FEW AGAINST MANY/FIREWIND

FEW AGAINST MANY/FIREWIND
アーティスト名FIREWIND
ファイアーウインド
アルバム名 FEW AGAINST MANY
フュー・アゲインスト・メニー

CD | マーキー・インコーポレイティド/アヴァロン | 2012年5月23日発売

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今回ガス・G(g)が掲げているのは“グルーヴ&ヘヴィ”。「これまでのファイアーウインド作品にないもの」という前提から導いたテーマらしいが、ただ、リズムの妙を感じさせる①、文字通りヘヴィな②、幾つものリフが織りなす③など、なるほど納得の曲が多い中、様々な色合いの曲が揃っているのも事実だ。象徴的なのは⑦。ピアノとチェロを大胆に導入したこのバラード曲は、言わずもがなバンド初の試みである。また、コーラス・パートのコード展開でメタルとは思えない美しさを醸し出す⑤、緩と急を兼ね備えた大作風⑩辺りもまた、豊かなヴァラエティの一翼を担う…、そんな感じ。つまり、“グルーヴ&ヘヴィ”一辺倒ではないという印象だ。
 常に“十分な質と量のプレイを収録したギター・アルバム”を目指すガスのソロは、その信条通り、またまた高レベルでスリリングだ。個人的に言わせて戴くと、技巧のみならず構成力も唸る①は特筆。コード進行を利用してそこを巧みに擦り抜ける知的さは、ものの違いを感じさせる。また、ストレッチ系のリニアなフレーズあり、自身「ソウルフル」と表現していたバラード節ありの③もファンは納得だろう。
 ファイアーウインドは“ガス1人状態”の1stから紆余曲折を経て、今年で10周年を迎えた。それを自ら祝う入魂の1枚である。
(福田真己)