THE SIN AND THE SENTENCE/トリヴィアム

THE SIN AND THE SENTENCE/トリヴィアム
アーティスト名TRIVIUM
トリヴィアム
アルバム名 THE SIN AND THE SENTENCE
ザ・シン・アンド・ザ・センテンス

CD | ワーナーミュージック・ジャパン | 2017年10月20日発売

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時間を掛けて推し進めてきた脱激烈&メロディック洗練路線の極致とも言うべき前作から、デビュー作新装再発(最初期デモ音源を追加収録)を挟み、2年ぶりに放たれる8作目。久々にデス声絶叫の合いの手が映える疾走曲を冒頭に据えている辺りからして、あの突然の原点振り返りが偶然ではなかったことが瞬時に理解できるし、全体的にも長らくあえて抑えていた突撃感や激烈感が要所要所で聴き手の激情願望に真正面から応える仕上がりだ。王道メタルの歴史を参照しながら進化・成長にこだわった前作までの方向性に今一度自身の激烈メタルの原点を掛け合わせることで、彼らはここに新たな一歩を踏み出した。

とはいえ、その土台にはこれまで培ってきたモダンでクリアなサウンド意識が徹底されている。そして、歌い込みの表現力を増したマシュー・キイチ・ヒーフィー(vo, g)のヴォーカルや2本のギターを巧みに絡ませるメロディックな組み立ては、長年に亘る王道メタル追求の賜物に違いない。特に疾走曲においてこれでもかとばかりに激情を煽っていくソロ・パートの劇的な展開は圧巻。既存の激烈メタルの定式に囚われすぎず、この時点で“激烈化した王道HR/HM”といった趣きを現出して見せるという難事をやってのけた姿に、心からの賛辞を贈りたい。これはトリヴィアム流『MASTER OF PUPPETS』の登場だ。

【文】平野和祥