Legend Guitarist Vol.3 〜Reunion〜 2018.5.31 @ゼップダイバーシティ東京 ライヴ・レポート

Legend Guitarist Vol.3 〜Reunion〜 2018.5.31 @ゼップダイバーシティ東京 ライヴ・レポート

前列左よりRENO、AKIHIDE、KOJI、you、Leda。後列左よりNATCHIN、ばる、都 啓一。

国内実力派ギタリストたちによるインストゥルメンタル・ミュージックの祭典、“Legend Guitarist”のVol.3が、去る5月31日にお台場のゼップダイバーシティ東京にて開催された。KOJI(ALvino、La’cryma Christi)が中心となって呼びかけることで誕生したこのギター・イベント、当サイトで今までにレポートを掲載してきた通り、これまでにVol.1が2016年12月に、Vol.2が2017年8月に、さらに“異伝”と名付けられた番外編が2017年11月にそれぞれ開催。今回のVol.3のサブタイトル“Reunion”は、Vol.1と同じメンバーが集結していることから付けられたものだ。すなわちKOJI 、you(Janne Da Arc)、AKIHIDE(BREAKERZ)、RENO(ex. ViViD)、Leda(Far East Dizain)という5人のギタリストと、NATCHIN(b/21g)、都 啓一(key/Rayflower)、ばる(dr/ex. Dueljewel)というサポートの3人。合計8人の熱いミュージシャンたちが、会場に集った熱心なギター・ファンを前に強力なパフォーマンスを繰り広げた。

場内が暗転して軽快なSEが流れると、ステージ前方に張られた紗幕に5人のギタリストのシルエットが映し出された。手拍子の中、バンドはそのまま、当イベントのテーマ曲として既にお馴染みになった「Legendary」をスタート。リズム・パターンが変わったところで一気に幕が落ちると、左からRENO、AKIHIDE、KOJI、you、Ledaの5人が威風堂々と横一線に並び、美しいハーモニーを奏でる姿があらわになる。メロディーの派手さもあって、オープニングから実にゴージャスだ。挨拶代わりに各々の個性があふれるソロ回しも数回行なわれ、派手なアーミングやタッピングが決まるたびに一際大きな歓声が上がる。まさにギター・イベントとして完璧な形で、ショウは幕を開けた。

 

KOJI、you、Leda

Vol.1では各ギタリストのソロ・コーナーに次々に他のギタリストが飛び入りする形、Vol.2では出演ギタリスト全員がステージに出ずっぱりの形…といった具合に、毎回異なる趣向を凝らして行なわれて来たこの“Legend Guitarist”。Vol.3ではまた形を変え、ギタリストが3人1組となって次々入れ替わるというスタイルになった。2曲目ではKOJIを筆頭にyou、Ledaが並び、KOJIのソロ・アルバム『Cozy』(2017年)から「Perfect World」をスタート。明るさと切なさが入り交じったアジア的旋律が印象的なこの曲では、KOJIのメロディアスな主旋律に、Ledaとyouが美しいハーモニーを加えて行く。ゆったりとしたテンポの中、各自が甘いトーンでエモーショナルに空間を作り上げる様は、実に心地よい。

そのまま間髪入れず、『Cozy』からのアップ・テンポ・ナンバー「Joy」がスタート。KOJIがお立ち台に上がってメイン・フレーズをプレイする中、ここでも合間にはyouとLedaが交互に絶妙なハーモニーを加える。3人ともその表情が実に楽しそうで、観客も息の合った演奏に聴き惚れる。

KOJI

 

RENO、Leda、KOJI

ここでyouが一旦袖へ引っ込み、ステージにはRENO、KOJI、Ledaの3人が。始まったのはLeda率いるFar East Dizainの『DIZAINERVE』(2017年)に収録された、ミステリアスでヘヴィな「Octagram」だ。演奏前にLedaは「自分の曲は他の人と比べて難解なので、ボーッと見ていてください」と自虐的に語っていたが(笑)、サムピングを取り入れたリフ、大胆にアウトするスピード感あふれるソロなど、随所にちりばめられたモダンなエッセンスは興奮を誘うものばかりだ。

続いてLedaのソロ・プロジェクトUNIDIVIDEの『MATERIALS LEFT ASIDE』(2013年)から、メロウなバラード・ナンバー「WHITEHOLE」へ。実はバンド形式で生披露するのが今回初めてだというこの曲で彼は、伸びのあるエモーショナルなトーンや優れた表現力で観客を圧倒。KOJIとRENOも絶妙のタイミングでハーモニーを加え、素晴らしいアンサンブルで魅せた。

Leda

 

前列左よりyou、AKIHIDE、RENO、Leda、KOJI

圧巻の演奏に大きな拍手が送られる中、ステージにはAKIHIDEとyouも戻り、再びギタリスト5人が並ぶ。ここで早くも、今回のVol.3のために新しく作られたナンバーが披露されることになった。作曲したのはLedaで、彼いわく「某有名リサイクル・ショップの店内で流れているような曲に仕上がった」というこの曲は、その名も「HARD OFF」。跳ねるリズムの上にお洒落なメロディーが乗るスムース・ジャズ風の曲調は、一言でいうと「癒し」を感じさせる。ここでは各自がフュージョン・フィーリングのプレイを展開していたのが興味深かったが、もともとその分野を得意とするAKIHIDEによるオクターヴ奏法のプレイが、中でも一番強い印象を与えた。

 

you、AKIHIDE、KOJI

ライヴも中盤、ステージには3脚の椅子が用意され、AKIHIDE、KOJI、youの3人がアコースティック・ギターを手に並ぶ。披露された「Lapis Lazuli」はAKIHIDEのソロ・アルバム『Lapis Lazuli』(2013年)からのタイトル・ナンバーで、Vol.1の時にも5人全員で演奏された曲だ。AKIHIDEの幻想的なアルペジオ、ギターのボディーを叩くパーカッシヴなプレイは、これまでとはひと味違う世界観を作り出しており、プレイヤーとしての唯一無二のセンスを発揮。もちろんKOJIのメロディー・プレイ、youのハミング・バード奏法やタッピングを交えたソロなど、各々の見せ場を作ることも忘れない。

続いて再び3人ともエレクトリック・ギターに持ち替え、6月20日にリリースされるAKIHIDEの新作『機械仕掛けの遊園地 -Electric Wonderland-』から「プラネタリウム」をスタート。3人で奏でるメロディアスな旋律は、まさに星空が思い浮かぶような美しく幻想的なムードだ。終盤にはAKIHIDEがワーミー・ペダルによる強烈なハイ・トーンを効果的に使い、舞い上がるようなソロで曲をクライマックスへと導いて、再び3人の流麗なハーモニーへ。ギターの無限の可能性を見せつけるような演奏に、思わず感嘆の息が漏れる。

AKIHIDE

 

前列左よりAKIHIDE、you、RENO

KOJIに替わってRENOが登場すると、次はyouを中心としたセットだ。「今回はAKIHIDE君とRENO君と一緒にプレイするので、自分たちのギター・プレイに酔うような曲を用意した」というyouのMCを皮切りに、披露されたのは彼のソロ・アルバム『LIFE 〜the first movement〜』(2007年)の「various cards」。ファンク・グルーヴをAKIHIDEの軽快なカッティングが支える中、youとRENOの優雅なハーモニーが曲をぐいぐいと引っ張る。ラテン風の旋律を3人で派手に紡いだ後は、各自が自由に弾きまくるソロ回しもあり、まさにギター・テクニックのオンパレード状態だ。

続いて『LIFE 〜the third movement〜』(2008年)から、10年ぶりぐらいに披露するというアップ・テンポなジャズ風ナンバー「relation」。軽やかなテーマ・メロディーの合間に入るピアノとドラムの自由なオブリがとても印象的で、リズミカルなウォーキング・ベースも耳を惹く。作曲したyouはもちろん、AKIHIDEとRENOもジャズ・スタイルの進行性の強いプレイで応戦。あたかもダイバーシティがジャズ・クラブに早変わりしたようなムードで、ライヴ後半戦にアクセントを加えるという意味でも、実にいい選曲に感じられた。

you
 

AKIHIDE、RENO

メンバー随一の盛り上げ担当RENO中心のセットは、彼とAKIHIDE、Ledaの3人。RENOのかき鳴らすコード・リフからスタートするのは、『JOURNEY』(2016年)収録のタイトル曲だ。アップ・テンポのイケイケ・ハード・ロックはライヴ終盤戦に持って来いで、RENOがお立ち台の上でド派手なタッピングを決めると、それだけで観客から大歓声が上がる。負けじとAKIHIDEとLedaも同じようにお立ち台にのぼり、ハーモニー・プレイで楽曲を彩る。

場内が一気に華やかになったところで、先頃リリースされたばかりのRENOの最新アルバム『IMAGE』から、「Chemical ROCK」を披露。ハイパーなダンス・ビートのこの曲では、ギター・バトルの合間にKOJIとyouも手ぶらでステージに現れ、観客と一緒にテーマ・メロディーを歌う。そんな中、RENOはワーミー・ペダルを使ってのトリッキーなソロなどで終始人々を圧倒し、盛り上げ担当としての役目をパワフルに務め上げた。

RENO
 

RENO、AKIHIDE、KOJI、you、Leda

ステージ上に再び5人がそろったところで、いよいよクライマックス。このVol.3のためにまたもやLedaが書いたという新曲「FLOWERS」は、KOJIいわく「ライヴでお客さんにタオルを回してもらうことを目的に作った」ということだが、当日になって物販グッズの中にタオルがないという事実が発覚、一同愕然としたらしい(笑)。楽曲はそんな和やかなMCの雰囲気がぴったりと似合う、キャッチーでアップ・テンポなフュージョン・ロック。YouTubeのDISK GARAGE公式チャンネルでも聴くことができるが(https://www.youtube.com/watch?v=FqFY_ZTmun4)、まさに5人のギター・プレイが溶け合うような見事さで、本編の最後に相応しい感動を与えてくれた。

NATCHIN、ばる、RENO、AKIHIDE、KOJI、you、Leda、都 啓一

もちろんショウはこれだけで終わらず、アンコールでは各ギタリストのノリのいいフレーズが光った「ルパン三世のテーマ」、さらに美しいギター・オーケストレーションが見事に決まった「Canon Rock」が披露され、イベントは大団円を迎えた。約2時間半の間、多彩なギター・プレイによって披露される楽曲はどれも抜群の輝きを放っており、また各メンバーの演奏技術の高さはもちろん、音楽を純粋に愛する人柄の良さに触れることができるショウ運びも魅力の1つだったように思う。ちなみに今年10月29日にはまた番外編として、“Legend Guitarist 異伝 Vol.2 〜Le Voyage〜”が開催されることが既に告知済み。それも含めて、今後の継続にぜひとも期待し続けたいものだ。

前列左よりRENO、AKIHIDE、KOJI、you、Leda。 後列左より都 啓一、NATCHIN、ばる。
 

Legend Guitarist Vol.3 〜Reunion〜 2018.5.31 @ゼップダイバーシティ東京 セットリスト

1. Legendary
ギタリスト:KOJI、you、Leda、AKIHIDE、RENO

2. Perfect World(KOJI『Cozy』収録)
3. Joy(KOJI『Cozy』収録)
ギタリスト:KOJI、you、Leda

4. Octagram(Leda/Far East Dizain『DIZAINERVE』収録)
5. WHITEHOLE(Leda/UNDIVIDE『MATERIALS LEFT ASIDE』収録)
ギタリスト:Leda、KOJI、RENO

6. HARD OFF(新曲)
ギタリスト:KOJI、you、Leda、AKIHIDE、RENO

7. Lapis Lazuli(AKIHIDE『Lapis Pazuli』収録)
8. プラネタリウム(AKIHIDE『機会仕掛けの遊園地 -Electric Wonderland-』収録)
ギタリスト:AKIHIDE、you、KOJI

9. various cards(you『LIFE〜the first movement〜』収録)
10. relation(you『LIFE〜the third movement〜』収録)
ギタリスト:you、AKIHIDE、RENO

11. JOURNEY(RENO『JOURNEY』収録)
12. Chemical ROCK(RENO『IMAGE』収録)
ギタリスト:RENO、AKIHIDE、Leda

13. FLOWERS(新曲)
ギタリスト:KOJI、you、Leda、AKIHIDE、RENO

FqFY_ZTmun4

[encore]
14. ルパン三世のテーマ
15. Canon Rock
ギタリスト:KOJI、you、Leda、AKIHIDE、RENO