アレキシ・ライホ:2013年『HALO OF BLOOD』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ:2013年『HALO OF BLOOD』復刻インタビュー[期間限定]

2013年にリリースされた、チルドレン・オブ・ボドム(COB)の8thスタジオ・アルバム『HALO OF BLOOD』。デビュー16年目を迎え、今や現代エクストリーム・メタル・シーンの代表格として地位を確立していた彼らは、バンド初期作に通じるメロディックな要素を多く取り入れ、原点のスタイルも意識した作風で新旧ファンを喜ばせた。

本誌2013年6月号で表紙巻頭を飾ったアレキシの、本作発表当時のインタビューをお読みいただこう。

注意事項

※この記事は2021年8月までの期間限定で公開されます。
※インタビューの内容は、基本的に当時のヤング・ギター本誌に掲載されたものを復刻しています。

クリーンなプレイをしたいけど、作り込み過ぎるのも好きじゃない

アレキシ・ライホ
Alexi Laiho in 2013

YG:デビューから15年のキャリアを総括するベスト・アルバム『HOLIDAY AT LAKE BODOM : 15 YEARS OF WASTED YOUTH』を昨年リリースした後、COBはレーベルをスパインファームからニュークリア・ブラストへ移籍しましたよね。今の“新しい環境”に心地好さは感じていますか?

アレキシ・ライホ(以下AL):もちろん! かなりの違いを実感してるところだよ。もちろんスパインファームも悪くなかったけど、ニュークリア・ブラストのみんなはプロモーションを本当に一生懸命やってくれる。俺たちは今、思いっ切り働かされてるんだ(笑)。俺とヘンカ(ブラックスミス/b)でヨーロッパ中をプロモーションして、インタビューを受けてるところさ。バンドにとって凄くいいことだよね。だから俺たち、今はとてもエキサイトしてるよ。

YG:そのベスト盤やレーベル移籍もありましたし、今回の新作『HALO OF BLOOD』には、チルドレン・オブ・ボドムの新章の幕開け…というモチベーションもあったのでしょうか?

AL:う〜ん、まあそうとも言えるかな。そんな風に具体的に考えたことはなかったけど…、俺ってそういう性格だからさ(笑)。新章か、そうなればいいなと思ってるよ。

YG:『RELENTLESS, RECKLESS FOREVER』(’11年)のプロデューサーは、マネージメントの提案で(スレイヤーやモンスター・マグネットを手掛けたことで知られる)マット・ハイドが起用されましたよね。それに関して結果的に「成功だった」と話していたけど、アレキシは最初、乗り気ではなかったんですよね?

AL:いやいや、マットがどうのこうのって話じゃないんだ。俺たちはそもそも「プロデューサーなんかいなくたってアルバムは作れるよ」と思ってたんだけど、あの時はレコード会社とマネージメントがプロデューサーを起用することにやたらと固執してたんで、結局俺たちはYESと言わざるを得なかった(苦笑)。それで評判のいいマット・ハイドを選んだんだ。結果、彼は本当にいい仕事をしてくれたよ。でも今回に関しては、俺たちのことをよく知ってる人にもう一度手掛けてもらった方がいいんじゃないかってことになってね。だから(’99年『HATEBREEDER』から’08年『BLOODDRUNK』までのミックスやプロデュースに携わった)ミッコ・カルミラにメインで頼んで、(’00年『FOLLOW THE REAPER』のプロデュースを手掛けた)ピーター・テクトグレンにヴォーカル・プロダクションをやってもらったわけ。

YG:ミッコ・カルミラとマット・ハイドは、プロデューサーとしてはかなり違うタイプですか?

AL:ああ、ある意味そうだね。ミッコはプロデュースもミキシングもやる人だけど、どちらかというとミキシングのテクニックの方が凄いんだ。それに彼は、機材のセッティングまでやってくれる。ギターもドラムも…、どんな楽器だって最高の状態にセットしてくれるんだ。そうすることで最高のアルバムに仕上がるんだよ。彼は独特のサウンドを持っていて、それは『HATEBREEDER』から続いた何作かのアルバムで分かってもらえると思う。お決まりのやり方をずっと続けたいわけじゃないけど、「彼なら絶対に上手くやってくれる」って信頼出来る人と一緒にやるのは、時にはいいものさ。

YG:過去の作品制作において、アレキシは「前持ってテーマを決めることはない。即興的な部分を残して自然にやりたい」と話していましたが、今作も同じでしょうか?

AL:もちろん! よく知ってるね(笑)。俺はいつだって、そうするよう心掛けてるよ。

YG:そんな中、「よりヘヴィに進化する」ということは一貫したテーマとして挙げていましたが、ただ今回、バンド初期のようなメロディー重視のスタイルに寄り戻した…という気がします。アレキシにそういう思いはありました?

AL:“メロディー重視”って点では、その意見は正しいよ。今回のアルバムは我ながら、凄く芳醇なメロディーを持っている。でも決して意識してやったことじゃない。俺はいつも同じ言葉を遣うんだけど…偶然こうなったのさ。ただ、今回は実に色んな人から同じような意見を聞いてるよ。さっきも言ったように、ヘンカと一緒に1週間丸々ヨーロッパでプロモーションしてたんだけど、会う人会う人に「ここ数作の中でも一番キャッチーだ」って言われたもんな。まあ、たまたまこうなったのさ。意図したわけじゃない。

YG:全体を通してのコンセプトはないのでしょうか? いくつかの曲の冒頭にセリフが入っていますし、曲間が短かったりするので、何かあるのか…と思ったんですが。

AL:色々と推測してくれて嬉しいね。ただ申し訳ないけど…特に大きな意図があるわけじゃないんだ。所々に入っているセリフは、いくつかの映画から引用して来たものをちょっとアレンジしたのさ。曲のイントロとして、始まる前にムードをグッと盛り上げる役割を果たしてもらうためのね。邪悪な雰囲気を醸し出してるだろ?

YG:なるほど。さて、曲作りに関して聞かせてもらいたいのですが、アレンジの凝り方が今回も凄いですね! アレキシ自身のネタ作りと、バンド・メンバーそろってのアレンジ、掛けた時間で言えばどちらが長いんですか?

AL:どちらもほぼ並行して行なうんだけど、ただ何にもないところからアイデアを絞り出す場合は、凄く時間が掛かることもあるね。どうすればクールなリフを思い付くのか分からなくなる…そんな時も実はある。出て来たとしても、ロクでもないヤツだったりね(笑)。俺の中のOKのハードルはかなり高いんで、単にメンバーに聴かせるためだけの叩き台的なリフであっても、時間が掛かることがけっこうあるんだ。それとは別のパターンで、いいリフが山ほどあるおかげで、曲としてまとめるのに苦労することもある。レコーディング期間の最初から最後まで、延々とアレンジしていた曲もいくつかあるよ。決定版的な形がなかなか決まらなかったんだ。最後の最後まで結果が出ないというのは、なかなか恐ろしいもんだよ。

YG:アレキシが書いた曲は、メンバーにどういう形で伝えているんでしょう? 簡単なデモ・テープ?

AL:いや、俺は大抵、デモは作らないんだ。家で思い付いたリフが1つ2つあると、それを4トラック・レコーダーにサッと録音して、リハーサル・ルームに持って行く。そしてメンバーに聴かせ、それを元にみんなでジャムる。それが普通のやり方だよ。

YG:最初のアイデアの時点で、アレキシの頭の中にはある程度のアレンジも浮かんでいるわけですよね。「それを正確に形にする」のと「それを超えるアイデアがメンバーから出て来る」、2つの場合があると思いますが、アレキシは後者を期待しているんですよね?

AL:もちろん! それこそがバンドの醍醐味だよ。他のメンバーは俺とは違った見解をもたらしてくれるんだからね。俺が書いた曲をみんなが別の視点で捉えてくれるからこそ、音楽が発展して行くし、より新鮮なものになって行くんだ。自分とは別の視点があるのは、いつだって素晴らしいことだよ。他のメンバーがどんな視点でアイデアを出すのか、俺には最初は分からないけど、不安を感じたりはしないな。みんなを信頼してるからさ。

YG:ギター・ソロ・パートに関して。アレキシはいつも「テクニックよりフィーリング重視」と話していますよね。ただ今回も、アレキシのプレイにミスのようなものは見受けられません。「良いフィーリングが出ていたから、失敗はあったけどそのテイクを生かした」というギタリストの話もよく聞きますが、アレキシとしてはそれは許せないもの?

AL:ミスとイケてるものの差って、凄く微妙なんだよね。俺はすべてにおいてクリーンなプレイをしたいと思ってはいるけど、だからと言ってあまり作り込み過ぎるのも好きじゃない。ただ、ソロのレコーディングには時間を掛けるよ。大抵20テイクぐらいは録る。それらの1つ1つを聴き返してみて、気に入った箇所があれば取り出して採用する。つまり、それぞれのテイク自体は一発勝負なんだ。やたらとソロを作り込むわけじゃない。そんなことをすると、新鮮さが失われるしね。