WOA2024レポートDAY2:8月1日(木)

WOA2024レポートDAY2:8月1日(木)

フェス2日目の木曜日。この日も朝から晴れ! 前日ほど暑くなく、最高のコンディションだ。ただし、日差しが強いので紫外線対策はお忘れなく~。あと水分補給も…!

DIO DISCIPLES

正午前にまず向かったのはラウダー・ステージ。そのトップを飾ったのは、故ロニー・ジェイムズ・ディオの公認トリビュート・バンド、DIO DISCIPLESだ。ただしこれは、ただのカヴァー・バンドではない。元メンバーを含む、言わば本家の流れを汲んだ後継バンドなのである。

DIO DISCIPLES

現ラインナップは、ディオのメンバーだったサイモン・ライト(dr)&スコット・ウォーレン(key)以下、オニー・ローガン(vo)、ジョーイ・ベラドナ(vo)、アイラ・ブラック(g)、ビヨーン・エングレン(b)。ディオの「Holy Diver」で始まったショウは、ブラック・サバスやレインボーの楽曲も含む、ロニーの代表曲がテンコ盛りで、のっけから大盛り上がり。

ツイン・ヴォーカル体制だが、2人揃って歌う曲はあまりなく、「Holy Diver」からアンスラックスのジョーイが単独でフロントを担い、3曲目ぐらいでオニーと交代。ただ「Rainbow In The Dark」など、2人でヴォーカル・パートを分け合う場面もあるにはあった。

ジョーイ・ベラドナ
Joey Belladonna(vo)

オニ・ローガン
Oni Logan(vo)

アイラ・ブラック&ビョーン・エングレン
Ira Black(g)&Bjorn Englen(b)

サイモン・ライト
Simon Wright(dr)

スコット・ウォレン
Scott Warren(key)

元ヒーゼンで、ヴィシャス・ルーマーズやリジー・ボーデン他に在籍していたことでも知られるアイラは、オリジナルのフレーズをしっかり活かしつつも、幾らか自由度も残したプレイでロニーの世界観を体現。個人的には、前回──’16年に、ティム“リッパー”オーウェンズ(vo)とクレイグ・ゴールディ(g)をフィーチュアしたラインナップでWOA出演した時の方が正直楽しめたが、元々セッション・バンド的な側面も持っているため、また違ったメンツで観られたのは良かったと思う。

ジョーイ&ビョーン

次のラウダー出演は、英グラム・ロックの生ける伝説:スウィート! しかし、ほぼ同時刻にMB日本代表:PARAMENAの出番がヘッドバンガー・ステージで控えていたため、そちらへ大移動。すると驚いたことに、彼等目当ての観客が既に大勢集まっていて、演奏開始を今か今かと待っていた。その光景は、とてもコンテストのエントリー・バンドとは思えない。「あれ? 普通に出演バンドでしたっけ?」…なんて勘違いしそうになってしまう。

PARAMENA

PARAMENA

ちなみにMBコンテストは、フェスと別個に行なわれるのではなく、世界中で予選を勝ち抜いてきた各国代表バンドは、ブルヘッド・シティのW.E.T.ステージとヘッドバンガー・ステージの出演スケジュールに組み込まれ、居並ぶ審査員に向かって…ではなく、フェスのオーディエンスを前に演奏する。審査員は観客の中からそのパフォーマンスを観て(バンドからはどこにいるのか分からない)、実力のほどを吟味…という具合だ。

よって、いくら演奏が上手くても、いくら楽曲的に優れていたとしても、WOAのオーディエンスを沸かせられなければ、その評価は当然下がってしまう。その点、PARAMENAは昨年のファントム・エクスカリバーに匹敵する注目度で、もうセッティング時点からデヴィル・ホーンを掲げ叫んでいるヤツが何人もいるぐらいだった。

そして──いざ演奏が始まると、予想を遥かに上回る好反応で、推定3000~5000人が一気に沸き立ち、みんなウルトラ・ヘヴィなリズムに合わせて揺れる…揺れる! 開始20秒ぐらいで、もう「ハイ、MB優勝決定です!」なんて確信出来るぐらいの凄まじい盛り上がりで、1曲終わる毎に起こる歓声の大きさにもビックリだ。

PARAMENA

yu-to
yu-to(vo)

皇
皇(g)

Saya
Saya(g)

zima
zima(g)

フータ
フータ(b)

Shunya
Shunya(dr)

バンドの煽りに対する反応も上々で、モッシュ・ピットもサークル・ピットも発生したし…で、帰国後Sayaが「最高の景色でした!」と言っていたのも大納得。きっとメンバー全員が、同じ思いだったに違いない。

PARAMENA

さらに凄かったのが、20分で5曲を激奏し終えると、すかさず「We want more…We want more!」「Zu-ga-be…Zu-ga-be!」とアンコールが起こったこと。あの~、コンテスト・バンドなんですけど~。勿論、MB出場バンドでそんなことが起こるなんて、そうそうあることではない。

彼等がどれだけ強烈な爪痕を残せたか──それは、終演直後、あまりの盛り上がりっぷりと、あまりのインパクトに衝き動かされ、現地関係者のひとりがステージ裏へ走り込んできて、興奮気味に「5分だけでイイから、今ここでインタビューさせてくれ!」と言い放ったことからも、よ~く分かるだろう。

ステージ裏
ステージ裏で急遽のインタビューに応える…の図。え~と、これ…終演からまだ数分と経ってないんですけど(笑)。

ショウ全体の盛り上がり、オーディエンスの熱狂っぷり、そして、超重量級でありながら躍動感にも満ち溢れていた激熱全力パフォーマンス──そのすべてが頭抜けており、MB史上屈指だったと言っても過言ではない。個人的にも、アンコールが起こったのを見て、再度「これは優勝決定やね…!」と確信したことを、今でもハッキリ憶えている。まぁ、結果は意外にも…というか、ありえないぐらい意外過ぎたのだが…(詳細のちほど)。

PARAMENA 2024.8.1 @WACKEN OPEN AIR セットリスト

1. Anima
2. Oxcuras
3. Exodia
4. 0cide
5. Oblivision

SKYLINE

PARAMENA狂騒曲とでも言いたくなるあの場の異常熱気を反芻しつつ、インフィールドまで大移動してメイン・ステージへ。本日、ファスター・ステージのトップを務めるのは、地元も地元、ヴァッケン村出身バンドのSKYLINEだ。

WOAで唯一、毎年出演することを許されている(?)のは彼等の他にいない。それは何故か…? 実は、このSKYLINEこそ、’90年の第1回WOAの立ち上げメンバーの中核だったから。しかも、当初“村祭り”レベルでしかなかったWOAを、やがて世界に名立たる巨大フェスに育て上げた主催者のひとり:トーマス・イェンゼンはそのオリジナル・ベーシストだったり(その後に脱退)。

よって、初心を忘れないためにも、’09年の第20回の節目以降、このSKYLINEが毎年木曜日のトップ・バッターを務めるのが、もうずっと恒例となっているのだ。

アンドレアス・ローデ・シュウェデュスキー&ダン・ホーゲセン
Andreas Laude-Schwedewsky(b)&Dan Hougesen(vo)

ラーズ・ヤコブセン
Lars Jacobsen(g)

ジョーイ・カスティリーニ
Joey Castellini(g)

元々カヴァー・バンドで、今もその演目はカヴァー中心だが、彼等が採り上げたバンドは、翌年にWOA出演する…というジンクスがあるから、毎回みんなどんなカヴァーをやるのか興味津々。この時は、1曲目からエアボーンの「Runnin’ Wild」というなかなかシブい選曲で、終盤にはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「Killing In The Name」なんてのも飛び出したが──さて?(レイジはともかく、エアボーンも今年開催直前になっても出演の情報ナシ…)

その後、ジョーイ・ベラドナをゲスト・シンガーに迎え、ジャーニーのカヴァーを2連打──「Separate Ways (Worldr Apart)」&「Wheel In The Sky」──したSKYLINEを途中で切り上げ、次に向かったのはラウダー・ステージ。そこでオールドスクール・メタルを激演していたのは、かつてのLAメタルの特異点:アーマード・セイントだ!

ARMORED SAINT

ジョン・ブッシュ&ジョーイ・ヴェラ
John Bush(vo)&Joey Vera(b)

彼等のWOA出演はこれが3回目。前回は’15年だったから、ほぼ10年振りということになる。’20年作『PUNCHING THE SKY』から「End Of The Attention Span」でスタートしたショウは、全編でパワーを漲らせながらも貫禄たっぷり。’00年代以降のアルバムからもプレイされたが、やはり観客を熱くさせるのは初期ナンバーで、中でもメジャー・デビュー作『MARCH OF THE SAINT』(’84年)収録曲の人気が突出していることは言わずもがな。ツイン・ギター・チーム:ジェフ・ダンカン&フィル・サンドヴァルの阿吽の呼吸といったコンビネーションの良さを、改めて確認することも出来た。

ジェフ・ダンカン&フィル・サンドヴァル
Jeff Duncan(g)&Phil Sandoval(g)

RAGE

そのアーマード・セイントも途中で抜け、またまたヴァッケン・センターまで延々歩いてメイン・エリアへと戻ると、16時15分からハーダー・ステージにてレイジのショウがスタート! 彼等はこの時、“40 Years in RAGE”と題したアニヴァーサリー・ツアーの真っ最中で、ショウ冒頭こそ、「Cold Desire」「Under A Black Crown」と最新作『AFTERLIFELINES』(’24年)から2曲続けたものの、以降は人気定番曲をガッツリやってくれた。

ピーヴィ・ワグナー
Peter“Peavy”Wagner(b, vo)
ジーン・ボーマン
Jean Bormann(g)

ちなみに、周年ライヴにはつきものの歴代メンバーの客演などはなかったようだ。ツイン・ギター期のナンバーも、ジーン・ボーマンのギター1本で過不足なく再現していたのは、’24年4月の来日公演と同様。ただ驚いたことに、ショウ終盤になって意外なゲストが。それは、パン生地にメタルを聴かせることで、極上の熟成を引き出す…という、現地では著名な(?)メタル・パン職人のアクセル・シュミット。何故か彼が、『WELCOME TO THE OTHER SIDE』(’01年)からの「Straight To Hell」でドラマーを務めたのだ。その様子は、ヤボ用でバックステージにいたため、観ることが出来なかったのだが…。

MR.BIG

続いては、ラウダー・ステージにてMR.BIG! この時間帯は、ファスター・ステージでアクセル・ルディ・ペルが、ヘッドバンガーズ・ステージでMESSIAHが…と、観たいバンドが見事にバッティングしていて、しばし悩むも、ちょうど“The Big Finish”ツアーを行なっていたMR.BIGを観逃すワケにはいかない…と、ラウダーへ馳せ参じた次第だ。

MR.BIG

当時はまだ、“The Big Finale!:Forever In Our Hearts”と題された、’25年2月のアンコール来日公演──正真正銘のラスト・ツアーは発表になっておらず、彼等はこの夏をもって活動終了すると見られていた。しかしながら、メイン・ステージ出演で有終の美…とはならなかったのは、何とも残念な限り。いや、ステージの大きさだけがすべてではないし、実際ラウダー前には、なかなかの大観衆が詰め掛けていた。

エリック・マーティン
Eric Martin(vo)

ポール・ギルバート
Paul Gilbert(g)

ビリー・シーン
Billy Sheehan(b)

エドゥ・コミナート
Edu Cominato(dr)

「Addicted To That Rush」で始まったショウは、誰もが聴きたい人気曲/代表曲が目白押しで、みんなよく歌い、大いに盛り上がり、ポール・ギルバート(g)とビリー・シーン(b)のソロ・タイムもそれぞれあって、プレイヤー志向のファンも大満足だったことだろう。尚、ニック・ディヴァージリオは不在で、ブラジル出身のエドゥ・コミナートがドラムを叩いていたことも付け加えておこう。

ビリー、ポール
ビリー、エリック

MR.BIG 2024.8.1@WACKEN OPEN AIRセットリスト

1. Addicted To That Rush
2. Take Cover
3. Daddy, Brother, Lover, Little Boy (The Electric Drill Song)
4. Alive And Kickin’
5. Green-Tinted Sixties Mind
6. CDFF-Lucky This Time
7. Voodoo Kiss
8. Never Say Never
9. My Kinda Woman
10. To Be With You
11. Wild World (Cat Stevens cover)
12. G Solo
13. Colorado Bulldog
14. B Solo
15. Shy Boy (TALAS cover)
16. Baba O’Riley (THE WHO cover)

KK’S PRIEST

MR.BIGを途中で抜け、メイン・ゲートの外からアクセル・ルディ・ペルの様子を遠巻きに眺めたりしたあと──19時にまたまたインフィールドへ。ハーダー・ステージにて、KK’sプリーストを観るためだ。

未だ来日公演が実現していない彼等だが、海外ではその頃、’23年リリースのセカンド『SINNER RIDES AGAIN』に伴う“Return Of The Sinner”と題したフェス・ツアーの真っ最中。オープニングSE「Incarnation」が流れる中、スクリーンにはなかなか仰々しいイントロ・ビデオが映し出され、K.K.ダウニングによる耳をつんざくばかりのアーミング乱舞から「Hellfire Thunderbolt」でショウがスタートするや、大歓声と共にヘドバンの嵐が吹き荒れまくる…!

K.K.ダウニング
K.K. Downing(g)

ティム・リッパー・オーウェンズ
Tim“Ripper”Owens(vo)

トニー・ニュートン
Tony Newton(b)

当然、ジューダス・プリースト・ナンバーも次々と披露されたのだが、フロントを務めるティム“リッパー”オーウェンズがとにかく素晴らしかった。鋭いシャウトは勿論のこと、ややタメを効かせた情感たっぷりなパワフル歌唱は、ロブ・ハルフォードとはまた違った味わいで、まさに“もうひとつのプリースト”を体現。中盤で飛び出した『JUGULATOR』(’97年)からの「Burn In Hell」は、現行の本家プリーストではまずプレイされない曲ということで、大きな歓声が沸き起こった。意外だったのは、今やK.K.の代名詞ともいえる『SIN AFTER SIN』(’77年)収録の「Sinner」が、KK’sプリーストとしては、このWOAが初披露だったという点。また、ジョーン・バエズのカヴァー「Diamonds And Rust」(アコースティック風“Slow Version”)も、この日までKK’sプリーストではプレイされたことがなかったらしい。前者では“動/剛”、後者では“静/柔”と、K.K.の多彩なギター・ワークにも、多くのギター・フリークが唸らされたに違いない。

K.K.ダウニング

KK’S PRIEST 2024.8.1 @WACKEN OPEN AIR セットリスト

1. Incarnation (SE)
2. Hellfire Thunderbolt
3. Strike Of The Viper
4. One More Shot At Glory
5. The Ripper(JUDAS PRIEST cover)
6. Reap The Whirlwind
7. Night Crawler (JUDAS PRIEST cover)
8. Sermons Of The Sinner
9. Burn In Hell (JUDAS PRIEST cover)
10. Diamonds & Rust (JUDAS PRIEST/Joan Baez cover)
11. Hell Patrol (JUDAS PRIEST cover)
12. The Green Manalishi (With The Two Prong Crown) (FLEETWOOD MAC/JUDAS
PRIEST cover)
13. Breaking The Law (JUDAS PRIEST cover)
14. Sinner (JUDAS PRIEST cover)
Encore
15. Raise Your Fists
16. Return Of The Sentinel (SE)

ACCEPT

K.K.やリッパーの健在ぶりをたっぷり味わったあと──お次にメイン・ステージを任されたのは、地元の大重鎮:アクセプト! バンドはこの’24年にデビューから45周年を迎えるも、’80年代黄金期から残るメンバーはギタリストでメイン・ソングライターのウルフ・ホフマンただひとり。彼の右腕と目されたベーシスト:ピーター・バルテスが不在となって、これが初WOAということで、ちょっと複雑な思いでステージを見つめるファンも少なくなかったろう。

アクセプト

とはいえ、’09年加入の現シンガー:マーク・トーニロとて既に在籍15年。若いファンの中には、前任のウド・ダークシュナイダー期を知らないという人もいるかもしれないし、そもそもこの日だって、ファスター前は幅広い世代のオーディエンスで埋まっており、まだリリースから3ヵ月とちょっという最新作『HUMANOID』からの2連打──「The Reckoning」&「Humanoid」でスタートしたショウは、最初からなかなかの盛り上がりを見せていた。

1曲目からガンガン前へ出て、大観衆を煽りまくっていたウルフの横には、ちょっと見慣れぬ顔が…。いや、アクセプトのステージじゃなければよく知った顔だ。それは、元ナイト・レンジャー~ホワイトスネイク他のジョエル・ホークストラ! 下手側にウヴェ・ルイスはいたが、フィリップ・ショウズは不在で、何と後者に代わってジョエルが3人目のギタリストとしてスペシャル起用されていたのだ…!

Mark Tornillo(vo)

Wolf Hoffmann(g)

ウヴェ・ルイス
Uwe Lulis(g)

ジョエル・ホークストラ
Joel Hoekstra(guest g)

マルティン・モイック
Martin Motnik(b)

クリストファー・ウイリアムズ
Christopher Williams(dr)

ただ、特に違和感はなく、ウルフとジョエルのコンビネーションは意外なぐらいのハマりよう。早速「The Reckoning」からソロも任されていたジョエルは、“場違いな臨時メンバー”なんて印象は全くなく、流石の上手さと安定感で、フォーメーション・プレイも難なくコナし、観ているうちにグイグイと惹き付けられたし。

ジョエル&ウルフ

セットリストは’25年5月の来日時の縮小版といった感じで、中間部にはマニア垂涎のメドレーも炸裂! ショウを締め括る’83年作『BALLS TO THE WALL』表題曲に、さっきKK’sプリーストのショウを終えたばかりのティム“リッパー”が飛び入りし、マークとの強烈な“鋼鉄デュエット”でもって、見事に大団円を演出してくれたことも特記しておきたい。

アクセプト 2024.8.1 @WACKEN OPEN AIR セットリスト

1. The Reckoning
2. Humanoid
3. Restless And Wild
4. London Leatherboys
5. Straight Up Jack
6. The Abyss
7. Demon’s Night / Starlight / Losers and Winners / Flash Rockin’ Man
8. Shadow Soldiers
9. Overnight Sensation
10. Breaker
11. Princess Of The Dawn
12. Metal Heart
13. Teutonic Terror
14. Fast As A Shark
15. Pandemic
16. Balls To The Wall

SCORPIONS

さて──ようやく陽が落ち始めた頃、いよいよ本日のヘッドライナーがお出まし! だが、ここでまたまた悩ましいバッティングが…。22時15分から、重鎮アクセプトのさらに上をいく大重鎮であるスコーピオンズがファスター・ステージに登場するのだが、そのちょっと前に、ラウダー・ステージでオーペスのショウが始まっていたのだ。さらに、スコーピオンズと同時スタートで、地元の大御所中世楽団:CORVUS CORAXがヴァッキンガー・ステージでプレイすることにもなってもいた。どれも観たくて仕方がないが、分身の術を使えるワケもなく、ここはやはりメインでスコーピオンズだな…と、オーペスとCORVUS CORAXは一旦あきらめることに。まぁ、途中でステージ移動して後半、もしくは終盤だけ観ることも出来るっちゃ出来るし~。

スコーピオンズ

スコーピオンズを絶対に観逃せないのは、彼等が当時、大ヒット作『LOVE AT FIRST STING』(’84年)の40周年記念ツアーを実施していたから…というのもある。あと、彼等は’16年を最後にずっと日本に来てくれなくなっているから、この機に観ておかないと…というのもあった。(幸いオーペスは、’25年秋に待望の来日が決まって──何というか…ひと安心!)

Klaus Meine(vo)

Rudolf Schenker(g)

『LOVE AT~』冒頭曲「Coming Home」でスタートしたショウは、現時点での最新作『ROCK BELIEVER』(’22年)から「Gas In The Tank」、’80年作『ANIMAL MAGNETISM』から「Make It Real」と続き、誰もが知っている定番人気チューンの数々が続々プレイされていく中、マティアス・ヤプス(g)のソロ・タイム「Delicate Dance」、パウエル・マチヴォダ(b)&ミッキー・ディー(dr)によるソロ・タイム「New Vision」もあって──予想通り…いや、予想以上に観応え充分! 当時76歳だったクラウス・マイネ(vo)にあまり元気がなかったのはちょっと気になったものの、唯一無二のあの声はやはり替えが利くワケもなく…。さらには、ステージ前に花道が設けられ、当時75歳のルドルフ・シェンカー(g)が前へ後ろへ、右へ左へ…と、いつも通りアクティヴに動き回っていたのにも圧倒されたし、巨大スクリーンを駆使しての視覚効果抜群な演出も実に素晴らしかった。

ルドルフ・シェンカー、クラウス

40周年を祝いつつも、実は『LOVE AT FIRST STING』の全曲再現とはならなかったが、「As Soon As The Good Times Roll」以外はセットに組み込まれ、「I’m Leaving You」「Crossfire」「The Same Thrill」といった非定番曲はしっかりプレイ。ショウ本編ラストの「Big City Nights」では、ドロシー・ペッシュ(DORO)が呼び込まれ、クラウス・マイネとのスペシャルなデュエットにより、オーディエンスの熱狂をさらにさらに引き出してもいた。 そして、推定5万人が大合唱した感動バラード「Wind Of Change」が、ロシアのウクライナ侵攻を憂うバンドの思いと共に、グッと心に沁みたことは言うまでもない。

Matthias Jabs(r.)

パヴェル・マチヴォダ
Pawel Mąciwoda(b)

ミッキー・ディー
Mikkey Dee(dr)

そう──最初は「途中でオーペスを観に行こう」と思っていたのだが、結局スコーピオンズの良い意味での呪縛(?)から逃れることは出来ず、ラウダーまでの距離の問題もあり、また、ヴァッキンガーはさらに遠いので、オーペスだけでなく、CORVUS CORAXをチラ見することも叶わなかった。まぁそれでも、本国ドイツで──あのWOAで、『LOVE AT FIRST STING』の40周年ショウをたっぷり堪能出来たのは、他に代えられない貴重な経験となった…!!

WOA ステージ・セット

スコーピオンズ 2024.8.1 @WACKEN OPEN AIR セットリスト

1. Coming Home
2. Gas In The Tank
3. Make It Real
4. The Zoo
5. Coast To Coast
6. I’m Leaving You
7. Crossfire
8. Bad Boys Running Wild
9. Delicate Dance
10. Send Me An Angel
11. Wind Of Change
12. Tease Me Please Me
13. The Same Thrill
14. New Vision
15. Blackout
16. Big City Nights
[encore]
17. Still Loving You
18. Rock You Like A Hurricane