ヤング・ギターでは2024年の1年間にわたり、創刊55周年“ギター弾こうぜ!”をテーマに、練習や奏法に関する様々な特集や催しを展開してきた。その中から、5月に来日したファイアーウインドのガス G.が教えてくれた、彼のギター・スタイルを確立する上で大いに役立ったという練習フレーズを教えてくれたので、いくつか紹介しよう。ページ下には動画もあるので、合わせてお楽しみいただきたい。下記太字は動画から抜粋したガス本人のコメントだ。
10代の頃のガスは、ポール・ギルバートからはピッキングや効率的な弦移動、リッチー・コッツェンからはレガートや左手の押弦力強化…というように、様々なギタリストの教材や教則ビデオを糧に腕を磨いていったと言う。そして「当然、スケールもたくさん練習した。ポジションを憶えたりね。例えばメジャー・スケールの時は…指板上の複数のポジションを記憶してそれらを連結させる方法を学んだり。これはかなり集中的に取り組んだ。他のリックと組み合わせるのに役立ったり、指板上の動き方が把握できるようになったりした」その例が下記Ex-1だ。
また、当時ガスの耳を惹いたテクニックの1つが、弦跳びを含むタッピング。「“これこそ学ばなくては!”というスキルだった。弦を跳ばしてタッピングしつつ、いかに余計なノイズを出さないか。ヘアゴムなどでナット付近をミュートするなんてことはなかった。自分の手のひらに頼って弦をミュートしていたよ。独学で、試行錯誤しながらやっていたから」…と言いつつ見せてくれたのが、Ex-2a及びEx-2bの譜例だ。ただ、実際はあまりタッピングはしないそうで、「僕のスタイルはピッキング寄りだと思う。でもインターヴァルの大きなフレーズを弾くのが好きだから、状況次第でこういったフレーズを取り入れているよ」とのことだ。(YG)
Ex-1:Fメジャー・スケールで上昇下降するエクササイズ
Ex-1は、3ノート・パー・ストリングスのポジションを活用したFメジャー・スケールのエクササイズ。オーソドックスな練習だが、他のリックと組み合わせるのに役立ったり、指板上の動き方が把握できたりするようになる…とのことだ。
Ex-2a:弦跳びを含むタッピング
Ex-2a、Ex-2bの上昇部分は、弦跳びを含むタッピング。フレットをカヴァーする素材や製品などに頼らず、自力で余弦をミュートするのが、ガス G.流だ。ポイントは、上昇時の左手人差指のTAP。ここは他のTAP音に比べて弱くなりやすいので気をつけよう。