ヒュース&ケトナーのペダル型アンプ“AmpMan”シリーズ、そのリアルな真空管サウンドに迫る!

ヒュース&ケトナーのペダル型アンプ“AmpMan”シリーズ、そのリアルな真空管サウンドに迫る!

“Tubeman“の伝統を受け継いだ2つの新モデル

ヒュース&ケトナーより、フロア型アンプ“Spirit AmpMan Classic”及び“Spirit AmpMan Modern”が発表された。かつてロングセラーを誇った真空管搭載ペダル型プリアンプ“Tubeman”を彷彿させ、真空管サウンドに肉薄するサウンドを持つ本シリーズ、さっそくその魅力を探ってみよう。

“Ampman”のサイズは250×52×153mm、わずか1kg程度というコンパクトな筐体を持つ。両モデルともクリーンと歪みの独立2チャンネル仕様で、クリーン担当のチャンネルAは2機種とも共通スペックだ。歪み用のチャンネルBに関しては、“〜 Classic”は‘80年代から‘90年代にかけてのブリティッシュ・ロック系やいわゆる“ブラウン・サウンド”までをカヴァー。一方“〜Modern”はクラシック・メタルからモダン・メタルに至るまで、よりハイ・ゲインなサウンドを得られるという違いがある。

Ampman Classic
Ampman Classic

Ampman Modern
Ampman Modern

真空管アンプ回路の特性をより緻密に再現

強みはなんといってもサウンド・メイクの柔軟さだ。完全アナログ回路で、温かみのあるトーンと速いレスポンスを実現している上、独自開発の “Spirit Tone Generator”により、伝統的な真空管アンプの回路が持つきわめて複雑な相互作用の忠実な再現をはかっている。ポイントとなるのが “SAGGING”(サギング)というツマミで、高い負荷のかかった真空管の電源電圧が急低下する現象を再現しており、歪みのキャラクターを変えたり、小さな音量でも真空管アンプを大音量にした時のような歪みを得られたりするのが特徴だ。入力感度を決めるGAINや基本のサウンドに働きかけるTONEといったツマミと組み合わせることで、アンプの飽和特性を生かしたドライヴ・サウンドを作り込むことができる。

ツマミやフットスイッチも両チャンネル共通だが、左端のMASTERだけは役割が異なる。白い方は、アンプ全体の出力レベルを決めるもの。一方、赤い方のMASTERは直下にあるSOLOのフットスイッチに連動しており、SOLOをオンにした時に“白いMASTERで設定された音量をあとどのぐらい上げるか”という調節が可能だ。なお、BOOSTスイッチをオンにすると、特定の周波数レンジが増幅される。

音作りの要となるキャビネット・シミュレーター“Red Box”

Ampmanシリーズ背面

本体背面には、様々な入出力端子やツマミがずらり。特徴の1つは、ヒュース&ケトナー定番のDI兼キャビネット・シミュレーター“Red Box AE+”の搭載だ。コンパクトな1 × 12から 4 x 12まで、下記8種類のタイプが用意されている。自分で別途IRキャビシミュを使いたい場合を考慮して、シミュレーター機能のオン/オフ切り替えも可能。

RED BOX AE+ キャビネットタイプ

Ampman Redbox AE plus

1. 1×12インチのモダンなThieleポート
2. 2×12インチのモダンなフロント・ポート
3. 2×12インチのヴィンテージ・オープンバック
4. 4×10インチのAlnicoオープンバック
5. 4×12インチのヴィンテージ・キャビネット
6. 4×12インチのブリティッシュ・キャビネット
7. 4×12インチのモダンなキャビネット
8. 4×12インチのアメリカン・キャビネット

もちろん、通常のスピーカー端子も備えられている。他には、AUX IN端子に音楽プレイヤーを接続することで、バッキング・トラックなどの音源に合わせての演奏が可能だ。ヘッドフォン用の3.5mmミニ・ステレオ端子もあり、夜間の練習や音出しの難しいシチュエーションにぴったり。これはライン出力端子としても使える。

シングルコイル向きの“Classic”とハイ・パワーな“Modern”

この2機種を、2ハムバッカーのギブソン・レスポールと3シングルコイルのフェンダー・ストラトキャスターという基本スペックのギターで試奏してみたが、キャビネット・シミュレーションとチャンネルの組み合わせだけで実に多彩なサウンドが得られることが分かった。歪みサウンドに関しては、カラっとしたアメリカンなサウンドや低域重視のトーンまで、またヴィンテージ風からモダン風までどこにでも向かうことができる。ピックアップの違いも如実に反映されるので、やはり“〜Classic” はシングルコイルと併用した時に程よいクランチやオーヴァードライヴのサウンドが得られ、最大限の可能性を引き出してくれるように感じた。対する“〜Modern”の超ハイ・ゲインなサウンドは出力の高いハムバッカーと相性が良い。クリーン・サウンドの純粋さも特筆ものだ。また、BOOSTスイッチの存在感が強烈で、どんな時でも音がドンと前に出てくるのが気持ち良い。ストラトの場合などは、クリーン時も含めて常にオンにしていたいような心地よさが感じられた。

ライヴや自宅での練習及びレコーディングなど、シチュエーションを選ばずにリアルな真空管サウンドを追求できる“Ampman”シリーズ。ぜひ、自分のギターで試してみては?

製品詳細

ヒュース&ケトナー“SPIRIT Ampman SERIES”
https://pearl-music.co.jp/hughes-and-kettner/product/floor/3750/