アレキシ・ライホ:シナジー 2002年『SUICIDE BY MY SIDE』インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ:シナジー 2002年『SUICIDE BY MY SIDE』インタビュー[期間限定]

シナジーは3枚目のスタジオ・アルバム『SUICIDE BY MY SIDE』を最後にリリースが途絶え、自然消滅となってしまったが、アレキシとローペによる豊富なギター・プレイが堪能できるアグレッシヴな1枚としてファンに親しまれた。当ページでお届けするインタビューはヤング・ギター2002年2月号に掲載されたもの。チルドレン・オブ・ボドムと並行して活発な動きを見せるアレキシに話を聞いた。

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※この記事は2021年8月までの期間限定で公開されます。
※インタビューの内容は、基本的に当時のヤング・ギター本誌に掲載されたものを復刻しています。

みんな誰かに影響を受ける。そうやってギターは進化してきた

アレキシ・ライホ 2002年

YG:チルドレン・オブ・ボドム(COB)とシナジー…、あなたにはギタリストとして2つ表現の場所があるわけですが、あなた自身はどのようにギターを弾き分けようと心がけてますか?

アレキシ・ライホ(以下AL):ギター・プレイに関しては、シナジーでプレイしようが、たとえレイ・チャールズとプレイしようが(笑)、俺は自分のプレイをすると思うよ。作曲的にはシナジーとCOBでは確かに違うけどね。演奏している音楽もメンバーも違うから、リフやメロディーにしてもそれに応じて振り分けるんだ。でもギター・プレイに関しては、いつも自然にプレイしてるよ。

YG:じゃあ、キンバリー(ゴス)というフロントマンがいるシナジーの中でギターを弾くのと、自分がヴォーカルも執るCOBでギターを弾くのと、どちらが居心地がいいでしょう?

AL:両方楽しんでいるよ。COBでヴォーカルを執りながらギターを弾くことに関しては何の問題も無いし、慣れているからね。シナジーではギターに専念できるから、自分のヴォーカルのことをまったく考えなくていいのも楽しいし。長い間ツアーをしていると最悪な日もあって、あまりライヴでノれない時などもあったりする。もちろんそういう部分は観客には絶対見せないようにしているし、俺もヴォーカリストとして曲間にMCを入れたりする際はエネルギッシュに振る舞うようにしているけど、時には辛いことがある。シナジーでは、頑張ってオーディエンスを引っ張ったり煽ったりする役を演じなくていいな。でも、普通はそんなの問題じゃないよ。たいていの場合、ステージに上がると気分もパッと晴れるしね。

YG:ギター・プレイに関して、変わってしまう部分なんてないと…?

AL:とにかく意識的に変えたりすることはないね。すべてナチュラルにやっているだけ。俺はギタリストとして常に改善するべく、今も努力しているし、練習もする。いつでもプレイを成長させていきたいと思う。そうやって常に何か新しいことがやれないかと考えている点においては、シナジーもCOBも同じさ。

YG:じゃあ、今回のアルバムで初めて挑戦したプレイはありますか? レコーディングのためにテクニック的に練習しなければならなかった曲っていうのがあるんでしょうか?

AL:そうだな…、いや、何だか言っていることが違うかもしれないけど(笑)、俺は10代の時に集中してじっくり練習したから、特にテクニック的な練習をする必要はないんだよね。もう自分の血となり、肉となっているから。でも、最近はピッキングにより注意を払って取り組むようにはしているな。スピードだけじゃなくて、たくさんピッキングしなければいけないような曲では、“切れがあってシャープな音”を出せるように意識している。ちょっと上手く説明出来ないけど、そういう基本的なことやサウンドに集中するようになったね。それから、つい5年ぐらい前にはあんまり考えていなかったことなんだけど、今は特にリズム・ギターに関心を払っているよ。リフこそが曲を本当にロックさせ、グルーヴさせると思うからね。すごいテクニックだのどうのということより、何が曲をクールなサウンドにさせるか…ということの方が重要だと思うんだ。例えばザック・ワイルド。彼はもちろん優れたソロも演れる人だけど、彼のリズム・プレイは実に際立っていると思う。それが、彼を偉大なプレイヤーにしているんだ。

YG:リフといえば、あなたは合間に細かいオブリガートを挟む、というプレイ・スタイルが独特ですよね。こういうスタイルは、どんなギタリストからの影響なんでしょうか? やっぱりランディ・ローズ?

AL:確かにランディ・ローズからは影響を受けたよ。今でも大好きだしね。でも、今となっては影響がどうとか、あんまり考えないなあ。自分では分からない、というのが正直なところだね。プレイしていて「いいな」と感じるものをやっているだけだし。でも、もちろん誰もが誰かから影響されてきたと思うし、俺自身そうなんだろうと思うよ。

YG:彼ら先人から受けた影響を、今は自分なりに消化してしまったと…。

AL:うん、実際ギター・プレイはそんな風にして進化して行ったんじゃないかな? みんな誰かから影響を受け、練習したりコピーしたりしているうちに——自分なりに改良したり、自分のバンドにそのスタイルを当てはめたりするうちに、違うプレイに発展させていったりするんだ。「自分は誰の音も聴かずに、1人だけで練習してこうなりました」なんて言う奴がいたら、それはナンセンスだよ。

YG:あなたのそういったプレイ・スタイルのおかげで、今回のアルバムにも、1曲1曲メロディーがふんだんに溢れかえってますよね。「I Spit On Your Grave」などでは、派手にリード・ギターを弾いている中でキンバリーが歌っているにもかかわらず、すべてのパートが良さを殺し合うことなく曲の中に溶け込んでいます。

AL:曲のヴァースの中で、メロディーはすごく重要な要素なんだ。その曲のバックで俺はスウィープ・アルペジオをやっている。曲をじっくり聴かないと気づかない部分かも知れないけどね。もちろんヴォーカル・メロディーが一番目立つべきものだけど、その一方では実はクレイジーなアルペジオ・ギターが延々鳴っている……というアンバランスさが逆に面白いだろ?(笑) こんな風に、何か面白いことを隠し味的に取り入れることができないか、と常に考えているんだよ。でも、それは“やり過ぎないこと”を念頭に置いていないとダメなんだ。ヴォーカル・メロディーを最優先しながら、それを損なわないように気をつけないとね。みんなが目立っている理由は、全員が作曲に参加しているうちに、作曲段階で色々な側面から楽曲にアプローチするから、いい形で楽曲のパッケージが仕上がっていくんだと思うよ。みんな自分のことばかりを考えたりせずに、いい感じで溶け込むことを前提に考えているからね。

音楽にはメロディーがあるべき。だからギターがそれを奏でる

YG:作曲面でシナジーとCOBは違う、ということですが、その違いというのは何でしょう?

AL:そうだな…。まず、シナジーには俺とローペ(ラトヴァラ)という2人のリード・ギタリストがいるから、クールなツイン・リードをアレンジする機会が持てる。それはCOBではやらないことだよね。さらにシナジーではバラードなど、スローで落ち着いた曲を書くことができるんだ。COBではクリーンなギターなんて決して弾かないけどね。今回のアルバムでも、「Written In Stone」というバラードをやっている。そういうのはいつもの自分と違っていて面白いんだ。

YG:先ほどの話とも共通することですが、COBはあなたのヴォーカルがデス・ヴォイスなので、メロディーはむしろギターとキーボードが作るという感じですよね。シナジーではキンバリーのヴォーカルがあるため、その時その時にメロディーを担当するパートを目立たせなければならない…という難しさがありませんか?

AL:なるほど、確かにヴォーカル・パートを際立たせるという点においては、そう言えるかもしれない。COBでは常にキーボードやギターがメロディーを弾いているからね。それは俺のヴォーカルにメロディー性が皆無だ、という理由があって——音楽の中には常にメロディーが発生していてもらいたい、と俺は思っているからね。だからギターは絶えずメロディーを担当するんだ。

YG:あなたの作るメロディーって、時に信じられないぐらい印象的なんですよね。そういったメロディーって、一体どこから、どういった瞬間に思い浮かぶんでしょう?

AL:メロディーが浮かぶ時には色々なケースがあるけれど、リフを弾いている時とかが多いかな。良いリフだったら、その上でヴォーカルを乗せたりするわけだからね。でも、すべて自ずから浮かんでくるものなんだよ。逆に、曲は完成しているのに、メロディー・ラインだけがなかなか決まらずに苦戦したこともある。そういう時にはヴァースを延々とプレイしながら、あれこれ考えたり練ってみたりして。何十時間も頭を悩ますこともあるな。

YG:それだけ頭を悩ませて、メロディーが思い浮かんだ瞬間ってどんな感じですか?

AL:「あ、これだ」と分かる感じ。適切なものが浮かんできた時には、それと分かるものさ。「これだ、これに違いない」というフィーリングを受ける。

YG:案外あっさりしてるんですね(笑)。

AL:まあね(笑)。でも、今回のアルバムではそのフィーリングを特に強く感じることが多かったな。いつもアルバムのレコーディングを終わらせた直後——普通はマスタリングをしている時だけど、俺はあれこれと「ここはこうやれば良かった」「あそこはこうすれば良かった」と考える方で、しばらくしてから自分の作品を受け入れて好きになれたりするタイプなんだけど、今度のアルバムは完成した時から「これだ!」と思った。まさにアルバム全体がしっくりと、「あるべきところにはまった」という感じだな。

FEATURED ALBUM

『SUICIDE BY MY SIDE』SINERGY
2002年発表

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