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アントン・カバネン、バトル・ビーストを解雇されたと語るインタビューが公開

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去る2月26日、フィンランドのピュア・メタラー:バトル・ビーストから、そのリーダー兼ギタリストのアントン・カバネンが脱退したことが伝えられた。…いや、アントン本人の言葉によると、これは自らの意志による“脱退”ではなく、強制的な“解雇”だったという。事実上、すべてを取り仕切っていたリーダーが他のメンバーから解雇されるというこのショッキングな離脱劇について、アントンは地元フィンランドのジャーナリストとのインタビューでその理由の一部を語っている。以下、その全訳。

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アントン・カバネンの声は、まるで一晩中起きていたかのようだった。バトル・ビーストのギタリストの喉は疲れで重く、言葉の合間合間に溜息をついた。まるで感情を抑えようとしているかのように。もっと正確には、彼は“元バトル・ビーストのギタリスト”ということになる。今朝届いたニュースによれば、カバネンはバンドから解雇されたそうだ。さらに正確にいえば、彼は単なるギタリストではなかった。彼はバンドのすべての曲を作曲しており、このバンドの設立メンバーであり、グループを1つにまとめてきた人物なのだ。バンド名を考えたのも彼なら、自身の創作物を完成させるためにメンバーを一人ひとり見つけてきたのも彼だ。

今、彼は、フィンランド、そしてヨーロッパ全土において成長過程のまっただ中にあった自分自身のメタル・バンドからクビを言い渡されてしまった。いったいどういうことなのだろう?

その兆候はこれまでにも水面下で起こっていたんだ。俺達の間にはよく意見の食い違いが起こっていた」(以下「 」内はすべてアントンの発言)。

俺はバンドを去りたくなかった。だけど主導権が残りのメンバー側にあり、俺が出て行かなくてはならない状態だった。バトル・ビーストのブランドは俺ではなく、バトル・ビースト・カンパニーが所有しているんだ。その会社には今、俺に反対する人間が5人いる。俺はどうすることもできない状況なんだ…

カバネンの言い方は若干苦味を含んでいる。彼にしてみれば、ブランドは彼自身のものであるべきだろう。学校に通っていた時代から自分が作り上げてきたバンドだからだ。しかし法に抗うことはできない。その法によれば、これが妥当な流れになるようだ。どうしてこのようなことになってしまったのだろうか? 手短に説明するとこうだ。バトル・ビーストのすべての楽曲の作者であるカバネンは、自身の強力なヴィジョンのもと、妥協なしに音楽を作っていきたかった。彼の意見では、曲に自らが欲しいと思う要素を得るには、他のバンド・メンバーには「音楽的なノウハウが不足している」らしい。ラフのアイデアをリハーサル・ルームに持ち込み、メンバーと共に曲を作り上げていく方法はアントンの作曲スタイルではない。彼は総てを綿密に計画していきたかった。しかし他のメンバーにそれを受け入れる準備が出来ておらず摩擦が起きるのは避けられない状況だったのだ。

もちろん、他にも理由はいっぱいあるよ。今はまだ話す準備ができていないけど」とカバネンは付け加える。

しかし、主な理由は音楽だ。この状況はアットゥリ・タイラがフィンランドのポップ・ロック・バンド:RUBIKの活動を終了させてSHIVAN DRAGONを始動させた時の状況と似ているものがある。バンドの主力コンポーザーであったタイラは、彼の持つヴィジョンは現在のラインナップでは実現できないことに気づいていたから、新しいバンドを始めるしかなかったのだ。しかしこのRUBIKのケースでは、タイラは昔のバンドをちゃんと終わらせ、新しいバンドを作ることができている。バトル・ビーストのケースでは、カバネンは他人の手によってグループを去るよう強いられている。

結局のところ、音楽がすべてなんだよ。もし自由にクリエイティヴな活動ができず、他のメンバーと衝突ばかりしているなと感じたら、もうそれだけで俺は続けることはできない。それに、そんな風にいちいち衝突するなんて、ただのエネルギーの無駄使いだ。やっぱり、全体としてもっと強力な存在になれたんじゃないか、このバンド自体もう少しうまくやれたんじゃないかと思うよ」とカバネンは振り返る。

脱退の知らせに衝撃を受けているはずのファンには、アントンは何を伝えたいのだろう? 電話口の声がやや張りつめたようになった。

まず何よりも、ファンのみんなや友人たちが大きくサポートしてくれたことに心からのお礼を伝えたい。次に始めるプロジェクトでも、バトル・ビーストと同じだけの興味を持ってついてきてくれることを願うよ。知っての通り、俺は音楽を作り続ける。それが俺の生きている理由だからね」とカバネンは言う。

今の段階では、何をするか、いつやるのかといった詳しい話を明かすことはできない。多分これまでと似たようなトラディショナル・ヘヴィ・メタルになると思う。今は3枚のアルバムを制作した経験があり、以前よりもましなやり方が身に付いているはずだ。新しいプロジェクトで新しいバンドを作る時は、より慎重に物事を進めていくつもりだよ。きっと以前の活動よりずっと良いものができると信じている

なお、バトル・ビーストの他のメンバーは、カバネン解雇の決断を下したことに関するコメントを控えている。

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 アントンは日本のファンにむけてのメッセージも送ってくれた。

まずは、日本のファンや友人、一緒に仕事をしてきた人達に感謝したい。君たちのその美しい国を訪れた際には、かけがえのない思い出を作ることができた。そして、新しいバンドと共にまた日本を訪れ、さらに素晴らしい思い出を作りたいと思っているよ! これからも注目しててくれ!

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BATTLE BEAST 作品紹介

UNHOLY SAVIOR
UNHOLY SAVIOR

BATTLE BEAST

『アンホーリー・セイヴィアー』

バトル・ビースト

CD | ワードレコーズ | | 2015年1月7日発売

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アルバム・レビュー

過去に“LOUD PARK 14”を含む2度の来日公演を行なった、フィンランド出身パワー・メタラーの3rd。質実剛健な正統派メタルを基盤とし、硬派な姿勢を残しながら前作以上にメロディックな面が強化された印象だ。鍵盤の存在感をより出しながら、キャッチーでノリの良いアレンジを施すことで(ダンサブルな楽曲もあり!)、さらなる深みと広がりが作品を包んでいる。前作から加入の女性ヴォーカル:ノーラ・ロウヒモのパワフルなシャウトも相変わらず凄まじいが、バラードで聴かせる透き通った可憐な側面にも注目。アントン・カバネン(g)によるツボを押さえたソロもガッツリ弾きまくられており、それも好印象。
(新垣新哉)