アーティスト名 | SANTANA サンタナ |
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アルバム名 | SHAPE SHIFTER シェイプ・シフター |
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’10年の前作『GUITAR HEAVEN』には驚かされた。レッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズ、ビートルズ、クリーム、ドアーズ、ヘンドリックス…辺りならまだ理解の範疇だが、ディープ・パープル、ヴァン・ヘイレン、AC/DC、デフ・レパードの曲までカヴァーするなんてことは、誰が想像しただろう。まさにタイトル通りの“ギター天国”。あれはシンプルに「楽しんでしまえ」という天国だったわけだが、一転、今回はまた違う意味での天国だと言えるかもしれない。
ネイティヴ・アメリカン(アメリカ先住民)に対する迫害からの解放を訴え、それを1つのコンセプトにしたこの作品は、音楽的にも“自由”が重要なテーマになっている。つまり、収録曲はプリミティヴであり、スポンティニアス。スタジオ・ライヴという形でレコーディングされたそれらは、参加ミュージシャン達の裁量に委ねられた部分が多く、よってスピリチュアル性が色濃いという具合だ。
必然的に、カルロスのプレイは己の特徴を改めてナゾるように官能的。切ない②⑬、ジェフ・ベック的な⑤、新しい「哀愁のヨーロッパ」と言えそうな⑫…という曲調の多さもそう思わせる要因だが、いやそれにしても久々に深いサンタナ節なのである。自ら“『SUPERNATURAL』(’99年)の対極”だとするこれを、リスナーはどう受け止めるか。
(福田真己)