL34管を「ブリティッシュ」、6L6管を「アメリカン」と認識しているのではないでしょうか。

6L6管を使用するとEL34管と比べて音が大きくなり、丸みがありながらガラスのようにきらびやかなボトムが得られます。一般的にはスムーズな仕上がりのサウンドと言えるでしょう。ヘッドルームが大きいのでクリップしにくく、音量をかなり上げてもクリーンなサウンドが得られます。一方クリップした時のサウンドは、より暖かみがあってスウィートと表現されることが多いですね。

EL34管は6L6管に比べて低音域のレスポンスが少なく、出力も低くなっています。他の真空管同様、大音量でクリップさせるといい感じに生々しくて荒っぽい音になります。おそらくアンディは、ストラスキャスター的なギターとEL34管を搭載したLone Starの組み合わせから生まれる、少し間があって生っぽいダイナミクスが好きなのだと思います。ちなみに彼のアンプは、真空管以外の部分は全く改造されていないので、誰でも同じ物を買うことができますよ。

YG:では最後に…、メサブギーのアンプの魅力を、ティムさん自身はどう捉えていますか? もし個人的にお気に入りのアンプがあれば、それも教えてください。
TM:私にとってのメサブギー・アンプの魅力は、それぞれに染み込んでいる人間味だと思います。それは会社そのもの、つまり北カリフォルニアの田舎町にある工場そのものを体現していると言えます。もちろん設計やデザインへの気配り、そしてユーザーのみなさんへのサポートの厚さも魅力でしょう。弊社のサポートはファンクラブのようだと評されて来ましたが、それはスタッフ全員がメサブギーのファンだからなんです。みなさん全員に、「メサブギー体験」を愛していただきたいと考えています。

そして私のお気に入りのアンプですね。今週のお気に入りは…(笑)、最近だと“Lone Star”と“Mark V”を、ギグの際にまたよく使うようになりました。“TC-50”もとても気に入っていますね。それから、ベースを弾く時には“Subway D-800”。あと“JP-2C”の音の分厚さと操作の簡単さにも、すぐにぞっこんになってしまいました。昔は“Roadster”と古い“Mark IIB”にハマっていたこともありましたね。

誌面プレビュー

当ページの連動記事をヤング・ギター本誌に掲載!