アレキシ・ライホ:2003年『HATE CREW DEATHROLL』復刻インタビュー[期間限定]

アレキシ・ライホ:2003年『HATE CREW DEATHROLL』復刻インタビュー[期間限定]

3rd『HATEBREEDER』で確固たる地位を築いたチルドレン・オブ・ボドム(COB)は、2003年に発表された4th『HATE CREW DEATHROLL』で、ついに世界へと飛躍していった。この取材はアルバムのリリース時に掲載されたものである。手前味噌ながら、YGでは当時始まったばかりの付録DVDにアレキシのプレイを収めていたが、すぐさま大きな反響をいただいた(ヤング・ギター2002年10月号、映像あり)。そんなエピソードからインタビューはスタートしている。

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※この記事は2021年8月までの期間限定で公開されます。
※インタビューの内容は、基本的に当時のヤング・ギター本誌に掲載されたものを復刻しています。

今回のアルバムは間違いなく今までで一番ヘヴィだ!

アレキシ・ライホ 2002
アレキシ・ライホ(2002年撮影。手にしているギターは、インタビュー後半で話している、盗難に遭ったギターの1つ)

YG:昨年6月のシナジー来日時は、DVD制作に協力参加してくれてありがとうございました! 多くの読者から「感激した」という旨の手紙を貰いましたよ。

アレキシ・ライホ(以下AL):良かった! しっかりプレイ出来たかどうか不安だったからね(苦笑)。

YG:早速ですが、今回の新曲は、あのシナジーの公演後に書き始めたのですか? それにしては随分早いですね。

AL:いや、去年の1月くらいから書き始めてた。だから、日本には4トラックのMTRまで持って行ったんだ。ツアーをしている間も曲作りを続けるべきだと分かっていたからね。その後、メンバーとリハーサルをしてから、レコーディングは6週間掛けた。

YG:オープニングの「Needled 24/7」から、いきなり[ヘヴィ&メロディアス]ですが、今回もそれはテーマの1つですよね?

AL:まず、このアルバムは今まで出したどの作品よりもへヴィだって事は確かだね。“速さ”は重要じゃなかった。ただ凄く凄くヘヴィにしたかったんだ。そして、俺達にとって重要である良いメロディーも当然満載さ。アグレッシヴだけどギター・メロディーは失われていない。ただ、そういう要素はどれも意識したものじゃないんだよ。自然にエレメントが生まれて来たんだ。「メロディーをキープしつつ、今までにないほどヘヴィな作品にしよう」なんて神に誓った訳じゃない(笑)。総て、その時のフィーリングに任せた結果が今回の作品さ。

YG:変化の多さ、言い換えれば、曲中に色んな要素を組み込むのもCOBのスタイルですよね。プログレッシヴ的な展開を設ける…という点も意識せず、自然に?

AL:そう、曲を書いている時は、余計な事を考えないようにしているからね。1つのリフが出来た後に全く違うタイプのリフが思い浮かんだとするだろ? 「違うタイプだけど1つの曲に入れ込めるかな?」なんて悩みもしない。どんなに違うものだって、一緒にプレイしてみて良い感じだったら、深い事は考えず1つにまとめるだけだよ。確かに色んな要素が俺達の楽曲には入っている。ブラック/デス・メタルの要素もあれば、’80年代的ギターもの、スピード・メタルも入っている。パンク風のものさえあるよ。でも、それらを意識的に入れ込んでいる訳ではないんだ。自然にそうなっている。何故だろう。色んなスタイルの音楽が好きだから…、だろうな。

YG:COBとシナジーの“区別”は付けているんですよね。以前「どちらのバンドであろうと自分のプレイをする。でも作曲的には違う」と話していましたが。

AL:そうだね。だって2つのバンド自体に大きな違いがあるだろ? 違うメンバーによる全く違う音楽だと俺は思ってる。シナジーには本当のシンガーがいるのに対して、俺のヴォーカルはデス・メタルとブラック・メタルの声だ。まるで違う。インストゥルメンタルの部分にも言えるよ。例えば「Needled 24/7」を歌抜きで流した時、シナジーの曲だと思う奴なんて1人もいないはずさ。逆にシナジーの曲を歌抜きで聴いたとしよう…、「Beware The Heavens」(1999年『BEWARE THE HEAVENS』収録)とかね。それだってCOBだとは思わないよ。アイデアを振り分けているからね。だから俺は曲を無駄にする事がない(笑)。COBに合わなくてもシナジーには最適だったり、その逆もある。アイデアを2つのバンドで活用出来るのはクールだね。

YG:ところで、今回はこれまでよりサウンドがクリアになった気がしますが、その点での変化はありましたか? 

AL:ドラム・サウンドに対する考えが変わった。でも、一番の違いはギターを重ねた事かな。シナジーではやっていたけど、俺は基本的にギターのダビングが嫌いでさ。COBではやった事がなかった。重ねる時、完璧に同じプレイを繰り返すのは不可能だから、逆効果になるとずっと思っていたんだ。でも今回は敢えて挑戦してみた。もちろん、凄く速いリフは重ねなかったけど、メロディーのバックで弾くコードなんかは4回重ねたり…。結局バッキングの80%は重ねたかな。その効果はあったと思うよ。サウンドに深みが出るし、よりヘヴィになる。単に聴くだけじゃそういうディテールに気付く人は少ないかもしれないけど、やっぱり違いは間違いなく出てるね。

YG:では、収録曲を簡単に紹介してくれますか? 

AL:OK。最初の「Needled 24/7」は最もチルドレン・オブ・ボドムらしい曲だと思う。だからこそ1曲目に持って来たんだ。「これは絶対にオープニング・ソングだ!」って全員一致だったよ。歌詞の内容は、アルバム全体に共通するテーマなんだけど、ネガティヴなフィーリング。あらゆる事が頭に来た時、落ち込んだ時に感じる感情を唄っているんだ。そうだな、人間の悪い側面とでも言おうか。人間は最低な事が出来る生き物であり、陰で人の悪口を言ったりするだろ? 俺が大嫌いな、そういう事を唄った曲さ。

YG:個人的に言わせて貰うと、今回のプレイで最も印象的なのはこの曲のソロでした。これってコード・チェンジが変わっていますよね? それを縫うように弾くフレーズにびっくりしたんです。

AL:確かにこの曲のコードはちょっと変わっているよ。突然コードG#が出て来るからね。始めはずっと同じコードだったけど、「何かツマらない」と思ったんだ。で、クレイジーさを加えてみた(笑)。

次の「Sixpounder」は、曲頭がCOBに聴こえないだろ? ヘヴィなサウンドを得るため、チューニングを落としているんだ。ヘヴィでスローだから、ファンは「これまでと違う」と思うだろうな。でもそれってクールだよ。だって、俺達は同じ事ばかりやるつもりなんてないからね。

 「Chokehold(Cocked ‘N’ Loaded)」はギター・リフが全面に出た曲。色んなプレイを披露しているから、よく聴いて欲しいね。あと、個人的な意見なんだけど、キーボードのソロにはブッ飛ばされた! 今まで聴いた事がないと言える最高のリード・ソロだよ。

YG:「Bodom Beach Terror」は、どのアルバムにも収録されていた“ボドム湖の殺人”に関連する曲? 

AL:そう。お約束ってヤツかな(笑)。俺達の作品にはブラック・ユーモアが常に込められているんだ。だから、このタイトルをシリアスには取らないでくれ! ちなみに、俺にとってベストの曲がこれ。コーラス、リフ、どれも満足だな。

 「Angels Don’t Kill」はCOB史上、最もスローな曲だね。この曲もCにチューニングを下げている。凄くスローでヘヴィだろ? 聴いたらド〜ンと落ち込んでしまうような雰囲気を出したかったんだ。リスナーを落ち込ませようとした訳じゃないけどね(笑)。

総てを弾いてきた大事なギターが…盗まれてしまったんだ! 

YG:「Triple Corpse Hammerblow」は、キーボードとユニゾンでプレイしているリフが印象的! 

AL:ディストーションが掛かったヴォーカルもね、他の楽曲とは違った世界という感じだよ、これは。

で、「You’re Better Off Dead」か。これは本国では、去年の5月にシングルでリリースした曲なんだ。あの録音後、凄い満足感で一杯だったのを憶えている。だから、録り直しをしなかった。それが正解だと思っているよ。やり直しをしたってこれ以上のものは出来なかっただろうし、逆にあの時の雰囲気や勢いを失う事になっていただろうね。

 「Lil’ Bloodred Ridin’ Hood」はシンプルなパンク・ロック風のリフでスタートする、最も“ブラック・メタルした曲”。『HATEBREEDER』(1999年)に収録されていてもおかしくないタイプだよね。この曲はソロが気に入ってるんだ。

YG:アルペジオの応酬! 

AL:別に凄く速いプレイって訳じゃないけど、最高のロック・フィールが籠っているから好きなんだ。

YG:いや、充分速いと思いますが(笑)。

AL:そうかな…。まぁいいや(笑)、紹介を続けよう。「Hate Crew Deathroll」はスーパー・アグレッシヴな歌詞が入ったスーパー・アグレッシヴ・ソング。ライヴでは最高だと思う。俺達の代表曲になるかもしれないよ。

YG:「Silent Scream」はスレイヤーの曲ですが…。

AL:以前、スレイヤーのトリビュート作品に参加したんだけど、その時に演った曲なんだ。ただ、何故かそのアルバムはリリースされなくてね…、それをボーナス・トラックとして収録した訳。これはフィンランド盤と日本盤にしか入っていないと思うよ。

YG:スレイヤーのファンだったんですか? 

AL:スレイヤーは誰もが好きなんじゃないかな。新しい音楽をスタートさせたバンドだからね。ただ、俺はその好きなバンドのアルバムを1枚も持っていないんだよ(笑)。どこに行っても彼等の曲は掛かっているから、曲は全部知っているけどね。

YG:「Somebody Put Something In My Drink」 はラモーンズのカヴァーですが、アレキシはラモーンズ・ファンでもあった訳ですか? 

AL:もちろん! ガキの頃からね。彼等の曲って楽しいだろ?  『TOO TOUGH TO DIE』(1985年)とか。’80年代の作品を疑問視する声もあるようだけど、俺は大好きさ。あと『ROCKET TO RUSSIA』(1977年)、「PLEASANT DREAMS』(1988年)…、彼等の作品は山ほど持っているよ。

YG:では機材面を。今回もメイン・ギターは、当然、黒いジャクソンのランディ・ローズVですよね? 

AL:ああ。ただ…、ギターに関しては、凄くムカつく事があってね。思い出すだけで頭に来る。

YG:何が起こったんですか? 

AL:2002年の10月、ギターを盗まれた。あまりにもムカついて、その感情を言葉に出来ないくらいさ。マジで犯人をブンなぐりたい気分だ! あれは、あるショウの後だった。パーティーに行くため、ショウ会場と同じビル内のリハーサル室に機材を総て入れておいた訳。その時、黄色のストライプ、白のストライプの2本は部屋の奥に隠しておいたんだ。酔っぱらいが間違ってギターにつまづいたりしないようにね。ところが、他にもギターはあったのに、目に付かない場所に置いてあった俺のギターだけが盗まれたんだ! という事は、あのギターを狙っていた奴がいたって事だろ? 金儲けのためなら他のギターも適当に盗んだはずだ。でも、隠してあったギターだけを持って行ったって事は…。ショックはそれだけじゃない。あのパーティーにいた連中は全員知っているから…、まさかその中の誰かが盗むなんて! 言葉も出ないよ。俺はこれまで総てをあの2本で弾いて来た。その大切なギターをどこかのクソ野郎が持って行ったんだ! だから今は1本しかギターがない上に、実はあまりコンディションが良くなくてね。

YG:代わるギターを見付けなければいけませんね。

AL:1ヶ月半はギターを弾く気にもならなかったけど、ずっと弾かない訳にもいかないからね…、気を取り直して、俺達を応援してくれている楽器店に、新しいギターをジャクソンから輸入して欲しいと話したんだ。そしたら「カスタムのオーダーだと1年は待たなくてはならない」。俺には1年も待つ余裕なんてないんだよ(苦笑)。だから「どうにかならない?」と交渉して、「何とかしてみる」という回答を引き出したんだけど、2週間後に「残念だけどギターは入って来ない」という連絡があった。

YG:何故ですか?

AL:ジャクソンがフェンダーに売却されて、ゴタゴタがあったから。「ハ〜?」って感じだったね(苦笑)。結局、ESPが4ヶ月で希望に添うものを作ってくれると楽器店が言うから、それで行く事にしたんだけど…。まぁ(2003年に行なわれる)日本公演では残った1本でプレイするつもりだよ。1本だけで通すのはかなり危険なんだけどね。仕方がないよな。4月には新しいギターが手元に届くだろうし、それが良いものである事を信じている。

YG:その2月来日公演は、ハルフォードと一緒なんですよね。

AL:落ち込んだ今、唯一の楽しみだね(笑)。半分は新曲、半分は昔の曲を演る事になると思う。俺達の持ち時間は1時間しかないけど、みんなをブッ飛ばすようなプレイを約束するよ! 

FEATURED ALBUM

CHILDREN OF BODOM - HATE CREW DEATHROLL

『HATE CREW DEATH ROLL』CHILDREN OF BODOM
2003年発表

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