VENOM/BULLET FOR MY VALENTINE

VENOM/BULLET FOR MY VALENTINE
アーティスト名BULLET FOR MY VALENTINE
ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタイン
アルバム名 VENOM
ヴェノム

CD | ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル | 2015年8月19日発売

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“メタルの未来”としてシーンに登場して早10年、英ウェールズ出身の4人組が放つ5th。プロデューサーには、カーカスやマシーン・ヘッドなどを手掛け、2nd『SCREAM AIM FIRE』(’08年)までタッグを組んでいたコリン・リチャードソンを再び起用。また、メンバー脱退により、ベースはマット・タック(vo, g)がプレイしている(現在は新ベーシストが加入)。

「少しでもメロディック、ポップな要素のあるものは排除した」(マット談)という本作だが、確かに苛烈に疾駆するイントロから始まるナンバーが序盤で連打され、彼らが目指した“ダークで激しいサウンド”を強く印象づける。が、持ち味であるキャッチーかつ哀愁を帯びた歌メロは失われておらず、全体を通して激しくも十分メロディックだし、自ずとBFMVの根幹は不変であることを証明した。ギター・ソロは全曲にはないものの、特に力技で捩じ伏せるかのごとき高速パッセージで圧倒するプレイは光っており、「Army Of Noise」に代表されるスリリングなハーモニーにもハッとさせられる。やはり、ヘヴィ・メタルのカッコ良さを分かりやすく伝えてくれるのがこのバンドの醍醐味なのは間違いない。彼らのポップ・センスを最大限に炸裂させた「Hearts Burst Into Fire」(『SCREAM〜』収録)のような曲も今なお求めてしまうが、マットの言葉を聞く限り、そっち路線はしばらくお預けだろう。
(早川洋介)