ヤング・ギターの譜面で使われる全37パターンの演奏記号を解説します。実演映像も合わせて参考にしてください。
実演映像(演奏:岡 聡志)
ギター譜の基礎 Basic Info
Ex-1タブ譜(タブラチュア)Tablature
下の6線譜がタブ譜。各線は上から順にギターの1弦〜6弦を表している。数字はフレット番号、0は開放弦。タブ譜の下は指記号。
Ex-2ピッキング記号 Picking Direction
ピッキングのストローク方向を示す記号。
ダウン・ピッキング | アップ・ピッキング |
チョーキング(ベンディング)Bending
Ex-31音チョーキング One step bend
弦を持ち上げる(もしくは引き下げる)ことで音程を上げるのがチョーキング。1音分(2フレット分)の音程変化は[C]で示される。
Ex-4半音チョーキング A half-step bend
半音分(1フレット分)の音程変化を付けるチョーキングは[H.C]で示される。
Ex-51音半チョーキング One and a half−step bend
1音半分(3フレット分)の音程変化を付けるチョーキングは[1H.C]で示される。
Ex-62音チョーキング Two-step bend
2音分(4フレット分)の音程変化を付けるチョーキングは[2C]で示される。他にも2音半[2H.C]、3音[3C]などがある。
Ex-7ポルタメント・チョーキング Bend with Portamento
ゆっくりと音程を上げていくのがポルタメント・チョーキングで、[Port.]で示される。
Ex-8クォーター・チョーキング Quater-step bend
半音に満たないブルージーな感覚的チョーキングで、[Q.C]で示される。クォーターは4分の1という意味だが、厳密である必要はない。
Ex-9チョーク・アップ Pre-bend
弦を持ち上げる過程の音を入れず、チョーキングした状態で発音する。[U][H.U][1H.U][2U]はそれぞれ1音、半音、1音半、2音。
Ex-10チョーク・ダウン Release bend
チョーキングした弦を戻し、音程を下げる。[D]で表し、下げる音の幅は特に示されない。
Ex-11ハーモナイズド・チョーキング Harmony bend
チョーキングする弦としない別の弦を同時に鳴らし、ハーモニー(和音)を作る奏法。記譜上は普通のチョーキングと同じ。
Ex-12ユニゾン・チョーキング Unison bend
チョーキングする弦としない別の弦を同時に鳴らし、2音をユニゾン(同じ音程)にする奏法。
Ex-13ダブル・ベンド Double bend
2本の弦を同時にチョーキングする奏法。弦ごとに音程変化が異なる場合は、それぞれ個別の記号で示される。
レガート系 Legato Techniques
Ex-14ヴィブラート Vibrato
チョーキングとチョーク・ダウンを繰り返し、音程に揺れを与える奏法。音符の上に波線で示される。
Ex-15ハンマリング・オン Hammer-on
あるフレットで発音した後、同じ弦上のより高いポジションを左手の指で叩くことで音を出す奏法。[H]で示される。
Ex-16プリング・オフ Pull-off
弦を押さえていた左手の指をハジくように外して、同じ弦上のより低い音を出す奏法。[P]で示される。
Ex-17トリル Trill
ハンマリングとプリングを繰り返す奏法。リズムが指定されている場合の記譜法と、そうでない記譜法がある。
Ex-18スライド Slide
あるフレットで発音した後、押弦している指をそのまま滑らせて、同じ弦上の次の音に移る奏法。[S]で示される。
Ex-19グリス(1) Glissando 1
スライド同様に弦上で指を滑らせる奏法だが、ゴールやスタートの位置が任意の場合はグリス(グリッサンド)と呼び、[g]で示される。
Ex-20グリス(2)Glissando 2
グリスするポジションや弦が不明確な場合は、×印などで示される。その後の曲線はグリスする方向や音程変化の様子を表す。
ピッキング系 Picking Techniques
Ex-21ミュート(1) Palm mute
右手の側面をブリッジ付近に乗せる(右写真)ことで弦振動の余韻を消す奏法。ブリッジ・ミュートとも呼ばれ、[M]で示される。
Ex-22ミュート(2)Brush strokes
左手の指で弦の振動を抑えた状態のままピッキングし、パーカッシヴな音を出す奏法。ブラッシングとも呼ばれ、[M]と[×]で示される。
Ex-23スタッカート Staccato
ピッキングした直後に音を止めて短く切る奏法。音符の上に[・]で示される。
Ex-24アルペジオ Arpeggio
一度弾いた弦の余韻を残しながら、次々に他の弦を弾く奏法。[Arp.]で示される。
Ex-25ハーモニクス Natural Harmonics
弦に軽く指で触れ、ピッキング後に離すことで倍音を出す奏法。触れる位置は通常フレット・バー真上(右下図)だが、その間の場合もある。
Ex-26ピッキング・ハーモニクス Picking Harmonics
ピッキングの直後にピックを持つ親指を弦に触れさせて振り抜くことで、独特のハーモニクス音を出す奏法。
タッピング、アーミングその他 Tapping, Whammy bar, etc.
Ex-27タッピング(1) Tapping 1
丸で囲んだ指記号の音を右手の指で叩いて発音する奏法。3〜4拍目は2弦13fを押さえたまま、左手薬指で2弦7fをチョーキング。
Ex-28タッピング(2)Two-hand tapping
左手と右手の指を各ポジションに叩き付けることで音を出す、特殊なタッピング奏法。
Ex-29タッピング・ハーモニクス Tapping harmonics
( )内に示したポジションのフレット・バー真上を、右手の指で叩くことでハーモニクスを出す奏法。
Ex-30ピック・スクラッチ Pick scratch
ピックの一辺を弦に押し付け、それを滑らせてノイジーな効果音を得る奏法。
Ex-31ピッキング・トリル Pick trill
素速いピッキングである音を細かく繰り返す奏法。リズムが指定されている場合の記譜法と、そうでない記譜法がある。
Ex-32アーム・ダウン Whammy bar: Pushing down
アーム・バーの操作は[Arm.]で示される。弦を弛ませて音程を下げるのが[Down]で、リターン[Return]ではそれを元に戻す。
Ex-33アーム・アップ Whammy bar: Pulling up
アーム・バーの操作で弦のテンションをきつくして、音程を上げるのが[Up]。リターン[Return]ではそれを元に戻す。
Ex-34アーム・ヴィブラート Whammy bar: Vibrato
アーム・ダウンとリターン、もしくはアーム・アップとリターンの繰り返しよって、音に揺れを与える奏法。
Ex-35シーミレ(1) simile 1
同じテクニックが同じように繰り返される場合、“以下同様”の意味で、反復を示す[simile]で表すことがある。
Ex-36シーミレ(2)simile 2
ピッキング記号でも、同じパターンが繰り返される時、その反復を示す[simile]で表す場合がある。
Ex-37オクターヴ記号 1 Octave up
記譜されている音程より1オクターヴ上の音域で演奏する場合、五線譜上に[8va]で示される。タブ譜は本来演奏するポジションを記譜。