Takamiy(高見沢俊彦) “真夏の夜の夢2017 -Night of Pacifico-” 2017.9.2 @パシフィコ横浜 国立大ホール ライヴ・レポート

Takamiy(高見沢俊彦) “真夏の夜の夢2017 -Night of Pacifico-” 2017.9.2 @パシフィコ横浜 国立大ホール ライヴ・レポート

“ベスト・オブ・高見沢”のパフォーマンスを見せたソロ・コンサート

’07年発表のアルバム『Kaléidoscope』以降に高見沢俊彦が展開した第2期ソロ・プロジェクトは、彼流のHR/HMギターの探求というのが重大なコンセプトの1つになっていた。同作に続くソロ作『Fantasia』(’10年)と『雷神』(’13年)では更にアグレッシヴなギターの存在感が高まっていき、ある意味彼のキャリアの中で最も音楽的に“攻めていた”と言える時期かもしれない。そんな第2期ソロ・プロジェクトの楽曲からセレクトされたベスト盤『美旋律 〜Best Tune Takamiy〜』が8月30日に発売され、本誌ではこれを記念し、ヤング・ギター10月号にて彼をフィーチュアした大特集を掲載(初の表紙も実現!)。その発売の数日前、9月2日と3日にパシフィコ横浜にて高見沢のソロ・コンサートが開催された。本ウェブ記事ではスケジュールの関係で残念ながら10月号の特集で取り上げることが叶わなかった同公演の模様について、簡単に振り返ってみたい。

参照:ヤング・ギター2017年10月号

今回のライヴのギタリストには鳥山雄司がスペシャル・ゲストとして、佐藤大剛がサポート・メンバーとして参加していた。鳥山は以前から高見沢と親交があり、ここ数年共演するチャンスをうかがっていたのだという。無論両者とも多忙なアーティストであるが故になかなかスケジュールを合わせるのが難しかったそうだが、遂に今回高見沢バンドに鳥山を迎えることが実現したのだそうだ(註:鳥山は『美旋律〜Best Tune Takamiy〜』初回限定盤AのSPECIAL CDに収録されている「Night of Rouge」のレコーディングにも参加した)。

そういったトピックも話題となった本公演では、ページ下に掲載している通り計21曲を演奏。最新ベスト盤収録の曲を主軸に構成しつつ、「17のときに逢いたかった」など1stソロ作『主義-Ism:』(’91年)の楽曲も披露されており、まさに“ベスト・オブ・高見沢”な内容と言えるだろう。その中でも特に印象的だったポイントを挙げていくと、まずトリプル・ギター編成ならではの熱いソロ回しが展開された「Fire」「月姫」「嵐が丘」などが大きなハイライトだったのは言うに及ばず。高見沢は10月号のインタビューで、「ギター・バトルのようなパートを楽曲に盛り込めるのがソロ活動ならではの楽しみ」と語っていたが、彼がいかにギターで“語り合う”ことに喜びを見い出しているか、ひしひしと伝わってくるパフォーマンスだったと言える。また激しい楽曲がセットリストの大半を占める中、ヴォーカル&アコースティック・ギター(高見沢)+エレクトリック・ギター(鳥山)というシンプルな編成によるしっとりとした演奏が異色だったハリー・ニルソンのカヴァー「Without You」も、多くのオーディエンスの記憶に刻まれたことだろう。高見沢の歌声のエモーションを何倍にも高める、鳥山の美しいギター・プレイが何とも素晴らしかった。

そして「圧巻!」の一言だったのが、1回目のアンコールの最後を飾った「騒音おばさん VS 高音おじさん」。この曲では高見沢が“Ultimate Archangel”、鳥山が“Angel Classic V”、佐藤が“Rose Angel Red”をそれぞれ手にしてプレイするという、高見沢のライヴならではの演出がなされた。本人が“フォーク・ダンス・メタル”と形容する同曲の高揚感が凄まじいだけでなく、こうした視覚的にもオーディエンスを楽しませるというエンターテイメント精神に溢れたパフォーマンスこそ、彼の真骨頂だと断言しておきたい。

高見沢

これ以外にも多くの見せ場を作りながら、3時間近くに及んだライヴは終了した。近年の高見沢はメタルに固執しない幅広い活動を見せており──例えば昨年には指揮者の西本智美と共同でオーケストラとバンドを融合させたクラシック×ロック・コンサート“INNOVATION CLASSICS”を開催し、またビルボードライブにてジャジーなムードを押し出したソロ公演を行なったりした──新たな局面を迎えている。もちろんこうした多彩なフィールドに進むことはアーティストとしての進化と言えるだろうし、ファンにとっても嬉しいことこの上ないだろう。だがしかし、今回のライヴを体験した多くの人がこう思っているのではないだろうか…もっとTakamiyのメタルが聴きたい!と。本誌としてはメタル・ギター道の追求を止めることなく、これからもより一層深めていってもらいたいと切に願った次第だ…!

なお、10月5日(木)からはTHE ALFEEのツアー『Best Hit Alfee 2017 秋フェスタ』の開催が控えている。こちらの詳細は、以下公式サイトでチェックしてもらいたい。

公式インフォメーション:
THE ALFEE オフィシャル・サイト/

Takamiy(高見沢俊彦) “真夏の夜の夢2017 -Night of Pacifico-” 2017.9.2 @パシフィコ横浜 国立大ホール セットリスト

1. ULTRA BURN
2. エデンの君
3. 雷神の如く
4. ダンシングばけーしょん!〜ダイエット編
5. Fire
6. Super Star
7. 仮面の宴
8. 東京ロンリー・ナイト
9. Night of Rouge
10. 17のときに逢いたかった
11. VAMPIRE 〜誘惑のBlood〜
12. 月姫
13. 嵐が丘
14. Fantasia 〜蒼穹の彼方

【encore 1】
15. Without You[HARRY NILSSON]
16. Fiancé
17. Techno Glamorous
18. 誘惑の太陽
19. 誰よりもLady Jane
20. 騒音おばさん VS 高音おじさん

【encore 2】
21. 孤独なRuby Boy