アレキシ・ライホ:2009年『SKELETONS IN THE CLOSET』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ:2009年『SKELETONS IN THE CLOSET』復刻インタビュー[期間限定]

’97年のデビュー以来、アルバムのボーナス・トラックやシングルのカップリング用として、様々なカヴァー曲を録音してきたチルドレン・オブ・ボドム。それらを中心に新規レコーディングも加えたカヴァー・アルバム『SKELETONS IN THE CLOSET』が、2009年にリリースされている。ラモーンズなどのパンク、スコーピオンズなどのレジェンド・ロック、ブリトニー・スピアーズといったポップスまで、意表を突くような選曲とCOBらしいアプローチが生きたお楽しみ作品。その制作背景と各アーティストへの思いなどを、同年10月号の本誌インタビューにて語ってくれた。

最高のヘヴィ・メタル・ソングにできる確信があった!

Alexi Laiho
Alexi Laiho 2008.7 in Japan

YG:『SKELETONS IN THE CLOSET』に収められているのは、様々なタイミングで発表してきたカヴァー曲ですよね。これをまとめることになった経緯は?

アレキシ・ライホ(以下AL):いろんな奴から「あのカヴァー曲はどのアルバムに入ってるんだっけ?」みたいに聞かれることが、ここ数年に何度もあったんだ。確かにカヴァー曲はバラバラに収録されているし、特定の国のためのボーナス・トラックだと、他の国の人は入手するのが困難だったりもする。だから1枚にまとめたものを出すのもいいんじゃないか…って意見が多かったから、それもいいかと思ったんだよ。今のワールド・ツアーは(2009年)11月に終わるんだけど、その後で次のアルバム作りに入るから、その前に何かを出すにはいいタイミングだったしね。

YG:それにしてもこんなに多くのカヴァー曲がたまっていたなんて、自分のことながら驚いたのでは?

AL:まあね。何曲ぐらい録音したかなんて考えたことはなかったんだけど、気が付いたら1枚のアルバムに収録しきれないぐらいに膨れ上がっていたんだ。確かにかなり多いよな。

YG:今回新たにレコーディングしたものは?

AL:パット・ベネターの「Hell Is For Children」とトラストの「Antisocial」は2ヶ月ぐらい前に収録したんだ。今までチルドレン・オブ・ボドムを追ってきてくれたファンへのボーナスとか、そんな感じかな。何か特別なことをしたかったんだよ。日本盤に入ってるキング・ダイアモンドの「Waiting」は10年ぐらい前に録音したヤツだから、時期にすごい開きがあるね。

YG:ちなみに“skeletons in the closet”って、“身内の恥”とか“他人に見せたくない家族の秘密”みたいな慣用句ですよね。何やら意味深ですが…?

AL:ハハハ、さあね(笑)。これらの曲はクローゼットの中に10年ぐらいぶら下がっていた骸骨だったのさ。やっとみんなに見せる時期になったから、骸骨を外に出す気になったわけ。

YG:深く考えるなということですね(笑)。他人の曲をカヴァーする時、原曲に忠実にする場合と壊す場合とありますが、アレキシはどちらが好きですか?

AL:曲にもよるし、アルバムの中にはどちらのパターンもあるけど、基本的には全く違うアレンジを施すのが俺のやり方。ニュー・ヴァージョンを作るんだ。いや、もちろん骨組みはオリジナルに忠実であるべきだけど、全く同じことをやったって面白くないだろ? とは言え、原曲をブッ壊すような場合でも、そこにはやっぱり元のアーティストに対するリスペクトがあるわけだけどね。それは重要さ。

YG:では収録曲について聞かせてください。クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの「Lookin’ Out My Back Door」は、スピード・メタル・サウンドにバンジョーのミス・マッチが面白いですね。

AL:このバンジョーは俺の友達が弾いたんだよ。ものすごくクレイジーなヴァージョンを録音したくて、ウッド・ベースやバンジョーを入れてみたんだ。俺が知ってる仲間でバンジョーを持っている奴は1人だけだったけど、電話をして弾いてくれって言ったらすぐOKをもらえたよ。爆笑ものだろう? クールさ。

YG:新しい発見ですね。対してパット・ベネターの「Hell Is For Children」は、カヴァー曲だって言われなければ気付かないほどにハマってますね。

AL:初めて聴いた時から、いつか絶対にカヴァーしてみたかったんだ。最高なヘヴィ・メタル・ソングにできる確信があった。ギター・リフをかなりアレンジし直したし、キーボードも加えたけど、それ以外はオリジナルに忠実なヴァージョンだよ。最高な曲だから、あまり手を加えたくなかったんだよね。

YG:ラモーンズの「Somebody Put Something In My Drink」は、オリジナルに比べてメロディーが強力に“泣いてる”感じ。これは「どうせカヴァーするなら俺たちらしくしようぜ!」ということですか?

AL:ああ、でもそれはすべての曲に対してそうなんだよ。どの曲も「さあ、COBらしいサウンドにするぜ!」って取り組み方さ。ヴォーカルやキーボードやギターのプレイで、俺たちらしさをアピールするんだ。でもこれってパンク・ソングだから、アレンジ自体はオリジナルとそんなに大きく変わらないよ。確かにキーボードは入っているけどね。まあ、「ヘヴィにしてやる!」っていう気持ちは強かったかな。

YG:スコーピオンズの「Don’t Stop At The Top」は、『SAVAGE AMUSEMENT』(’88年)の曲というのが意外なんですが、どうしてこのチョイスを?

AL:他の曲に関しても同じなんだけど、俺たちは王道な曲を選ぶのが嫌いなんだ。「Don’t Stop At The Top」にしたのは、何百ものバンドが既にカヴァーした「Rock You Like A Hurricane」(’84年『LOVE AT THE FIRST STING』収録)とかをやりたくなかったから。それに知ってると思うけど、これっていい曲だぜ。オリジナルもぜひ聴いてほしいね。

YG:「Sirent Scream」はスレイヤーの曲ですが、同様のエクストリーム・メタルをやっているCOBにとって、ある意味逆にチャレンジだったのでは?

AL:もともと彼らのトリビュート・アルバムのために録音したんだ。「スレイヤーのカヴァー? できるぜ!」って気軽に取り組んだけど、正直言うとあんまり料理できなかったんだよね。ギター・リフをいくつか変えたし、もちろんソロも違うけど、それ以外はほとんどオリジナルと同じだな。まあキーボードでスレイヤーの曲を弾けるのって、世界中を探してもヤンネ(ウィルマン)だけだろうけど!(笑) 弾いてみようと考えることすら、他のヤツはしないだろうな。

YG:確かに(笑)。アンドリューW.K.の「She Is Beatiful」は意外な選曲…ということで、シングルに収録した当時はかなり驚かれたんじゃないですか?

AL:っていうか、COBのカヴァーの選曲にはみんないつも驚いているぜ。もちろんこの曲を出した時もそうだったね。実はこの曲、ミルウォーキーでライヴをした時にアンドリュー本人と一緒にプレイしたんだ。そりゃクールだったね! 彼もこのヴァージョンを気に入ってくれたんだ。

YG:ちなみにイントロのフレーズ、アンドリュー本人は4弦1本のみで弾いているそうですが…。

AL:俺も1本しか弾いてないぜ。確かにそういう風に聴こえたからね、そこは完コピさ。

腹を抱えて笑う類のものだけど演奏もアレンジも本気だぜ!

YG:ケニー・ロジャースの「Just Dropped In(To See What Condition My Condition Was In)」と、スタン・ジョーンズの「Ghost Riders In The Sky」は、どちらもカントリー&ウエスタンですよね。アレキシとのつながりが全く想像できないんですが。

AL:(笑)…変わったことに挑戦したかったんだよ。ヘヴィ・メタルのカヴァーばっかりやってもつまらないだろ? だからブリトニー・スピアーズまでやったんだ! ま、あれ以上ブッ飛んだことはこの先もできないと思うけど。で、次に何ができるかって考えた時、ケニー・ロジャースやスタン・ジョーンズの名前が出てきたんだ。普段はあまり聴かないけどね。大抵は大笑いしたい気分の時、たまに流す程度だよ。

YG:原曲からは想像もできない仕上がりぶりですが、リフもソロも“作曲”に近い作業だったのでは?

AL:「Ghost Riders In The Sky」なんかは何万回とカヴァーされてきた曲だから、他と違うものにしなきゃと思ってね。ちなみに俺たちがやったのは、ブルース・ブラザーズの映画のサントラ・ヴァージョンが元になっていて、COBなりのアレンジを施したんだ。

YG:アリス・クーパーの「Bed Of Nails」。この曲が入ってる『TRASH』(’89年)は、アレキシが子供の頃に聴いていた、大好きなアルバムなんですよね?

AL:俺のアリス・クーパー初体験でもある。その頃の思い出を何となく覚えてるよ。「Poison」がヒットした頃で、けっこう頻繁にラジオで流れていてね。姉貴がアルバムを持っていたから一緒に聴いていたんだけど、その中でもこの「Bed Of Nails」がお気に入りでね。今でもこの曲が一番好きだよ。

YG:アイアン・メイデンの「Aces High」。この曲のリフは単純なパワー・コードが多いですが、実は移動が激しくて面倒じゃないですか? 

AL:ギターの弾き方さえ分かっていれば、そうでもないぜ(笑)。ライヴではやったことがないから分からないけど、でもヴォーカル・ラインとギター・リフがほとんど同じだから、弾きながら歌うのもそれほど難しくはないと思うよ。

YG:「Antisocial」はトラストの曲ですが、馴染み深いのはアンスラックスが『STATE OF EUPHORIA』(’88年)でカヴァーしたヴァージョンですよね?

AL:これはサビの部分で何かやってみようと思って、タイムを変えようぜ、ってリズムを遅くして弾いたら、仕上がりがクールになったんだ。オリジナル・ヴァージョンやアンスラックスと同じことをせず、自分たちならではの個性を入れようって気持ちが大切だという、良い例だね。

YG:ポイズンの「Talk Dirty To Me」はギターより何より、アレキシのヴォーカルが最高ですね!

AL:デス・ヴォイスなのに、メロディーを歌い上げてるって誰かに言われたね(笑)。自分ではどうか分からないけど、笑っちゃうだろ? ヴォーカルを録る前に何杯かビールを飲んでいたから、妙に楽しかったことだけは覚えているよ。

YG:スイサイダル・テンデンシーズの「War Inside My Head」は、『BLOODDRUNK』(’08年)のインタビュー時に録音済みだと言っていましたよね。

AL:あの時、カヴァーが4曲必要だってレコード会社に言われて録音したんだけど、この曲だけ結局リリースされなかったんだ。何でだろうね? 何かの予備だったのかもしれないけど、まあそういうこともあるさ。今まで未発表だったものが今回リリースされるってのは、クールじゃないか。ファンにとってはこれも新しい曲だからね。

YG:先ほど話に出てきたブリトニー・スピアーズの「Oops!…I Did It Again」は、全力で冗談をやっている感がヒシヒシと伝わります(笑)。

AL:そうそう、その通り。もちろんこれはジョークだし、腹を抱えて笑う類のものだけど、演奏もアレンジも本気だぜ。いい仕上がりになっていると自負しているよ。ただノイズをかき鳴らしているだけでは、面白くもなんともない。かと言ってやり過ぎても面白くない。上手く説明できないけど、ブッ飛ぶほど面白いものを作るためには最高の演奏が必要なんだ。

YG:キング・ダイアモンドの「Waiting」。ファルセット・ヴォイスで歌ったのはもしかして初めて?

AL:ああ、そしてこれが最後さ(笑)。これもジョークだよ。トリビュート・アルバムのためにレコーディングしたんだ、’99年だったかな。選曲したのはいいけど、ヴォーカルを録る段階になって「おい、こりゃどうやって歌うんだ?」って悩んだのを覚えてる(笑)。勢いでファルセットをやってみたら、面白い出来になったから生かしたんだ。

——インタビュー時に判明していた曲目はここまで。その後ビリー・アイドルの「Rebel Yell」とストーンの「No Commands」が、日本盤のボーナス・トラックとして収録されることが決まった——

YG:以上、COBの次作を待つまでに充分なほど濃い内容ですね。ちなみに11月から制作に入るとのことですが、既にアイデアはできているんでしょうか?

AL:いくつかのリフは頭の中にあるけど、ツアーが終わるまで作曲作業に入るつもりはないよ。この2年、ずっとツアーをやっているからね。1ヶ月ほどオフを取ってから、すぐ取り組むと思う。待っててくれ!

FEATURED ALBUM

CHILDREN OB BODOM - SKELETONS IN THE CLOSET

『SKELETONS IN THE CLOSET』CHILDREN OF BODOM
2009年発表

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