アーティスト名 | JEFF BECK ジェフ・ベック |
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アルバム名 | LOUD HAILER ラウド・ヘイラー |
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少し前に「ジェフ・ベックの新作は女性ヴォーカルものだそう」との情報を得た時、これは『EMOTION & COMMOTION』(’10年)のイメルダ・メイ的な使い方でまたオペラを取り上げるのかなどとも思ったのだが、この6年ぶりの新作の内容は全く違った。しかも’14年から断続的に発表した新曲は一切収録していない。“女性シンガー&ギタリストの若手ユニットとジェフがドッキングして作ったロック・アルバム”。こう書くだけで今までのベック史になかったアルバムが完成したんだということが分かるだろう。
ザラついた加工済みサウンドを最初にパッと聴くと、随分と今風なアルバムを作ったものだと思わされる。一時期のデジタル路線とは違ったラディカルなロック・サウンドだ。そこが新しい反面、ベックのギターはロック/ブルースの文法に則ったもので、彼にしてみればさほど斬新ではない。ただこれが肝で、ジャズ方向にもアヴァンギャルド方面にも振らない、ここまで素直なロック・ギターを聴かせるのは久々のこと。またその骨太な弾きっぷりが痛快だ。音像は相当に新しいがギターは温故知新という、ベック歴代作品の中でも面白い存在感を放つアルバムだろう。活きのいいファンクな曲もあるし、「Scared For The Children」のヘンドリックス彷彿プレイも極上。これは最近ライヴで弾くことの多かった「Little Wing」のベック版か?