アレキシ・ライホ: 2005年『ARE YOU DEAD YET?』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ: 2005年『ARE YOU DEAD YET?』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ率いるチルドレン・オブ・ボドム(COB)は、2005年に5枚目のスタジオ・フル・アルバム『ARE YOU DEAD YET?』をリリース。このタイミングを受け、世界的な人気の上昇の後押しもあって、ヤング・ギター2005年10月号では大々的にアレキシの表紙及巻頭特集が組まれた。その時に掲載されたのが、下記のロング・インタビューとなる。

注意事項

※この記事は2021年8月までの期間限定で公開されます。
※インタビューの内容は、基本的に当時のヤング・ギター本誌に掲載されたものを復刻しています。

総てはリハーサルの中で自然に生まれる

YG:’03年2月の日本から始まった“HATE CREW DEATHROLL”ツアーでは、ヨーロッパを廻り、そしてアメリカにも3度上陸しましたね。まずは、あの長いツアー全般の充実感から訊かせてくれますか?

アレキシ・ライホ(以下AL):クレイジーと言えるほど充実してたよ。長期に渡るものだったからね。日本を皮切りに、アメリカでは合計100公演以上演ったんだ。その他、色々なフェスティヴァルにも参加したし…。それだけに良い経験は沢山あったな。ツアー終盤の頃には誰もが疲労のピークに達していたから、かなり辛かったけど、でも楽しい事も山ほどあった。中でも、数多くの良い演奏を残す事が出来たってのは、最大の喜びだよ。素晴らしいと思うのは、このツアーが、バンドにかつてないほどのプラス要素をもたらしたって事。俺達は今回のツアーを経てステップ・アップする事が出来た、そう自負しているよ。

YG:昨年11月、アメリカ・ツアー終了直後のインタビューで、(「アメリカの観衆はギター・ソロに対しては冷ややかな部分があるけど」というYGの質問に対して)「ギターに興味のある連中はアメリカにも大勢いるというリアクションを感じた。かなりの連中がギター・オリエンテッドな曲の復活を喜んでいた」と話していたけど、これはギタリストにとって嬉しいリアクションですよね?

AL:本当にそう思う。「アメリカの連中はギター・プレイに興味がない」って聞かされていたから、正反対のリアクションには本当に驚いたよ。最近の多くのバンド、特にアメリカで“ニュー・メタル・バンド”とカテゴライズされている連中は、リード・ギターらしきプレイなんてしないだろ? だからそうではないギター・オリエンテッドなものをまた聴きたいという欲求が、多くの人達にあったんじゃないかな。メタル・ミュージックに限らず、ロック全般にギターものの復活を望む気持ちがあるんだと思うよ。色んな人に「こういうプレイを復活させてくれてありがとう」なんて言葉を掛けられたもの。もちろん、俺だけがそれを演っている訳じゃないけど、俺達はそういう風潮を取り戻そうと頑張っているバンドの1つなんだ。だから、今回の反応はマジで嬉しかった。

YG:これがデビュー直後の’97年頃だったら、また反応は違っていたでしょうね。

AL:「ギター・プレイ満載の曲? 今はいつだと思ってるの」なんて、誰にも相手にされなかったはずだよ(笑)。でも実のところ、俺達にはそんな事、関係ないんだ。たとえシーンのアティテュードがギターに否定的であったとしても、俺達は俺達の音楽をプレイするだけ。トレンドなんて気にせずに行きたいね。

YG:’03年〜’04年は充実したワールドワイド・ツアーが出来た訳ですよね。だからこそ、新作が勝負になると思うんですが、今回のアルバム制作に際しては、これまでと異なる意気込みがありましたか?

AL:ああ…、それは分からないな。まぁ確かに、これだけのツアー経験は、無意識のレベルで俺達の曲作りに影響を与えたかもしれない。でも、違う姿勢や考えを持ってスタジオに入った訳じゃないよ。俺達は今も昔も「常にベストを尽くす!」という意気込みで曲を作るし、「可能な限りヘヴィでアグレッシヴなアルバムを作りたい」って気持ちは、何があっても変わらないし変われない。俺達は、常に俺達にとってベストなものを作りたい、それだけなんだ。

YG:まずメンバーに関して訊いておきたいんですが、ツアー途中から参加したローぺ(ラトヴァラ/g)がレコード会社の資料には[サポート・メンバー]と表記されています。彼は正式なメンバーではないんですか? 

AL:いや、今はもう正式メンバーだよ。レコーディングにも参加した。

YG:さて、新作『ARE YOU DEAD YET?』の制作に入る前、メンバーと内容、方向性に関して話し合うような事はありましたか?

AL:それは当然。…いや、具体的に「内容をどうしよう」という会話はなかったな。でも、何ヶ月も毎日リハーサルした。クールなサウンドにするため、死ぬほどリハーサルを繰り返したんだ。その結果、みんな同じ考えだという事が、感覚で分かったよ。どういう方向性の音楽を追求するかって、話し合って決めるものじゃないと思うな。言葉にしなくても、リハーサルを重ねて行く事でそれはより明確になる。言葉なんて必要ない訳さ。「こういうスタイルにしよう」「今回はこういう方向を目指すべきだ」「サウンドのカラーはこれで統一して」なんて事を具体的に座って話したって、実感は湧かない。総ては、リハーサルの中で自然に生まれ出て来るんだ。だってそうだろ? あまり考えすぎると、純粋じゃないものしか生まれないよ。

YG:“ヘヴィ&メロディアス”がCOB不変のテーマであり、今回もそれは貫かれている訳ですが、それって自然に形成される性(さが)みたいなもの?

AL:そうだろうね。説明が付かない、自然に形成されるものだよ。敢えて分析すれば、それは音楽を選り好みしない姿勢の中から生まれて来るものだと思う。俺だけじゃないよ。メンバー全員あらゆる音楽を愛しているんだ。俺自身、良いものだったら何でも聴く。メタルじゃないと聴かないという訳じゃないんだ。もちろん、ティーンエイジャーの頃はデス・メタルとブラック・メタルしか聴かない時期もあった。でも今はジャンルなんて関係ないね。テクノだって何だって、心地好ければ、カテゴライズに惑わされたりはしない。メロディーらしきものが一切ない究極の前衛的音楽以外だったら聴くね(笑)。俺はメロディーを感じさせるものが好きなんだ。それを素にした音楽総てが何らかの形で頭の中でブレンドされ、COBの音楽として生まれて来るんだよ。

YG:具体的な作曲の方法は?

AL:上手く言葉では説明出来ないんだけど…。メロディーやコード進行やリフ、あるいは細かいピースのアイデア、それらが、どこからともなく俺の頭の中に入って来るんだ。洗濯をしている時やブラブラしている時、何て事ない時にふと頭に浮かぶんだよ。そしたら、そのアイデアをギターで弾いてみて、更にメンバーとジャミングしてみる訳。そんな風に曲は形になって行くんだ。つまり、基本的には素になるアイデアを俺がまとめて、メンバー達と一緒に膨らませて行くって感じだね。1つでも2つでもアイデアがあって、あと方向性みたいなのが何となくバンドの中にあれば、曲は形になりやすいんだよ。要するに、バンドとしてのケミストリーが必要だって事さ。稀に、ギターを何となく弾いている時、幸運にもそれだけで決まり…みたいな御機嫌なものが生まれる時もあるけどね。何も考えずに弾いているフレーズが「エッ!? クールじゃないか」と思える事もあるんだ。

YG:以前、「クラシックは1人で部屋にこもってじっくり聴かなければ気が済まない(つまり、手軽にバックグラウンド・ミュージックとして聴き流す事は出来ない…という意味)。18世紀の音楽に比べたら俺達の音楽ってシンプルだよ」とクラシック音楽を崇拝していたけど、そこから作曲に関する何かを学ぶ、採り入れる、そういう事はありますか?

AL:クラシック音楽を聴く事によって、最近の他の連中とは違うアプローチで良い曲を書ける方法ってものを見付けた気がするんだ。一般の音楽ファンには分かって貰えないかもしれないけど、ミュージシャンにとってクラシックは、とてもとても興味深い音楽なんだ。いや、もちろん楽器を演奏しない人でもクラシックは楽しめるよ。でもミュージシャンだと、クラシック曲特有の展開、使用される数多くの楽器や音…、実に細かい所までエンジョイ出来るんだ。本当にあれはクレイジーな音楽だよ。だって、40以上もの別々のパートが同時進行しているんだぜ! だからクラシックは、何度聴いても飽きない訳さ。聴く度に新しい発見がある。クラシックのコード進行は今のそれと違うから、現代音楽とそれをさりげなく融合させるのが面白いんだ。最近のCOB作品は昔ほどクラシカルな要素が前面に出てはいないけど、でも実は、その要素はしっかり入っている。