アレキシ・ライホ:2015年『I WORSHIP CHAOS』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ:2015年『I WORSHIP CHAOS』復刻インタビュー[期間限定]

2015年、『I WORSHIP CHAOS』リリース時の表紙巻頭インタビュー。制作に先だって、長年アレキシの片腕を務めてきたローペ・ラトヴァラがチルドレン・オブ・ボドム(COB)を脱退するというニュースが報じられた。本作でのアレキシは1人で全ギター・パートを担うことになるなど、通常とは異なる状況での制作背景を語っている。

この号が発売されると同時期に日本では“LOD PARK 15”が開かれ、COBとしてだけでなくカヴァー・プロジェクトのザ・ローカル・バンドで出演したことも話題となった。

注意事項

※この記事は2021年8月までの期間限定で公開されます。
※インタビューの内容は、基本的に当時のヤング・ギター本誌に掲載されたものを復刻しています。

自分を周りの世界からシャット・アウトし、自然に出て来るものに従うんだ!

アレキシ・ライホ
Alexi Laiho in 2015

YG:まずはいきなり申しわけないですが、ローペ・ラトヴァラが脱退した経緯、理由などについて教えてもらえますか? 喧嘩別れではないとのことですが。

アレキシ・ライホ(以下AL):そう、仲違いしたわけでは全くないよ。細かい経緯に関しても、大したことじゃない。簡単に言えば、ローペ以外の4人は前進したい気持ちでいっぱいだったけど、彼は少し違っていた…、そういうことだったのさ。俺や他のメンバーはバンドをもっと上のレベルに推し進め、努力を重ねて何でもやって行こうという気合いに満ちあふれていた。マネージメントも変えたし、身の回りで新しいことがたくさん起こっていたから、自分たち自身も新しく生まれ変わるような、そういう必要性を感じていたんだ。ただローペの気持ちは、そういった労働意欲や努力の姿勢とはかけ離れたところにあったんだよね。その結果、バンド全体としての結束が弱まりそうになったから、「ここでお互いに別の道を行った方がいいんじゃないか」ということになったんだよ。個人的ないさかいがあったわけじゃない。純粋に仕事に対する見解の違いで、これ以上一緒にやらない方がいいという結論に至っただけさ。

YG:現在ライヴではサポート・ギタリストとして、ヤンネ・ウィルマン(key)の弟であるアンッティが務めているんですよね。何でも彼は、小さな頃にアレキシにギターを教わっていたとか?

AL:ああ、そうだったね! そんなことよく知っているなあ。ずいぶん昔のことだけどね(笑)。

YG:そのまま彼はバンドに加入する予定ですか? オーディションを開くかも知れない…との噂もあるようですが。

AL:いや、アンッティは今年いっぱいツアーに参加してくれるだけだ。来年早々に、正式な新しいギタリストを発表するよ。もう誰になるかは、ほぼ100%確定しているけど、今は名前を出すことができないんだ。まだその段階じゃないんだよね。とにかく進行中だから、まあ待っていてくれよ。

YG:楽しみにしています。さて、今回の新作の制作に当たって、アレキシはギタリスト2人分をレコーディングしなければいけなかったわけですよね。かなり時間が掛かる、大変な作業だったのでは? 

AL:そうそう、ギターはすべて俺が弾いたんだよ。確かにすごい仕事量ではあったね。1人2役…というか、それ以上だったと言えるな。まあ、あの時点では他に選択肢もなかったからさ。別れたギタリストのことを、座り込んで嘆いていてもしょうがないじゃないか(苦笑)。アルバムを作らなきゃいけないんだから、やるしかねえんだよ…ってね。というわけで、すべてのパートを俺が弾いたんだけど、けっこう楽しめたよ。量の多さが気にならなかった。そもそも俺って仕事中毒なところがあるし、一生懸命働くのは大好きなんだ。1人で弾いたことの恩恵といえば、サウンドがより引き締まったことかな。俺は以前から、レコーディング中に新しいアイデアを思い付いたらローペやアレクザンダー(クオファラ/g/’03年まで在籍)に説明して録ってもらったりしていたけど、今回はそのプロセスを省くことができた。それが時間の節約になったのは間違いないね。

YG:アレキシはいつも「アルバム制作前にコンセプトを設けることはない」と明言してますよね。今回もそれは変わらず? 

AL:まあそんなところだ、と答えればいいかな?(笑) そういうものなんだよね。あらかじめ計画を立てたり、方向性を狙って曲を作ったりしたら、それに対してファンはどう反応するんだろうとか、どんどん考えて泥沼にハマるような羽目に陥る。そして結局、道を見失ってしまうんだよ。俺は自分を周りの世界からシャット・アウトして、自然に出て来るものに従うんだ。それがベストであることを祈りつつ、「みんなが気に入ってくれるといいけど…」と思いながらね。それが唯一、音楽を現実的かつ新鮮に作れる方法なんだよ。

YG:本作は早くも、バンドにとって9作目。たくさんアルバムを作っていると、意図的に新しいことをやりたくなるミュージシャンも多いですよね。

AL:俺にはそういう欲求はないんだ。自然だと感じることをやるしかないんだよ。だってさ、COBが突然ポップ・アルバムなんかを作ったらおかしいじゃないか!(笑) まあそれは極端だけど、ミュージシャンってのは自分が今やりたいことをやるしかないんだ。いちリスナーとしては、色んなスタイルの音楽を聴くけどね。ジャンルに関係なく、クールだと思ったら聴く。ただ俺たちがチルドレン・オブ・ボドムである限り、同じことを何度も繰り返す結果にはならないよ。確かに9枚目のスタジオ・アルバムだけど、すべての作品を順に聴いてみれば、1枚ごとにかなりの違いがあるはずだ。まあ結局のところヘヴィ・メタル・バンドだから、それがメインにはなるけどね。

YG:個人的な感想ですが、今作の楽曲はどれも、フレーズ自体はテクニカルではあっても、曲展開が若干シンプルかつ分かりやすくなった印象を受けました。アレキシ自身はどう思いますか?

AL:まさにその通りだね。そういう意味では、唯一それが計画したことだった。と言っても無意識のレベルでの話だけどさ。曲を書き始める前、俺はよく昔のアルバムを聴き返すんだ。で、例えばこういうことを思い出した。前作『HALO OF BLOOD』の時に俺を悩ませたのは、良いリフやセクションはたくさんあるのに、アレンジの段階になると曲がどこへも向かわない…ということだったんだ。クールなネタがいっぱい入っていても、その良さが埋もれてしまって、楽曲として納得の行くものにならない。そういう苦い経験があったから、今回は頭のどこかで、よりシンプルに作ろうと心掛けていたような気がするな。俺だけじゃないよ。もちろん曲の元ネタは俺が書くけど、アレンジはメンバー全員が関わるからね。まあそんなわけで、おかげで今回は以前よりずっと取っ付きやすい曲が多くなったんだ。それは色んな人に言われたよ。アルバムを聴かせた友達がみんな、「これまでになくキャッチーになった」と言っていたね。より接しやすい音楽とも言えるな。

YG:資料によると、レコーディングに使ったのは“Danger Johnny Studio”という場所で、ヘルシンキの秘密の場所にある…とのことですが、何か謎の臭いがしますね。

AL:いやいや(笑)。種明かしをすると、バンド専用に新しく作ったスタジオなんだ。基本的にみんなでそこに住み着いているんだよ。だから住所なんか教えるかよ!って思ったわけ。それだけさ。バンドやクルーにとっては、すっかり第2の家みたいになっちまっているからね。ちゃんと実在する場所だよ。

YG:なるほど(笑)。曲作りについてですが、以前アレキシは「4トラックの簡単なデモを録って、それを元に全員でジャムりながら作り上げて行く」と言っていました。そのやり方に変化はありました?

AL:俺は今でも、4トラックのマルチ・トラック・レコーダーで曲を作ってるよ。マジで古臭いやり方だけど、これが俺にはベストなんだ。その間、各メンバーは1ヶ月ほど個人練習を行なっている。そしてスタジオに入り、俺が曲のアイデアを聴かせた後、それを元にみんなでジャムるんだ。これまでずっと同じやり方だったけど、今回もそうだね。上手く行っているから、今さらやり方を変える気はないよ。単に曲を作るための道具だから。

YG:ちなみに2ndアルバム以降、COBの基本チューニングは[全弦1音下げ]か、もしくは[6弦のみさらに1音下げ]でしたよね。今作はそれよりもさらに低いですよね?

AL:えーと、そうそう、そこから半音下げたんだ。確か2曲が[全弦1音半下げ]で、(ボーナス・トラックを除く)残りの8曲はそこから6弦をさらに1音下げたチューニングだ。だから一番低い音は(実音で)Bだ

YG:よりヘヴィに!という意識の表れですか?

AL:う〜ん、そうかもね。そういうことにしておいてくれ(笑)。