アーティスト名 | SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS スラッシュ |
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アルバム名 | APOCALYPTIC LOVE アポカリプティック・ラヴ |
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前スタジオ作『SLASH』(’10年)に参加したシンガーの中で、むしろその知名度の低さゆえに強い印象を残したのが、アルター・ブリッジのマイルス・ケネディだった。果たして彼は、トッド・カーンズ(b)、ブレント・フィッツ(dr)と共にツアー・バンドのシンガーに抜擢され、更なる注目を集めることになる(そのツアーの模様は、ライヴ盤『MADE IN STOKE 24/7/11』で確認できる)。スラッシュのソロ名義によるスタジオ2ndアルバムとなる本作は、そのツアー・メンバーをそっくり起用してのバンド作品である。前作でマイルスにインスパイアされ、彼を起用してのツアーで熟成したケミストリーをスタジオで実践したのが本作であるといえ、現に本作で強く主張されているのは彼のシンガーとしての更なる力量の高さと、これまでスラッシュと絡んできたシンガーの中でひょっとするとアクセル・ロ−ズの次に位置するのではないかと思えるほどの相性の良さだ。『MADE IN〜』でガンズ・アンド・ローゼズの曲も難なくコナしてみせたマイルスは、本作でもGN’Rテイストの披露に否定的ではないが、自身の最大の魅力であるパワフルさとセクシーさを兼ね備えた中低域の主張を忘れておらず、それがきちんと本作の方向性となっている。前作のようなコラボレーションの妙による新鮮な驚きは期待できないが、GN’R〜スネイクピット〜ヴェルヴェット・リヴォルヴァーに一貫するスラッシュの確固たるバンド観に従った磐石の作品だ。
(小澤明久)
10人以上のシンガーをゲストに迎えるという、ギタリストのソロとしては珍しいプロジェクトだった前作『SLASH』に於いて、特にスラッシュの興味を惹いたのは、かつてレッド・ツェッペリン再結成の話が出た際、ロバート・プラントの代役として加入か…と騒がれたこともあるマイルス・ケネディの歌だった。その後、彼を引き連れて1年半の間ツアーを続け、そのまま2ndソロの本作品に至っている。ただソロ作とは言え、曲作りはマイルスとのコラボレート、レコーディングはスタジオ・ライヴ、その際マイルスはセカンド・ギタリストとしてもフル参加している。つまりこれは、スラッシュという名のバンド作品…と見るのも、見当違いではない。
冒頭①からその“バンド然”は全開だ。ワウから始まり16ビートで刻むリフ、その展開はゴキゲンという形容が当たり。スラッシュらしいクールさと言うのか、ガナるわけではないが腰が入ったマイルスのヴォーカルと相俟って、バンド・キャラ的なものさえ感じさせる。スピード感のある②⑬、ファンクの⑮などでも同様だが、このプロジェクトが既にその域に達しているのは、前述した1年半のツアー、そして録音スタジオ入りする前に1ヵ月のプリ・プロダクションを積んでいたことと無関係ではない。それはスポンティニアスだが曲のための構築も見られるスラッシュのソロ・パートでも感じさせる。荒々しさの中にも理路整然…、リハでプレイを煮詰めた結果がそこに出た。
(福田真己)