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インターヴァルズ 2018.9.18 @ 渋谷WWW X ライヴ・レポート

レポート●浅見大秀 Taisyu Asami Pic●Kayoko Yamamoto

インターヴァルズ:アーロン・マーシャル

アニマルズ・アズ・リーダーズからポリフィアまで、プログレッシヴなスタイルと独自のカオティックなエッセンスを兼ね備えたインストゥルメンタル・ミュージックの認知度が高まり続けてはや数年。カナダはトロント出身のインターヴァルズも、そういったジャンルに属する最も重要なグループの1つと言って良いだろう。このバンドは、キーマンである技巧派ギタリスト:アーロン・マーシャルを中心にインスト・バンドとして結成され、’11年に1st EP『THE SPACE BETWEEN』をリリースして本格的に活動を開始。実は’14年に発表された初のスタジオ・アルバム『A VOICE WITHIN』はヴォーカリストも加えた編成だったが、翌年の『THE SHAPE OF COLOUR』(’15年)では再びインスト路線に戻った上、他メンバーが相次いで脱退し、現在の正式メンバーはアーロン1人のみとなる。そんな状況変化の中でも、彼の近代的な音楽センスと巧みなギター・スキルは世界の至るところでキッズから常に注目を集め続けており、’17年暮れに発表された3rdアルバム『THE WAY FORWARD』は、今年9月5日に日本国内盤が発売。インターヴァルズはついに日本デビューを果たしたというわけだ。

このリリースと時期を同じくして、バンドは日本へ初上陸。大阪と東京の2ヵ所でライヴを行なったほか、アーロンのギター・クリニックも催され、これまではインターネットの向こう側にいた日本のファンも、ついに目の前で彼の音楽を体験することができた。ここではそんな興奮が伝わってくるような、9月18日に東京の渋谷WWW Xで行なわれた、白熱のステージの模様をお届けしよう。
 

場内は、近年若者のギター離れが囁かれていることが嘘のように、20代辺りを中心としたオーディエンスで賑わっていた。やがて、プログレ・メタルな雰囲気とかけ離れたようなポップなSEが流れ、意外に思いつつも期待感が最高潮に達した頃にアーロンが登場。ステージには彼の他に、サム・ジェイコブズ(g)、ジェイコブ・ユマンスキー(b)、ネイサン・ブーラ(dr)がサポート・メンバーとして招かれており、ソロ・プロジェクトとはいえライヴ・パフォーマンスはバンド形態をとっていることが分かる。ちなみにサムは、最近までアーロンと同郷のプログレッシヴ・メタルコア・バンド:THE AFTERIMAGEでも活動していた実力派ギタリストだ。

おそらく観客の多くがそうであったように、筆者もインターネット上で公開されている音源やプレイ動画を通じて、アーロンの実力を一通り把握しているつもりだった。しかし、いざ演奏が始まってみると、良い意味で期待を裏切られてしまった。最初に披露されたのは最新作『THE WAY FORWARD』の1曲目「Touch And Go」だったが、演奏のタッチがあまりにも繊細で、極上としか言い様のないプレイを見せてくれたのだ。特に驚きだったのは、完璧過ぎるそのサウンド。初めての国、初めての会場であるにも関わらず、まるで長年この場でパフォーマンスをしてきたかのように溶け込み、すぐにオーディエンスを聴き入らせていた。

インターヴァルズ:バンド

また、リズム感の良さも見所の1つと言える。キレのあるメロディーがキモとなる「Impulsively Responsible」では、アーロンは休符を多く含むフレーズにもかかわらずパーフェクトなタイミングで弾きこなし、ジェイコブやネイサンとの息の合い方も素晴らしいの一言。メンバー全員のプレイとサウンドがマッチすることで生まれる、かつてない程の音圧と迫力に初っ端から圧倒されっぱなしだ。

また面白かったのは、特別盛り上がるようなセクションに行かなくとも、アーロンが難解なフレーズを弾きこなすたびに大きな歓声が響き渡っていた点。その傾向が顕著に表れていたのは『THE SHAPE OF COLOUR』収録の人気曲「I’m Awake」だ。シュレッド・プレイや、ギタリストでなければその難易度が伝わらないような複雑な運指のフレーズがさりげなく織り交ぜられる度に、熱狂的な喝采が送られる。やはりオーディエンスの大半はギター経験者に違いない。「Fable」などでは、アーロンとサムが相性抜群のツイン・リードを見せてより一層の興奮状態に! そういったスリリングなプレイも魅力的であったが、一方落ち着きのあるセクションを持った「Belvedere」では先ほどの緊張感とは裏腹に、ヒーリング・ミュージックを聴いているような空間を創出していた。このような癒し要素から生まれる安心感も、インターヴァルズが聴く者を惹き付ける理由の1つなのだろう。

インターヴァルズ:アーロン&サム

後半では、彼らのレパートリーの中でも一際ヘヴィな楽曲が、’12年の『In Time』から2曲続けて披露された。まず、強烈なブレイク・ダウンが印象的な「Alchemy」では、荒々しいフレーズの数々が会場をさらにヒート・アップさせる。しかしアーロンは、テンションを上げつつも乱雑な印象は決して与えずに極めて正確無比に弾きこなしており、「限界はあるのか?」と思うほどに圧倒的なプレイを見せてくれた。しかもかなり難易度が高い曲であるはずなのに、彼はもちろん他のメンバーも時折笑顔を浮かべてプレイしているのだから、恐ろしい…(笑)。「Mata Hari」も序盤はアグレッシヴなキメが緊張感を煽っていくが、サビにあたる部分では歌心溢れる壮大なリードが展開され、一瞬にして会場が開放感で満たされていく。

個人的にハイライトとなったのは、水辺を連想させるサウンドを持った「The Waterfront」だ。ディレイを活かしたギターの幻想的かつリズミカルなフレージングに対して、バンドが煽らなくともオーディエンスが自然と手拍子を始めていったのは、初来日にもかかわらず会場が自然と一体化した光景をみられた、とても心に残る瞬間だった。

インターヴァルズ:アーロン

アンコールでフィナーレを飾ったのは、パワフルなリフが主導権を握る「Libra」。ここまで来てまったく疲れを感じさせないそのプレイは驚きだし、アルバムで聴けるカラフルな音像が見事に再現されていて秀逸だ。全体的にバッキングやハモりを中心に担当していたサムも、ここでは積極的にソロをとって楽曲を最大限に彩っている。フックのあるメロディーが、時折表れるアンビエントなサウンドに包まれながらよりエモーショナルに響き渡り、この夜1番の大歓声と共に彼らのステージは幕を閉じた。

ユニークかつソウルフルな楽曲と、圧巻の演奏技術でオーディエンスを存分に楽しませてくれたインターヴァルズ。インスト・バンドであるにも関わらず平日に多くの観客を集め、凄まじい反響を得たのはまさに快挙と言えるだろう。今後も着々とフォロワーを増やし続け、多くのリスナーを熱く唸らせてほしい。

インターヴァルズ:全景

インターヴァルズ 2018.9.18 @ 渋谷WWW X セットリスト

1. Touch And Go
2. Impulsively Responsible
3. A Different Light
4. I’m Awake
5. Sure Shot
6. Fable
7. Belvedere
8. Leave No Stone
9. Alchemy
10. Mata Hari
11. Epiphany
12. The Waterfront
[encore]
13. Libra