アレキシ・ライホ:2015年『I WORSHIP CHAOS』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ:2015年『I WORSHIP CHAOS』復刻インタビュー[期間限定]

この辺りにクレイジーな要素が必要だ…と感じるんだ。理屈じゃなくね!

アレキシ・ライホ
Alexi Laiho in 2015

YG:では1曲ずつ順に、収録曲について聞かせてください。まずは「I Hurt」。アレキシは以前から、曲中で唐突に転調するような手法をいくつかの曲でやっていましたが、この曲のイントロ・リフは短い間に繰
り返しKeyが変わるかのような印象ですね。

AL:ああ…確かに。転調するというか、意図的に外しているようなイメージだね。2小節間ぐらいアウトして、すぐにまた戻って来る。こういうのはどこからともなく出て来るというか、自然に思い浮かぶんだ。耳を惹いて、我ながら良いアイデアだと思うな。

YG:後半にキーボードとのユニゾンによる印象的なキメはありますが、COBにしては珍しく、いわゆるギター・ソロらしいソロが入っていませんね。曲がそういう展開を呼んだ…ということですか?

AL:いくつかポイントがある。最近の俺は、曲をより良い形で聴き手に提供するコンポーザーとしての意識が強いんだ。もちろん、若干の見せ場は必要だよ。ギタリストってそういうもんだろ(笑)。でもね、少なくとも俺の頭の中で完成系として出来上がっている曲に、無理矢理ギター・ソロを入れ込む必要なんてないだろ? 曲が必要としていない、だったら入れない、それだけなんだ。

YG:続いて「My Bodom(I Am The Only One)」。サビは憶えやすいマイナー調の進行ですが、それ以外の部分は正直言って、マイナーなのかメジャーなのかよく分からないところが多いですね。こういうのも、アレキシの中から自然と出て来るもの?

AL:え〜っと…最初の歌のパートのことを言っているのかな? どうだったっけ…(歌う)。そうだな、あそこのパートでは所々、おかしなハーモニーを意図的に入れたかったんだ。ベーシックなやり方に則らずに、ね。君が言う通り基本はマイナーKeyだけど、メジャー6thみたいな音をさんざん入れている。おかげでクレイジーな響きになったな。こういうのを入れる時って、リフを作っているうちに特定の箇所で「この辺りにクレイジーな要素が必要だ」と感じるものなんだ。理屈じゃなくね。

YG:ギター・ソロはバックのコードに巧みに沿ったものですが、アレキシはスケールを理論的に考えながら弾くタイプですか? それとも音を聴きながら、感覚的に合わせて行くタイプ?

AL:ただ心の趣くままに弾いて行くだけだね。そもそもプロとして既にギターを20年近く弾き続けているし、始めた頃から合わせたら30年になるわけだから、スケールなんて頭の中にとっくに叩き込まれていて、敢えて意識しなくても自然と出て来るものなんだよ。もちろんソロのバックが変なコード進行だったり、転調したりしていたら、意識して考える必要はある。曲次第だね。

YG:3曲目「Morrigan」。このタイトルは神様の名前ですよね? 

AL:ああ、フィンランドの女神の名前だよ。そもそもはケルト神話が出自だけどね。これはダークで捻くれたラヴ・ソングなんだ(笑)。限りある命の人間が、女神に執拗に惚れ込んでしまって、離れられないっていう感じの内容だ。

YG:この曲で聴けるギター・ソロは非常にドラマティックで、個人的に今作の中で一番好きです。おそらく作曲に近いプロセスで作ったソロだと思いますが、実際のところは?

AL:クールな感想だね、ありがとう。ただ、これもいつもと同じやり方だよ。バッキングのループ音源を作って、それに合わせてひたすら何テイクも録っていくんだ。25テイクぐらいになることもあるかな。その後、録ったプレイを順番に聴いて、気に入った部分を拾い上げながら1つにまとめる。そうやってできたソロを改めて弾くんだ。だからその場でインプロヴァイズしているとも言えるし、ある意味作ったソロとも言える。まあ気に入ってもらえて良かったよ。

YG:4曲目「Horns」。ド頭のブラスト・ビートの部分は、ブラック・メタル出身のCOBにとって“お家芸”みたいなものですよね。逆に言うと、素人にとっては「どうしてこのスピードで全パートがカッチリ合わせられるの! ?」と驚異的に感じます。

AL:なるほどね(笑)。まあアドヴァイスするとしたら、月並みだけど「全員でたくさん練習すること」かな。プレイしまくってリズムを維持する…、それに尽きるよ。そのぐらい単純なことだ。一糸乱れないようにするためには、相当な努力が必要であることは間違いないけどね。

YG:歌が入ってからすぐのリフは、不思議な引っかかりがあってまるで変拍子のように聴こえますが、これは普通の4/4拍子ですよね? 

AL:今、頭の中で思い出そうとしているから待ってくれ。…多分すべて普通の4/4拍子だけど、変な所にアクセントが入っているんだよな。おかげで音符が増えたように聴こえるんじゃないかな。

YG:トリッキーな印象なので、弾きながら歌うのもすごく大変そうだと思ったんですが。

AL:歌には影響しないよ。これはギターの問題だからね。歌は問題じゃない。まあ敢えてアドヴァイスするとすれば…分かるだろ?

YG:「とにかく練習しろ!」と。

AL:そういうこと(笑)。

YG:続く「Prayer For The Afflicted」はスローでドラマティックな曲ですが、「Horns」のような超ハイ・スピード・チューンと比べて、精神的に違うモードで書いているんですか? 何かこう、荘厳というか神聖というか、宗教的な雰囲気を感じますが。

AL:宗教的なものとは全く関係ないよ。この曲でテーマになっているのは、自分の中にある痛みや傷などについてだ。そういった痛みを、音楽に乗せて外に出す。アルバム全体的にそういう感じだね。俺のインスピレーションは、主にこういうテーマから来ているんだよ。自分の中のネガティヴな感情を使って、音楽をよりダークかつ魅力的なものにする。一種のセラピーのようなものであることは間違いないね。

YG:ちなみに日本人は傾向的に速くてメロディックな曲を好む人が多いですが、ヨーロッパでのライヴ映像を見ていると、こういうスローな曲で盛り上がっていますよね。これって国民性の違い?

AL:どうなんだろう? そうなのかもね。実際、日本のオーディエンスは速いヤツに特に熱狂的になってくれる。クールだよね。アメリカの観客も速い曲が好きなようだけど、日本人の方がよりメロディックなものを好むようだね。面白いと思うよ。