アリス・クーパー・バンドのギタリストとして活躍中のニタ・ストラウスが、去る7月24日、東京都内にて来日ギター・イベントを行なった。
その華やかなパフォーマンスを昨年の“LOUD PARK”に出演したアリスのショウで目にした日本のファンもいるかと思うが、その際彼女が手にしていたギターはアイバニーズ。同ブランドは今年1月のNAMMショウにて、ニタのシグネチュア・モデルとなる“JIVA10”を発表したのだが、これはアイバニーズにとって初めてとなる女性ギタリストの名前が付いたシグネチュア・ギターでもある。その発売を目前に控えた7月、同機の初の一般公開も兼ねて星野楽器とYG主催のもとに開かれたのが今回のイベントだ。午後にはファンとの交流をはかるミート&グリート、そして夜にはギター・クリニックが開かれ、多くの方にご来場いただいた。
夜に行なわれたクリニックでは、ニタのオリジナル曲「Pandemonium」などデモンストレーション数曲が披露され、“JIVA”のサウンドと彼女の堅実なテクニックをしっかり堪能することができた。小規模な会場のため、ステージはお世辞にも広いとは言えないのだが、そんなことはものともせず、髪を振り乱して跳んだりはねたりとアグレッシヴに動きまわり、大舞台さながらのパフォーマンスを至近距離でたっぷりと見せてくれた。
「このクリニックは来てくれた皆さんのために開いているものだから、聞きたいことや弾いてほしいものがあったらどんどん言ってね」とニタが呼びかけただけあって、Q&Aコーナーでは客席からたくさんの挙手が。「ギターの構える位置が低いのはなぜ?」「バンドでプレイ中に自分の音が聴こえにくい時はどうすればいい?」「SNSを活用したセルフ・プロデュースが上手だけど、そのコツは?」といった様々な問いかけにじっくりと、かつ楽しそうに話してくれるニタ。「“JIVA”のギターに込めたこだわりを教えて」という質問には、バランスの良さを示すため本体の中央を手のひらに乗せてみせたり、多彩な音が出せるというシグネチュア・ピックアップのディマジオ“Pandemonium”を、ポジションを切り替えたりエフェクターを併用しながら紹介してくれたりする場面も。激しいプレイとは裏腹のキュートな笑顔や、温和な人柄がにじみ出るような柔らかい口調という、その対比も印象深いものだった。
日本人が発するカタカナ言葉の響きにハマっているらしく、“サシミ””ウニ”に加えて自分の名前を日本語風に発音するなどして笑いをとっていた彼女だが、一番大切なメッセージとして伝えてくれたのはこんな言葉。「ギターを始めた頃はお金もなく、たくさん苦労したわ。だけど、今の自分は昔憧れていたギタリスト達が在籍していたアリス・クーパーのバンドでプレイ出来ている。あなた達も一生懸命努力して、本当に夢を叶えたいという想いがあればきっとその夢を実現できるはずだし、私は今その証拠として何千マイルも離れた日本に来ているの」ニタの語る興味深いストーリーと力強いプレイに時の経つのも忘れ、気付けば予定終了時刻を大幅に超えてクリニックは閉会となった。
現在発売中のヤング・ギター10月号には、この来日時に行なわれたニタのインタビュー及び“JIVA10”の製品レビューが掲載されている。そちらではより詳しく愛機の魅力を語っている上、これから発売されるという彼女のソロ・アルバム『CONTROLLED CHAOS』についてもメイキングの様子を話している。ぜひこちらも手に取ってみてほしい。