アーティスト名 | RICHIE SAMBORA リッチー・サンボラ |
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アルバム名 | AFTERMATH OF THE LOWDOWN アフターマス・オブ・ザ・ローダウン |
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前作『UNDISCOVERED SOUL』(’97年)から15年ぶりということになる新作だが、話は少し遡って…1stソロ『STRANGER IN THIS TOWN』(’91年)を聴いた時、あまりの歌のうまさにビックリしたのを憶えている(それ以前からボン・ジョヴィでのコーラス・ワークでその実力は分かっていたが…)。ソロでの来日公演も素晴らしかったし、まさにアーティスト=リッチー・サンボラの底力を見せつけられた感じだった。
で、今作。音楽的に更に幅が広がり、作曲面やサウンド・メイクを含めて、前2作以上にスケールの大きさが感じられるというのが第一印象。細かな所まで計算され、作り込まれたサウンド・プロデュースが施されているのだが、ヴェテラン・アーティストの作品にありがちな円熟路線ではなく、全体にダイナミズムに溢れた仕上がりになっている。その辺で大きなポイントになっているのが、ファズ系の歪みの強いディストーションを多用したギターの“トーン”かもしれない。リッチーのギターというと“シュアなテクニックに裏打ちされた端整なプレイ”といったイメージがあるのだが、今回はかなり歪ませたトーンでワイルドに迫り、新たな一面を見せている。今年で53歳のリッチーだが、自分のカラーを守るのではなく、違ったアプローチにチャレンジする貪欲さが良い。枯れた味わいの作品を作るのは、まだまだ先なのだろう。
(森 岳史)