アレキシ・ライホ:2011年『RELENTLESS, RECKLESS FOREVER』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ:2011年『RELENTLESS, RECKLESS FOREVER』復刻インタビュー[期間限定]

2011年に発表されたチルドレン・オブ・ボドム(COB)の7thスタジオ・アルバム『RELENTLESS, RECKLESS FOREVER』は、攻撃性とメロディックな旋律といった彼らならではのスタイルをさらに強固にした作品となった。2011年
4月号に掲載されたアレキシ・ライホの表紙巻頭インタビューでは、同作収録曲を中心に制作のアプローチを語っている。フィーリングに任せつつも要所でこだわりを見せる、アレキシのミュージシャン像が浮かび上がってくるのではないだろうか?

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※この記事は2021年8月までの期間限定で公開されます。
※インタビューの内容は、基本的に当時のヤング・ギター本誌に掲載されたものを復刻しています。

バンドをプッシュしてより過激なものにしたい

Alexi Laiho
Alexi Laiho 10.18.2009 at LOUD PARK 09, JAPAN

YG:早速、新作『RELENTLESS, RECKLESS FOREVER』に関して。’09年の“LOUD PARK”で来日した時、「’10年初めにスタジオ入り」すると話していきましたが、だとしたら随分時間が掛かったという事になりますよね?

アレキシ・ライホ(以下AL):間にカヴァー作品『SKELETONS IN THE CLOSET』を出したけど、オリジナル作品となると確かに久々という感じになったね。ただ『BLOOD-DRUNK』の後、約1年ツアーをして、1ヶ月ほどオフを取ってから、既に新作の制作を始めていたんだよ。元々、スタジオ入りは’10年の5月頃と予定されていたんだ。でもそれでは少し早過ぎるって話になり、結局2ヵ月遅れでスタジオに入ったんだ。必然的に、リリースは今年まで先延ばしになった訳。そういう経緯さ。実際にスタジオ入りしたのは7月の第1週だったよ。でも、ほぼすべてを2週間くらいで済ませてしまったから、始めたらペースはかなり早かった。と言っても、俺のギター・ソロとヴォーカルは別なんだ。そのパートだけはL.A.のスタジオで録ったからね。

YG:前作はフィンランドのヘルシンキにある“ぺトラックス”というスタジオで制作したんですよね。「人里離れた環境だから、音楽に没頭出来た」と話していましたが、ギターとヴォーカル以外は今回もそこで録ったんですね?

AL:ああ、前作と同じ、静かな森の中にあるフィンランドのスタジオで作業をした。そういう環境で作業を進めるのが、俺達には合っているんだよね。ヴォーカルとギターの作業をL.A.でやったのは、プロデューサーの家やスタジオがそこにあるからなんだ。それはそれで仕事しやすかったよ。そっちの環境も悪くはなかったな。

YG:そのプロデューサーは、スレイヤー、デフトーンズ、モンスター・マグネット等を手掛けたマット・ハイドですよね。起用の決め手は?

AL:プロデューサーの起用は、俺達のマネージメントが提案して来た事だった。最初、俺達は大賛成という訳じゃなかった。「プロデューサーなんていらねえよ! 自分達で出来るし、アルバムの作り方なんて分かってるぜ」みたいに思っていたから(笑)。まぁそれでも、何人かの候補と会ったりしてみてね。その中の1人がマット・ハイドだったという訳。マットは俺達に「最高のボドム・アルバムを作る!」と熱心に頼もしい事を言ってくれてさ。凄く信頼出来る人だと感じて、組んでみる事にしたんだ。実際やってみると、彼は人間としても超クールだったな。とても仲良くやれたよ。結果的に、彼をプロデューサーに迎えた事は成功だったんじゃないかな。

YG:前3作品をプロデュースしたミッコ・カーミラとの違いは?

AL:ミッコはサウンド・エンジニア的なタイプなんだよ。彼はレコーディングとミキシングをやってくれたけど、マット・ハイドは何と言うか…、もっと色々なプロダクションに関わって来た。とは言っても、曲作りに参加したという意味ではないけどね。説明するのが難しいけど、彼はもっとバンドに深く関わるタイプだった。あれやこれやと新鮮なアイデアを提供してくれたし。

YG:マットはギターのサウンド作りにこだわる人だという話がありますが?

AL:そこがマットの素晴らしいところなんだよ。彼は俺が使っている機材にも凄く関心を持ってくれた。レコーディングの際、具体的に彼がどんな録音機材を用いたのかは分からないけど、本当に素晴らしいギター・サウンドで録ってくれたよ。俺は超イケてる’80年代サウンドが得られたと思ってるんだけどね。とにかく、マットは確かにギター・サウンドにこだわりを持っていて、そこは特筆すべき才能だと思うね。

YG:アレキシ達のアルバム作りは“新しい事への挑戦は忘れず、しかし事前にテーマは設けない”がポリシーですよね。今回も一切のテーマはなし?

AL:そうだね。やる事をあらかじめ決めてしまうのではなく、かなりの部分を“即興的”にしておきたいと俺達は考えているから。即興的、かつナチュラルでありたい。だから事前に何かを思い描いて、そこに突き進む事はないよ。「こういうサウンドにしよう」とか計画したりはしない。自分達のハートからストレートに出て来るもの、それが音楽だと思っているからさ。このバンドが発するものはナチュラルでありたい。だから今作もテーマはなし、これまでと同じアプローチで臨んだ。

YG:テーマは設けないものの、よりヘヴィに、より過激に、よりアグレッシヴに…はバンド不変の目標なんですよね!?

AL:アルバム制作の度に、このバンドが内包しているものを更にプッシュしたい、より過激なものにしたいとは考えてるな。それが常にチャレンジとなっているんだ。そういう変化…進化がないと退屈になってしまうだろ? 同じレベル、同じ内容を繰り返し作っていたら飽きてしまうよ。『BLOODDRUNK』ではよりヘヴィでダークなものをやっていたけど、個人的に言わせてもらうと、新作はもっとシャープでアグレッシヴなノリになっていると思う。顔面にガツンと来るタイプのサウンドだね。その一方で、よりメロディックでもあると思う。

“ズル”をすれば自分を一生憎んでしまうだろうな

YG:アレキシの歌詞は自分の経験に基づいたものが多いですが、その歌詞に関しても、全体を通したコンセプト的なものはなし?

AL:特にアルバムを通して何かを描こうってアプローチは採っていない。歌詞に関しては、どのアルバムでも基本的に同じコンセプトで創作しているよ。つまりバッドなフィーリングの吐露…と言おうか(笑)。

YG:ところで1stアルバムから、“ボドム湖の殺人”をテーマにした曲が1枚に1曲入っていましたよね。新作でそれらに続く曲は?

——1st「Lake Bodom」、2nd「Silent Night, Bodom Night」、3rd「Bodom After Midnight」、4th「Bodom Beach Terror」、5th「Bastards Of Bodom」、6th「Lobodomy」。これらはすべてフィンランドで実際に起こった“ボドム湖の殺人事件”がテーマ——

AL:いいところを指摘して来るね! 確かに、これまですべてのアルバムにそのテーマの曲を収録して来たんだけど、何とこのアルバムには入っていないんだ。それを先日、誰かにも指摘されてさ。「アッ、忘れた!」と思ったけどもう遅かった(笑)。今回この件に関してはすっかり忘れていたんだよ。次作には“ボドム湖の殺人”の曲を、今回の分と合わせて2曲入れないといけないかな(笑)。

YG:以前アレキシは曲作りに関して、「曲を書いている時は同時にアレンジの事も考えている」と話していましたけど、今回はギター、ベース、キーボード、そしてドラムが巧みに絡んだリフのパートが多いですよね? まず、この点は意識していたのでしょうか?

AL:そうだね。確かに俺の場合、アレンジ的な構造も同時に浮かんで来るんだけど、ただアレンジに関しては、バンド全員で取り組んでいると言った方が正解だな。だからリハーサルでは、じっくり時間と労力を費やさなければならない。俺は曲を書いている時、全体がどんな感じになるのか、他のメンバーがどういうプレイをすべきなのか大体見えている。それを素にして、みんなで色々なパートを組み合わせながら1つの流れに仕上げて行くんだよ。このバンドは「まぁこんなもんだろう」みたいな無難なアレンジでは満足しない。半端なくイケていないと駄目なんだ。上手く行かない時は、何か全く違うアイデアを投入してみたり、別の曲用に温めていたアイデアを、じゃあこの曲で使ってみよう…とかね。この件に関しては、妥協する事なんて出来ないね。

YG:確かに、以前も「アレンジを含めたすべてが完全な形になるまで1ヶ月掛かる曲もある」と話していましたよね。今回、その点で最も手を焼いた曲は?

AL:アレンジ的に一番時間を要したのは「Shovel Knockout」。これはアルバム中、最も変化に富んでいて、曲のスタイルも他とは違っていると思う。これをまとめ上げるのは苦労したよ。でも、結果的に凄い曲に仕上がったと思ってる。完成形まで持って行くのは、凄く時間が掛かったけどさ。

YG:漠然とした質問ですが、さてソロ・パートを録ろう…という時、アレキシはまず何を考えるのでしょう?

AL:そうだなあ…、特に何も考えないというのが正しいかな。ギターを手にして、とにかくやっちまうって感じ。でも、そういう方がいいと思うんだ。多くの場合、ソロはレコーディングする前に書かない。バッキングのトラックを鳴らして、ただただ色々なスタイルでやってみるのが俺の録音方法だよ。大体20テイクくらいかな。とにかく弾いてみる、そういうアプローチさ。だから特に何かを考えるって事はない。技巧よりフィーリング重視だね。音楽を感じてギターを鳴らすんだ。

YG:例えば「Northpole Throwdown」のソロはインプロヴァイズ性が高くて、勢いで突っ走ったという感じですが、その他の曲のソロは、いつもながらの構築美を感じさせます。COBの曲はソロ・パートの中でもKeyが微妙に変わる事もあって、インプロヴァイズするにしてもブルースのように気軽には出来ないから、下準備の考察は必要なのでは?

AL:確かにCOBの音楽には複雑な面があるよね。ただ、レコーディング前からバッキング・パートを何千回もプレイしていたら、どんなに複雑な曲でも頭の中で整理出来ると言うか、しっくり来るようになるもんなんだよね。そもそも俺自身がそのパートを作っている訳だしさ。曲のディテールは脳内にがっつり入っている。だから、人が思うほど本人は難しく感じないんだよ。

YG:ちなみに、“Pro Tools”等でソロのフレーズを切り貼りする事も少なくない昨今のレコーディング方法は、アレキシのポリシーに反するんですよね。今回も当然、基本は一発録り?

AL:基本的にはね。切り貼りは俺にとって“ズル”という感じでさ。嫌いなんだ。だから、すべてをリアルにプレイしたい。まぁ頭から最後まで通して弾いているものもあれば、最初の4小節を録って、それから次の4小節を録るみたいな事もあるよ。場合による。でも“ズル”はしてない。最近はこの種の作業をするのって凄く簡単なんだ。“Pro Tools”の他にも、便利な機材が沢山あるからね。でも、俺はそういう事って出来ないな。そんな事をしたら自分が許せなくなるよ。もちろん俺にも、なかなか上手くプレイ出来ないパートとかがあって、凄くフラストレーションを感じるなんて事も少なくはない。それでも俺は、出来るようになるまでプレイするよ。ひたすら練習し続ける。もし最新録音機材の助けを借りて録ろうものなら、自分を一生憎んでしまうだろうな。

YG:今回のアレキシのお気に入りベスト・ソロを挙げると?

AL:聴く日によっていつも変わるけど、今日の気分で言うのならば「Not My Funeral」かな。激しい技巧もあるけど、何より素晴らしいフィーリングが得られた点が気に入った。ギター奏法の事を何も知らない人が聴いても、「クールだ!」と感じてもらえるソロかなと、我ながら自負しているんだ。曲を引き立てるタイプのソロだと思うよ。

YG:ところで、前作はほとんどの曲が[全弦1音下げ+6弦のみ更に1音下げ]のドロップC・チューニングでしたが、今回は?

AL:大体はドロップC・チューニング。いくつかの曲…「Not My Funeral」「Cry Of The Nihilist」だったと思うけど、それは通常のDチューニング(全弦1音下げ)になっている。前作、前々作とあまり変わらないね。