アーティスト名 | GUS G. ガス G. |
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アルバム名 | FEARLESS フィアレス |
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前作から約2年ぶりとなる、3作目のソロ作。多くのゲストを迎えて制作されていた前2作品とは異なり、本作ではヴォーカル兼ベースにピンク・クリーム69やユニソニックに籍を置く他、プロデューサー/エンジニアとしてもその名を轟かす名手デニス・ワード、そしてドラマーに現エヴァネッセンスの豪腕ウィル・ハントを迎えたシンプルなトリオ編成に。その強力な布陣による相互作用の結果か、オーガニックな“バンド感”を強く感じさせる好盤に仕上がった。
ボーナス含め全12曲中3曲がインストという構成の本作の主軸となる楽曲スタイルは、これまでのソロの作風を継承するタフなエッジのモダンさが際立つオーソドックスなハード・ロック/ヘヴィ・メタル。ミスティック・プロフェシー、ドリーム・イーヴル、ファイアーウィンドといった彼のこれまでの“劇的メタル”なキャリアから期待する音像とは正直少々異なるが、デニスによる無骨な男気を放つ艶やかな歌声(ベースが本業とは信じ難い!)の魅力全開の歌モノと言っても過言ではない聴きやすさの中、高い熱量をほとばしらせるガスのエモーショナルなプレイが映えまくる様は痛快そのもの。情熱的なペンタトニックを軸に現代的なテクニックを緩急巧みに絡ませてドラマを紡ぐスリリングなソロは、世に蔓延るシュレッダー勢には到達し得ない情感に溢れている。
【文】羽田幸一