アーティスト名 | DREAM THEATER ドリーム・シアター |
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アルバム名 | DISTANCE OVER TIME ディスタンス・オーヴァー・タイム |
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2時間超の長大なストーリーを展開した前作はいかに大作主義に常時こだわり抜いてきたドリーム・シアターにとってもかなり特殊なイベントだった。そこで世界観構築指向について究極の作り込みに到達してしまった彼らのネクスト・ステップが、レーベル移籍を経て3年ぶりに放つ通算14作目の本作。なんと今度はすべてのパートの激しい衝突と共闘のスリルを主役にプレイヤー魂にフォーカスするかの方向で、彼らのフル・アルバム中最短クラスに当たる本編60分弱という濃縮した作品を突きつけてきた。
コンパクトなアルバムとはいっても各収録曲には劇的展開と超絶テクがぎゅう詰め。1曲1曲の起承転結が練り込まれている点は初期のスタンスに近く、奇を衒った冒険はないもののまさに“ドリーム・シアターならでは”な曲のオンパレードで、彼ら独特のハード&ヘヴィ感覚やメロディー・センス、ひいてはプログレ・メタルというスタイルの魅力を新鮮な感覚で改めて捉え直せるような作品だ。彼らのアルバムに“良い楽曲の集合体”というイメージを抱くのは久しぶり。これもまたえらく振り切った特殊イベントと言えようか。評価も人気も盤石に確立し切った上でなおもファンのわくわくを刺激するこのテーマ設定の才にはアタマが下がる。知的音楽の匠であると同時に最上級のエンターテイナーという驚異…。
【文】平野和祥