今年2月の日本武道館公演を経て発表されたメンバー脱退の重要局面を乗り越え、以降、4人編成の新体制でシーンを駆け抜けてきたNEMOPHILA。精力的なライヴ活動と新曲のリリースを止めずにバンドの健在ぶりを示す彼女達だが、まさにこの記事がアップされる11月6日には最新シングル「Beautiful days」をドロップ! バラード・ナンバーとなる同曲の話題はもちろんのこと、新体制でリリースした「G.O.D.」「PROGRESS」という配信シングルやバンドの現在の状況について、そしてファンへのメッセージも含めてたっぷりとメンバーに語ってもらった。
誰がどの曲を作ったのかが一発で分かるくらいの個性が出てる
YG:新体制になって約半年が経ちますが、当初の頃と比べて変化はありましたか。
mayu:各メンバーのやりたいことや出したい音が一致してきて、バンドとしてより強固なものになっているなって感じてますね。
YG:やはり大きな違いはツイン・ギターからシングル・ギターになったことですが、当事者としてはどう捉えてました?
葉月:もちろんそこは大きな出来事だったので、すぐには頭が追いつかないし戸惑いもありましたけど、今ようやく慣れてきたかなと。2本分のギターを1本にして弾く曲もありますけど、でもそれだけでは4人になった意味がないと思っていて。曲の理想形もあったので、曲によってはハラちゃんに(ベース)ソロをお願いしたり、たむさんに「ここをこういう感じで叩いてください」っていう提案をしたりしたので、みんなに助けられながら今の形が完成した感がありますね。さらに今はmayuちゃんもギターを弾く曲があるので。
mayu:はい。バッキングは頑張ってみようと思って。
葉月:あとは、これを機に同期音源についてもみんなで見直して精査したんですよ。それによって、よりすっきりした音像ができたので新鮮でしたね。
YG:これまでの形を継承するところはありつつ、そこに囚われることもなく。
mayu:そうですね。これまでやってきたことは自分たちの経験として残っているし、激しいサウンドが好きなのは各々変わらずなので、曲の方向性などのサウンド感を大きく変えたいという思いは特にないんですね。
YG:おお、それは以前からのファンにとっては嬉しいですね。
mayu:ただ、4人になったことを活かした形で進みたいという考えは当初からあったので、どちらも捨てることなく進んでいこうと思ってます。あと、それぞれの個性とか、こだわりとか、自我というものが以前よりもさらに確立していっていると感じるんですよ。たぶんこのメンバーでNEMOPHILAをやるなら、それぞれが独立した考え方を持って集まったほうがカッコいいバンドになるなっていうことは、この半年間活動してきて思うようになったかなと。
YG:いわば個性がバチバチとぶつかり合うぐらいがカッコいいんじゃないかという。
mayu:そうですね。そういう空気感の中で曲作りもはかどっていくなと感じてましたし。本当は殴り合いとかしてもいいんじゃないのかな、ぐらいの(笑)。
YG:不穏な発言はやめましょう(笑)。
mayu:でも、みんな優しい心を持った女の子達なので、平和に話し合ってますけど(笑)。
葉月:殴られたら、それで終わるよ(笑)。
むらたたむ:一人だけ暴れてるという(笑)。
ハラグチサン:はははは!
葉月:曲作りをしていて、よりみんなの個性が出てる曲が多くなったと思いますね。これまではサウンド・プロデューサーを務めてくださっていた秋山健介さんご自身がギタリストということもあって、ギター・リフ中心に作っていくような曲作りが多かったんですけど、今制作中の楽曲達は、誰がどの曲を作ったのかが一発で分かるくらいの個性が出てるんじゃないかな。
mayu:たとえば、たむさんから絶対に自分じゃ思いつかないようなフレーズが来たりして、 こういう思考回路があったのかって新たに見えるのが面白いなって思いますし。
ハラグチサン:うん、ドラマーっぽいですね。
YG:たむさんの表情を見ると、その辺りは自覚的ではないみたいですね。
むらたたむ:そうですね(笑)。頑張って“ネモっぽい曲”を作るんですけど、「これもまた、たむさんっぽいですね」って言われてます。
mayu:あの世界観は他では作れないんで、すごく良いエッセンスになるんですけど、めちゃめちゃ自分の首を締めたがるんですよ。難しいフレーズをすごく入れてくるので。
むらたたむ:あ、ドラム?
mayu:そうです。たとえば、私が打ち込んだドラム・フレーズに対して、「ちょっとここのドラムを入れてみてください」って言ったら、“ブルルルルルルー!”っていうもっとすごいものが返ってくるんで(笑)。
葉月:確かにそうかもしれない(笑)。
むらたたむ:えーっ、そう!?
YG:人間が叩いたほうがテクニカルになってくるという逆転現象が起こってると。そして、現体制初のワンマン・ツアー“NEMOPHILAワンマンTOUR2024「全力前進〜開花したけりゃこの指止まれ〜」”の開催も大きな節目でしたね。
mayu:私達が“全力前進”っていうタイトルをつけたからには、会場に来てくれる皆さんもそういう思いで来てたはずだし、4人になって初めてのワンマン・ツアーなので、いろんな感情を抱えながら来てくれた人が多かったと思うんです。そういう人達に「やっぱり前のほうが良かった」とは絶対言わせたくなかったので、ライヴも自分達の発言とかも含めて、「以前よりも良くなった」と何か差別化できるところを出せたらなっていうことを思いながらステージに立ちましたね。ヴォーカル目線で言うと、上手(かみて)と下手(しもて)の空間をそれぞれ2人(葉月とハラグチサン)に任せられるなっていうことをすごく感じました……が、みんなはどうだったかな?
葉月:上手・下手の話で言うと、今はすぐ隣にハラちゃんがいないんですよ。「ハラちゃん遠っ!」みたいな。物理的な距離がすごく遠いので、(自分のすぐ隣りを指して)この辺にハラちゃんのマスコットを置きたい気分でした(笑)。
YG:マスコット!
葉月:そう(笑)。(立ち位置が)下手から上手に変わるってすごく大きなことで、今まで見てた景色や自分の立ち位置が全部変わったので、自分だけバンドを始めた当初ぐらいの気持ちになってたかもしれない。これまでのクセで、普通に下手側にセッティングしに行こうとしてたし(笑)。
YG:(笑)ハラグチサンは今ツアーについていかがでした?
ハラグチサン:うーん……アグレッシヴでした。より感情的になったって言うんですかね。4人になって、一人一人のバンドへの責任感が音の部分でも人間力でも増してるのかなって感じました。みんなライヴ中に汗をかくんですけど、なんかキラキラ光って見えましたし(笑)。
葉月:今までは光ってなかった?
ハラグチサン:いや、光ってたんですけど、今までは妙に綺麗な汗だったというか……今はより内面からにじみ出てくるような……。
YG:イメージ的にはより熱血な、“血と汗と涙”の汗みたいなものですかね?
ハラグチサン:あ、そういう感じです。より自然な、ケミカルじゃない汗。それって汗だけじゃなくて、いろんなところにも当てはまっていて、だから私もテンションが上がりますし。
YG:では、たむさんはいかがでしょう?
むらたたむ:今年5月にこの4人で最初に(東京・新宿の)WildSide Tokyoでライヴをして、そこでバンドとして考えていること……「これからも頑張って4人でやっていくからね」っていうことをmayuちゃんが伝えたので、もうファンのみんながそれを知ってるものだと思い込んでいたんです。だけど、今回のツアー・ファイナル(仮)でmayuちゃんがまたいいMCをしてくれて、その反響がすごく大きいなと感じたんですね。確かに、さっき話した私達の気持ちはWildSideに来られた人しか知らないわけで、それはまだ多くの人達にちゃんと伝えてなかったのかもしれないと。これからもこの4人で頑張っていくってことを、あの時に初めて多くの人に知ってもらえたことが印象深いですね。
新体制後の1曲目が「G.O.D.」で良かった
YG:ここからは新体制後にリリースされた新曲について改めて伺えればと思いますが、まずは「G.O.D.」(7月リリース)について。疾走パートにはNEMOPHILAらしい初期衝動が打ち出されていて、同時に今現在のNEMOPHILAらしさも共存させていくという意志を感じました。
mayu:作曲に関して大元のアイデアは私なんですけど、それぞれのパートにどうしたいかを尋ねていって、曲自体はみんなで構築していったんです。実は当初、「PROGRESS」を最初に出すつもりだったんですけど、制作していくうちに「G.O.D.」を先に出して“私達の決意表明”みたいな感じにできるといいよねっていう流れで、急きょリリース順を変更して。サウンド・プロデューサーが変わったこともあって曲のテンションとかは若干異なりますけど、激しさやパッション、シャウトの感じなどのテクニカルな部分はあまり変えずに……ただ、ギター・ソロよりも全体のグルーヴなどを意識して作っていたので、決意表明として出した曲にギター・ソロがないから、そこはみんなどう感じたのかな?とは思ったんですけど。ブレイクダウンとかを入れて、バンド全体としてのドン!っていう勢いを伝えられたらいいなって考えてましたね。
YG:曲によってそこは変化していくと。
mayu:はい。今まではほとんどの曲でギター・ソロがマストで出てきたけど、これからはこういう曲もやっていきたいという意味でも、新体制後の1曲目が「G.O.D.」で良かったのかなと。
葉月:うん。それに、やりたいことはやってるからね。ギター・ソロを入れる余地があるなら入れるし、曲の雰囲気というものもあるから、私もこの曲はソロがなくてもいいんじゃないかなと思ったので。
mayu:あと、メタルコアっぽい、ちょっと王道なところを狙いました。NEMOPHILAで“ザ・王道!”みたいな曲が意外とないなって感じてたんで、1曲ぐらいそういう曲があってもいいんじゃないかなと。それをしっかりとNEMOPHILAの音楽にリンクさせることを考えながら作りましたね。
YG:続いて「PROGRESS」(9月リリース)は、よりモダンな音圧で迫る楽曲で、シンセの音色もあいまってフューチャリスティックなイメージですね。それに、ドラマー的にはなかなか高カロリーな曲で。
葉月:でも、このドラムはたむさん自身が考えたものなんですよ(笑)。
むらたたむ:考えたけど、リアレンジにhicoさんが入ってるからね。イントロなどはhicoさんのエッセンスが加わってます。サウンド・プロデューサーがhicoさんに代わってから、最終的なドラムの印象も結構変わったなって感じていて。そこは高いハードルが課せられたなって思いますね。
YG:hicoさんが関わったことによる変化は、他の方も感じますか?
葉月:そうですね。私はすごく詰め込み型なので、「PROGRESS」に関しても当初はもっとギターの音数が多かったんですよ。 メロも変わったもんね? 私が足し算だとしたら……むしろ掛け算ぐらいですし(笑)、一方でhicoさんは引き算なので、いい具合にその真ん中辺りでバランスが取れてるかなと思います。4人になって初めて作曲しようという段階で作った曲で、サビでは開けた感じにしたかったんですよ。暗くズンズンとリフを鳴らしてるような曲にしようと思ってなかったので、(完成型は)おおむねイメージ通りです。今の2Bにあたるところは、もうちょっとキャピキャピした感じにしようかなと思ってたんですけど、hicoさんのアレンジが加わって、おしゃれな雰囲気にしていただきました。
YG:楽器陣にメカニカルなテイストがある一方で、キュートささえ感じさせる歌が切り込んできますが、そのギャップが良いですね。
葉月:確かに、サビの声色は結構キュートな感じだよね。
mayu:そう。はづきん(葉月)が言った通り、開けたサビに乗っかって歌えるので、自分が出していて一番心地いいトーンが実はキュートだったのかもしれないです。このKeyといい、曲のテンションといい、ここにある言葉といい、すごく明るいものなので、そのトーンが明るくていいなって思いながら歌いましたね。そこは私の意志でやってますけど、プロデューサーが代わったことによる変化は、もしかしたら私が一番大きいかもしれない。hicoさんはヴォーカル・ディレクションをする方で、自身がコーラスもやられるし、ピアノも弾くし。あとは、英語を喋れる人だから発音に対しても厳しいんですね。ただ、ニュアンスを大事にしているところもあって、単にカチッと歌うことを求めるんじゃなく、「そんなことを気にするよりももっと感情的に」とか言いますし、私的には大丈夫かな?というテイクでも、「こんなの二度と録れないから」とか言われたりしましたから。そういう部分を活かしてくれるのがすごく好きで、ヴォーカル心をよく分かってる人だなって感じるんです。
YG:ギター・ソロに関しては、シングル・ギターゆえの展開は意識しましたか?
葉月:ギター・ソロはどういった形にするのがいいのか悩んでたら、hicoさんが結構アイデアをくださって、それをもとに弾いてるんです。後ろでシンガロングしてるところでギター・ソロを弾くのは珍しいなって思いましたけど、みんなの声を聴きながら弾くのもいいですね。
mayu:たまに、はづきんのギター・フレーズに歌がつられちゃいますけど。
葉月:そうだよね、それはすごく思う(笑)。
YG:メロディアスなギター・ソロで、NEMOPHILAにしてはコンパクトな構成ですね。
葉月:メロディアスという部分はわりとそうですね、ロング・トーンも入ってるので。今まではギターが2本だったので、ソロを受け渡してツインになるようなパターンが多かったですけど、そこは1人になったし……1人で32小節くらい弾いてもいいけど、やっぱりそれは長いよなと思うから、聴いて覚えてもらえるくらいの尺でまとめました。
YG:ライヴでもすでに披露されていますが、セットリストの中で良いフックとなる曲じゃないですか。
ハラグチサン:そうですね。今までのNEMOPHILAにない新しさがある曲なので、私はお客さんをどうノセようかっていうことに頭をフル回転させてますね。あと、葉月さんのギター・ソロで“Woh~”ってコーラスが入ってますけど、お客さんにはしっかりと葉月さんを見てソロを聴いてほしいので、私は葉月さんに向かって“Woh~”ってたまに歌ってたりして。
葉月:私を見てるんだ(笑)。
ハラグチサン:そう(笑)。あと、単純に難しい曲でもありますよね。
葉月:まあ、(ベースが)ギター的なフレーズだもんね。「ごめん、ベースで弾くとキツいよな。でもハラちゃんなら大丈夫!」って思いながら作ってましたよ。
ハラグチサン:「G.O.D」のレコーディングの時にhicoさんから、左手の動きや右手のミュートのタイミングとか、音のニュアンスについて結構シビアに言われたんですね。他にもギターに合わせて弾くポイントとか、細かい部分での指示がたくさんあってからの「PROGRESS」だったので、いろいろと考えながら弾いてます。メインの作曲者が葉月さんなので、葉月さんの手グセが出てると思いますし。
葉月:ベンドのタイミングとか、ここはスライドで、ここは絶対にプリングでとかあるので……すみません(笑)。
ハラグチサン:いえいえ(笑)。勉強になりました。
ありそうでなかったロック・バラードな曲
YG:そして、最新シングルが「Beautiful days」。 これまでNEMOPHILAは名バラードをいくつも作ってきましたが、この曲もライヴで感動を誘う曲となりそうですね。
mayu:この曲の考案者は私で、NEMOPHILAのバラードとして「Life」や「YELL ~軌跡~」「now I here」 などがありましたけど、私の勝手な印象として、たとえば「now I here」はすごくオシャレなイメージがあって。もちろんロック・バラード感はあるけど、綺麗な曲だなっていう印象が強かったんですね。今回はもっとシンプルに、バンドらしいサウンドを求めていたんです。歌詞に関しては、「Beautiful days」というタイトルにして自分の子どもをテーマにしてるけど、全体的には“大きな愛”がテーマになっていて。なので、聴き手にとってその対象は子どもじゃなくてもよくて、誰かにとっての大切な人につながったらいいなと思って書きました。今うちの子どもは2歳なんですけど、今が一番可愛いと言われてる時期で、だんだんと憎たらしくもなっていくと思うんですよ(笑)。そうなった時に、純粋に“この子の歌を書きたい”と思うのは今しかないかもしれないと思って。
むらたたむ:そうなんだ(笑)。
mayu:そう(笑)。子どもをテーマにした曲は人生の中で一度は書きたいと思ってたので、みんなにこのテーマでどうかな?って提案したら、「気持ちが乗っていていいよ」って言ってもらえて背中を押されたので、そのまま進もうと。それで演奏は、“綺麗に”とか“包み込むように”というものよりも、感情をむき出しにしてほしいと思っていたんです。たとえそれによって荒削りな演奏だったとしても、ロック・バラードとして成立するような曲にしたかったですね。バラードだけどガムシャラな感じが出たらいいな、ってことをイメージして作ったのが始まりなんです。
YG:そういったリクエストは他の方にも伝えて?
mayu:いえ、そこはあえて言わずに。言わなくても、ライヴで感情的になった時に、みんなすごく熱く演奏しますから。自然な形でみんなの色を出してもらったほうがいいなと思って。
YG:実際、皆さんはどういう曲として受け止めたんでしょう?
葉月:レコーディングしたものに、そこまでむき出しの感情は出てないかもしれないけど……。
mayu:大丈夫! そこはライヴで出てくるものだから。
葉月:自分はメタル/ハード・ロック・バンドのバラードがすごく好きなんですけど、まだ歌詞が入ってないメロが来た段階で、これはすごくいいものになるなって実感しましたね。それで改めて完成したものを聴いてると、子どものいない自分でも母になった気分になれるというか、それぐらい温かい気持ちになれる歌詞だなと。レコーディングの時もいろんなことを思い浮かべながら弾いていた記憶がありますね。クリックとの戦いとかじゃなくて、感情を込めて弾けた気がします。特にイントロはヴォーカルとギターだけなので、そこにある愛などの空気を作らないとなと思ってました。
YG:左右のチャンネルでギターのアンサンブルを感じられる作りになってますね。
葉月:はい、今回はいつも使ってるメインのギターじゃなくて、リアにシングルコイル・ピックアップが付いたギターに替えたりして、音色は結構気にしましたね。左右で音色を変えて、こっちは柔らかい音にしたい、こっちは少しきらびやかな音にしたいとかイメージして、ギターを替えながら録ってました。
YG:ハラグチサンは、どういった曲として捉えて演奏に臨みました?
ハラグチサン:私の中では、ありそうでなかったロック・バラードな曲っていう印象でしたね。私もデモの段階から“めっちゃいいやん”って思ってたんですけど、mayuちゃんが「今このタイミングで、この曲をリリースすることにすごく意味がある」っていう風に言っていて。私自身、その人の人生や生きざまみたいなものを感じられるバンドや曲がすごく好きなんですけど、mayuちゃんの言葉を聞いて、そういう曲なんだろうなと思ったんですよね。その時点ではテーマが母と子の愛であるとか具体的には知らなかったんですけど。あと、聴いてくれる人の中には男性もいるわけですけど、それでも共感できるような形で提示していけたらいいなというのが課題としてありますね。
むらたたむ:私の場合は、ドラム・レコーディングの前に大枠の歌詞が来ていたんですね。ただ、その時は明確に親子の愛とかではなくて、もっと大きな捉え方での愛というものが書かれていたので、そうなるとイメージしやすいじゃないですか。どういうニュアンスで叩こうかな?とか、自分の中の愛って何だろうな?って考えていた時に、私も子どもが思い浮かんだんです。すごく大切にしすぎたり、すごく愛しすぎたりすると、それが切なさみたいなものに変わってしまったりすることがあると思うんですけど、それって本当に大きな感情だなと思っていて。そういう大きな感情を感じながらドラムを叩いたことで、パワーを込めて演奏することができましたね。この前MVも撮ったんですけど、当て振りとはいえメンバーと合わせてみるとエモさをみんなで共有できた感じがして、早くライヴでやりたいなって思ってます。
mayu:まさに、リズムがよれちゃうかなとかクリック云々っていう邪念の前に、この曲がどういうものなのかを感じて、感情をむき出しにして演奏してほしいというのが私の望んでいたことなんです。
YG:説明しなくても自然とそういう方向に向かったということですね。現時点で新生NEMOPHILAの楽曲は3曲リリースされていますが、バンドの形態は変われど、先入観なしで聴いてもらいたいですね。
mayu:はい。もちろん皆さんが思い描くNEMOPHILAというものが存在していていいし、それは嬉しいことなんですね。ただ、私達が今後どうなっていきたいかは、私達の中に明確にあって。それはライヴの雰囲気に関してもそうですし。サウンド的なところは、物理的に1人減ってるのでツイン・ギターを再現するのは難しいし、じゃあ音源を流せばいいというわけでもなくて。今求めてるのは、4人でやりたいことをできる限りやる、ということなんですね。だけど、これまでたどってきた歴史も自分達だし、これからも自分達自身は何も変わらないと思ってますから。離れていってしまう人達もいるのかもしれないけど、そこを無視するわけじゃないし、またアルバムとかを出して、そういう人達がふと聴いてみた時に“いいね”と思ってくれたなら、“また来てね”っていうスタンスで私達はいるので。
YG:そこはいつでも扉を大きく開いているということですね。では最後に、今後mayuさんがギターを弾く比重は増していくんでしょうか?
mayu:「Beautiful days」はライヴでは弾こうと思ってますし、新しい曲の中でバッキングを弾くことによってバンド感が増すなら、全然やっていきたいですね。
葉月:今、ツイン・ギターもちょっとやってるもんね。
mayu:ソロも一瞬できる曲はやってみようと思いつつ……。
葉月:タッピングとか。
mayu:そう、やってますね。置いてかれちゃうけど(笑)。
YG:ところで、なぜレスポールを選んだんですか?
mayu:私の中ではギター=ギブソン、レスポールみたいなところがあって。でもレスポールって、ちゃんと弾ける人しか持っちゃいけないギターだと思ってたので、だからずっと見ないフリをしてたんですよ(笑)。それが、ご縁があって弾かせていただく機会をいただいて、“いいのかな?”と思いながら今も使ってます。自分では(ギターの位置が)低いなって感じるところで弾いてるんですけど、レスポールを弾くならもっと低くなきゃダメだよなとか思いながら、まずはこの状態に慣れるためにも今頑張ってるところですね。ボディの色(オーシャン・ブルー)に関しては、いろいろなモデルを見せてもらった時に、もうあの子以外目に入らなくて即決したんです!