EVOCATION II – PANTHEON／エルヴェイティ

’00年代欧州フォーク・メタル大流行時の主役の１つ、スイス産メロデス＝古楽＝民族音楽楽団が放つフル・アルバム７作目。’16年にメンバー大量脱退が伝えられたものの速やかに後任を補充した上、１人増えて９人組に拡張している辺り、バンマス：クリゲル・グランツマン（vo,マンドーラ）の情熱は揺るぎなさそう。とはいえ今作はそのグランツマンが後ろに下がり、女性ヴォーカル主体のアコースティック作『EVOCATION ㈵』（’09年）の続編を謳って、再び弦・管・鍵盤の古楽楽器総出演かつメタル要素抜きサウンドのみで欧州古代神への捧げ物を披露している。弦楽器ナマ音の清冽さと躍動感が印象的。

【文】平野和祥