ANTIHERO／ザードニック

南米ベネズエラ出身の覆面音楽家／DJによる日本デビュー作。EDM（エレクトロ・ダンス・ミュージック）とメタルの融合に挑む今作は、巷では“スクリレックスmeetsスリップノット”と話題を呼ぶが、本作のメタル成分にはあれほどまでの暴虐性や混沌はなく、’00年頃のインダストリアル寄りのNuメタルを当てはめた方が適切だろう。ギターは重低音パートを補強しつつノイズもかぶせる役が基本ではあるが、メカニカルなリードがふんだんに盛り込まれた数曲での趣向は実に興味深い仕上がりを見せ、共に無機的なEDMとメカニカル・ギターの相思相愛ぶりを示している。両者の融合は新たな潮流になる!?

【文】菅原健太